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薬剤師なら知っておくべき診療報酬改定とは?くわしい内容から目的まで徹底解説

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診療報酬改定は、2年ごとに社会情勢や経済状況に応じるための改正が行われ、これを診療報酬改定といいます。診療報酬には調剤や薬価に関する報酬も含まれるため、薬剤師であればその内容を把握しておいたほうがよいでしょう。この記事では、診療報酬改定について、なぜ改定されるのか、2020年の改定内容やその目的、それ以前の診療報酬改定について解説します。

診療報酬改定とは何か

診療報酬とは、ある人が医療機関にかかったときに支払う医療費のうち、加入している健康保険から支払われる料金のことをいいます。自由診療の診察代は各病院で決められますが、診療報酬は健康保険サービスに係る部分のため、病院や薬局が勝手に決めることができません。そのため、受ける医療サービスが同じであれば、全国どこでも医療費に違いがでないように決められているのです。ただ、夜間や休日は料金が加算されるので、いつでも同じというわけではありません。

診療報酬は病院や薬局にかかる設備費や人件費、医薬品費などに使用されるため、物価や景気の変動、消費税額に応じて調整し、変更する必要があります。景気が良くなり物価が上昇すれば、病院や薬局を経営するための費用も増大します。しかし、景気が悪くなっても診療報酬が変わらなければ、医療費を支払えない人が増える可能性もあるでしょう。そこで、そのときの経済や社会の状況に合わせて、診療報酬額を変えていく必要があるのです。このように、診療報酬がいくらになるのか変えることを診療報酬改定といいます。

診療報酬はどのようにして決められるのか

診療報酬は、病院や薬局が自分たちで決めるものではありません。医科、歯科、調剤、薬価などを含めた全体の診療報酬にどのくらいの予算を割り振るのかは、予算編成のなかで内閣が決定します。同時に、社会保障審議会の医療部会と医療保険部会が基本方針の策定を行います。そして、内閣が決定した全体の診療報酬から、中央社会保険医療協議会(以下、中医協)が、医科、歯科、調剤、薬価等に振り分け具体的な診療報酬点数を決め、最終案を出すのです。

中医協は厚生労働大臣の諮問機関で、医師や薬剤師、歯科医師などを代表した診療側委員と、被保険者や事業者を代表する支払い側委員で構成されています。中医協で、病院経営の実態、医薬品の価格、賃金や物価の状況、GDPなど、医療と経済の両側面を十分に審議し、診療報酬が決定されるのです。

高齢化が進むと、必要となる医療費も上がる傾向があります。それに伴い景気も上昇しているなら問題ないのですが、そうでない場合、診療報酬を決定する審議は課題が増えることになります。医療費の増大を抑制するために診療報酬を下げると、医療サービスの質と量が低下する可能性があるからです。そこで、増大する医療費を抑えるために、予防医学を進める動きも出ています。

診療報酬は2年おきに改定がある

原則として、診療報酬改定が行われるのは2年に1回、西暦が偶数の年です。医科、歯科、調剤、薬価、材料価格の項目に分け、どの項目をどのくらい増減するのかが決められます。しかし、診療報酬の改定が行われるのは、このタイミングだけとは限りません。消費税増税や歯科で使用される金や銀の価格高騰などが起こると、改定の時期以外に臨時改定が行われることもあるのです。たとえば、消費税が増税になると、病院や薬局が医療機器や必要な消耗品などを購入するときに支払う消費税額も増大します。にもかかわらず、保険診療は非課税のため増税後も変わりません。そこで、診療報酬を増やすことで対応するのです。

また、歯科医院での治療や医療器具には金属がもちいられることもあります。これら金属は市場の取引価格に合わせて卸値も変化します。そのため、市場価格が高騰しているにもかかわらず、診療報酬はそのままにしていると、歯科医院側の金銭的負担が増大してしまうのです。こういった場合は、金属市場の取引価格に合わせて診療報酬を改定する必要があります。このように、診療報酬は経済や社会に大きな変化が起きたときに、その都度変更されるようになっています。ただし、変化したときだけ報酬を見直すのでは、経済や社会に合った診療報酬設定ができているとはいえません。いつ改定すべきかはっきりしないこともあるでしょう。そのため、2年に1度の割合で、診療報酬の改定が行われているのです。

診療報酬改定率とは

診療報酬をどのくらい増減させるのかをパーセントで表したものが、診療報酬改定率です。改定により診療報酬を増やすときはプラス、減らすときはマイナスの数字が表されます。また、医療と経済のトレンドを考えつつ、改定後はどのくらいの医療報酬が必要なのかを計算したものが医療報酬改定率です。医療報酬改定率は未来の予測であるため、マイナスの値であっても患者が増えれば医療機関が得られる収入は増えます。

診療報酬改定率が下がったからといって、医療従事者の給与が下がるとは限りません。全体ではマイナスになっていても、医科、歯科、調剤に充てられる報酬が増えることはよくあるのです。診療報酬改定率は、0パーセントから大きくても4~5パーセント程度の幅におさまることがほとんどです。これは、急激に医療報酬の額を上下させると、医療提供側にとっても、支払う側にとっても負担になるためです。そのため、医療報酬改定率の絶対値は小さく、あまりに大きな変化が起こらないように設定されているのです。

2020年度の診療報酬改定は全体ではマイナス

2020年は偶数年なので、診療報酬改定が行われる年です。とはいえ、2020年に診療報酬改定の準備が始まるということではありません。2019年1月から中医協での議論が開始され、同年秋ごろに社会保険審議会の基本方針が策定されます。その後、12月中旬に内閣で予算編成が行われ、診療報酬の改定率が決定されるのです。さらに、2020年2月ごろに中医協が改定案を答申し、3月には厚生労働大事により診療報酬改定に関する情報が発表されます。2020年は4月1日から新しい診療報酬が適用されます。このように、診療報酬改定には1年以上時間をかけて慎重に行われているのです。

2020年における診療報酬改定は全体ではマイナス0.43%でした。それぞれの改定率は医科プラス0.53%、歯科プラス0.59%、調剤プラス0.16%、薬価マイナス0.99%、材料価格マイナス0.02%になっています。全体ではマイナスですが、医科、歯科、調剤などの本体部分、いわゆる技術料はプラスになっています。これは、診療報酬をおさえつつ医療現場の労働環境をよくしようという動きを反映させたものです。本体部分のプラス0.08%は、救急病院など労働環境を問題視されている病院に充てられています。これは2020年の診療報酬改定の特徴的な部分でしょう。

2020年の診療報酬改定の目的とは

診療報酬改定の基本方針とは、国民の健康寿命を延ばす、いつでもどこでも誰でも身近に医療を受けられる、社会保障制度の安定を目指すことにあります。社会に合った診療報酬改定を行うためには、その基本方針にくわえて具体的な目的の設定が必要です。2020年の診療報酬改定では、医師などの勤務環境改善、救急医療の正しい評価、ICTの推進、チーム医療の推進などが目的として掲げられました。

大学病院や、総合病院などで働いている医師などは、人手不足から長時間労働に及ぶことが少なくなくありません。これにより、体調不良や過労死などの問題が起こっています。今後、医療現場における働き方改革は必須といえるでしょう。また、救急医療を行っている病院は、時間に関係なく急患を受け入れる必要があるため、さらなる労働環境の改善が必要になっています。2020年の診療報酬改定では、医療現場における働き方改革も大きな目的のひとつとされているのです。

もうひとつの目的は、業務を効率化するためにICTの活用を推進することです。ICTとは、Information and Communication Technologyの略語であり、情報通信を使用したコミュニケーションのことをいいます。高齢化により病院を必要とする人が増えていくなか、医療現場の人手不足は深刻な問題です。ICTを活用すれば、地域の病院で患者の検査結果や症状などの情報を共有することができるようになります。患者の情報を共有できれば、1人の患者に対しそれぞれの病院で何度も検査を行う必要がなくなるのです。

また、医師が少ない地域などでは、専門医が足りず、適切な治療を行うまでに時間がかかってしまうケースもあります。そのような場合でも、ICTを利用すれば、いながらにして専門医の指示を仰ぐことが可能です。患者もたくさんの病院を渡り歩く必要がなくなります。このように、医療従事者の労力を減らし、患者が病院を探す労力を減らすために、ICTを推進して業務を効率化することが求められているのです。このように、診療報酬改定でICT推進できるようにすることも、2020年診療報酬改定の目的です。

診療報酬改定には、医療現場におけるタスク・シフト、タスク・シェアリングなどチーム医療の推進という目的もあります。タスク・シフトとは、医師、あるいは看護師にしか認められていなかった業務をほかの職種が分担できるよう制度を整えること、タスク・シェアリングとは1人が行っていた業務を複数人で分担して行うことを指します。これにより、特定の職業や人に偏っていた負担を分担できるようになりました。たとえば、2019年11月には、処方された範囲内での変更あれば、医師の確認がなくても薬剤師が処方してもよいとするタスク・シフトが行われました。

2020年の診療報酬改定により、このような動きがさらに進むことが期待されています。2020年の診療報酬改定における最大の目的は、医療従事者の負担を軽くし、労働環境を改善させることです。医療現場における働き方改革を推進したいという、社会の状況を反映しているといえるでしょう。

これまでの診療報酬改定とは

これまでの診療報酬改定はどのような流れだったのでしょうか。薬剤師が知っておくべき過去の診療報酬改定の流れと、2018年の診療報酬改定について解説します。

過去の診療報酬改定の流れ

2002~2008年は小泉政権下で聖域なき構造改革が行われ、診療報酬も大きな影響を受けることになりました。全体では2002年マイナス2.7%、2004年マイナス1%、2006年マイナス3.16%、2008年マイナス0.82%と減額幅が多くなっています。この期間は、薬価はすべてマイナス、2008年を除き本体部分もマイナスでした。その後2010年から2020年までは、連続してプラスの診療報酬改定率が行われていました。しかし、薬価に関する診療報酬は長年マイナスの診療報酬改定率が継続しています。つまり、本体部分に関する診療報酬は毎年増えているにも関わらず、薬価の診療報酬はどんどん減っているのです。

これは、医師や看護師、薬剤師など、医療現場の労働環境改善を目指しつつ、医療費を縮小させようとする動きがあるためです。とはいえ、薬価の減少が医療における厳しい状況を引き起こす可能性もゼロではありません。そのため、ジェネリック医薬品を進めることにより、薬価がかかる医療費を削減することが求められています。ただし、薬価が2年ごとに引き下げられることにより、新薬開発への予算が縮小する可能性もあります。新薬開発は治療法が変わる可能性があるため、医療においてかなり重視されている分野です。

そのため、2010年にはジェネリック医薬品が薬価基準を満たすまで薬価を引き下げないという内容の「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の試行が実施されました。また、本体部分の増減は医科、歯科、調剤の割合が1:1.1:0.3で配分されることがほとんどです。2016年度、2018年度では調剤の配分を少なくしようとする動きがみられましたが、2020年までこの配分は守られています。

2018年度の診療報酬改定は

2018年度の診療報酬改定は、本体部分では0.55%プラスでしたが、薬価がマイナス1.65%、材料価格マイナス1.19%、全体マイナス1.19%と、薬価に関しては大幅なマイナスとなる改定でした。これは社会保障費の財源確保と高齢化による医療費の増大を見越したものです。このときも、医師の働き方改革を中心に、地域医療構想を進めるなど、医療制度の変革が目的となっていました。2018年の改定では、かかりつけ薬剤師や地域医療に貢献している薬局の評価、後発医薬品使用体制加算の見直しなどがありました。

今後の診療報酬改定はどうなるのか

日本の医療は、医療現場の人手不足や2025年にピークを迎える高齢化に対応する必要があります。医療費は今後も増え続けることが確実ともいわれているのにもかかわらず、それを支える現役世代の人口は減っています。それに対応するため、今後も全体の医療報酬改定率はマイナスとなることが予測されています。そのため、ジェネリック薬品の促進がさらに進むなど、薬剤師においても変化が求められるでしょう。

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