あ行医薬品添加物(いやくひんてんかぶつ)
さまざまな目的で使われる添加物
医薬品添加物とは、ほぼすべての医薬品の中に含まれている、有効成分以外の物質のことです。
医薬品は錠剤や粉末、顆粒、液体、シロップ、軟膏など、その用途に応じてさまざまな形状に作られています。それらをさまざまな形状に加工した上で一定期間の保存ができ、薬効が変わることなく使用できるようにするためには、添加物の使用が不可欠になります。そのために製剤段階で使われるのが、医薬品添加物です。
食品に使われている添加物と、使用目的はほぼ同じと考えてかまいません。保存性を高めたり、変質を防いだり、嫌なにおいを抑えたり、液状薬の場合には分離や沈殿を防いだり、といった働きを持つ物質が使われます。
医薬品添加物の種類
医薬品添加物には、多くの種類があります。例えば安定剤は、薬剤が分解などの反応によって変質することを防ぐために用いられます。賦形(ふけい)剤は製造段階での成形をしやすくするためと、扱いやすくするための物で、錠剤の場合には乳糖やでんぷんがよく使われます。
また「飲みやすさ」という点を考慮して、独特の味やにおいを持つ物に対しては、味を調える矯味(きょうみ)剤、香りをつける着香剤を使うこともありますし、小児用のシロップ剤などのように着色剤が使われることもあります。
その他、保存剤、緩衝(かんしょう)剤、懸濁(けんだく)化剤、乳化剤、溶解補助剤、粘稠(ねんちゅう)剤などの種類があり、それぞれ目的に応じて使用されます。
これらの物質はあくまでも「添加剤」ですので、薬効成分の本来の機能を妨げることなく、人体に無害でなくてはなりません。この点については、日本薬局方の「製剤総則」に規定されています。
また、国内で使われている添加物については、「日本医薬品添加剤協会」のサイト内で、その安全性について情報を得ることができます。
安全性は高いが、アレルギーの可能性はある
日本では、医薬品に使用できる添加物についてまとめた「医薬品添加物事典」というものがあります。ここに記載されている物質は、すでに使用実績があるため、この中から用途に合った物質を添加物として選ぶことが通例です。ちなみに、この事典に記載されていない物質を添加物として使用するときは、その物質の起源や安全性のデータなど、膨大な資料とともに厚労省に申請し、承認を受けなくてはなりません。
また、ジェネリック医薬品は、先発品とは異なる物質を添加物として使用するケースがあります。そのため、「先発品と比べて有効性や安全性の面で劣るのではないか」と不安に思う方もいるかと思いますが、規定の試験を行った上で、厚生労働省に承認を受けて発売されていますので、その心配はまったくないといっていいでしょう。
なお、高レベルで安全性が確認されている医薬品添加物ですが、アレルギーなどの有害反応が発生する可能性はゼロではありません。その点については常に注意する必要があります。