か行拮抗薬(きっこうやく)
「きっかけ」を邪魔する薬
拮抗薬とは、ある作動薬(アゴニスト)の働きを妨げることで、そのアゴニストの作用を打ち消したり弱めたりする作用を持つ薬のことです。「ブロッカー」「アンタゴニスト」などとも呼ばれます。
体内で起こるさまざまな生理現象には、その現象を引き起こす「きっかけ」があります。そしてそのきっかけに関係する器官として、神経細胞の一部に存在する「受容体」が挙げられます。
受容体は錠前のようなものです。ロッカーの錠前に正しいカギを挿し込むという「きっかけ」があると、錠が外れて扉が開きます。これと同じように、受容体が特定の刺激を受ける「きっかけ」があると、何らかの生理現象を引き起こします。
ここで言う「何らかの生理現象」には、アレルギー症状のような不快な症状も含まれています。こうした症状を予防するためには、「錠前にカギが挿し込まれるような『きっかけ』を、邪魔してやれば良い」ということになります。こうした考え方から生まれたのが拮抗薬で、その特性に応じて2つの種類に分類できます。
競合的拮抗薬
1つは「競合的拮抗」
アゴニストとアンタゴニストが同じ受容体を競い合って可逆的に結合する拮抗様式のことで、
この場合のアンタゴニストが競合的拮抗薬と呼ばれる。
非競合的拮抗薬
もう一つは「非競合的拮抗」
非競合的拮抗とは競合的拮抗以外の拮抗機構であり、例えば、アンタゴニストが受容体に結合することにより受容体の形が変わり、アゴニストが結合しにくくなって、アゴニストの働きが妨げられる。
もう一つの例は受容体結合以降の反応発現までの過程のどこかを、アンタゴニストがが遮断するためにアゴニストの作用が弱まる場合などをいう。
これらの場合のアンタゴニストが非競合的拮抗薬と呼ばれる。