か行降圧薬(こうあつやく)
複数の種類がある降圧薬
高血圧の薬物治療に用いられる薬で、高血圧の要因に働きかけることで血圧を下げる薬の総称です。
高血圧はさまざまな理由で起こります。根本的な原因はわからないことも多いのですが、何が高血圧を引き起こすのかについては明らかになっています。例えば、塩分過多、運動不足、過度のストレス、過労による血管の劣化・老化、過労、肥満などです。つまり高血圧は長年におよぶ生活習慣によって引き起こされることが多く、さらには「高血圧家系」のように、遺伝的に高血圧の傾向が強いというケースも見受けられます。
このようにさまざまな要因で起こる高血圧という症状に対処するため、降圧薬も作用機序の異なる医薬品が複数製造・販売され、それぞれ用途に応じて使い分けられています。
降圧薬の種類は?
一般に使われる降圧薬にはいくつかの種類があり、それぞれに作用機序が異なります。そのため、単に「血圧が高い」というだけではなく、その要因が何なのかに合わせて処方されます。
(1)カルシウム拮抗薬
(2)アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
(3)ACE阻害薬
(4)利尿薬
(5)β遮断薬
それぞれの作用の概略は、(1)血管を拡げる(2)血圧を上げるアンジオテンシンIIの働きを弱める(3)アンジオテンシンIIの生成を抑える(4)尿を出して血中の水分を減らし、ナトリウムを排出させる(5)心臓の働きを抑える。また(5)には、心臓だけでなく血管の収縮までも抑えるαβ遮断薬も含まれます。
薬物治療において第一選択薬となるのは主に(1)~(4)ですが、単剤で効果が得られない、あるいは目標数値に達しないときには、複数の薬剤を併用する場合もあります。
服薬指導は十分に
降圧薬は高血圧を治療する薬ではありません。あくまでも対症療法として血圧を下げ、高血圧による合併症を回避するのが目的です。生活習慣の改善によって血圧を下げることができれば良いのですが、そうでなければ長期にわたって服用することが前提となります。
また降圧薬を必要とするのは高齢の方が多いので、複数の医療機関からさまざまな薬を処方されている可能性が高いです。多くの薬を処方され、しかも何年もそれを飲み続けていると、「飲んでも飲まなくても変わりないから」などと、自己判断で服用を中止する人もいます。こうした自己判断は非常に危険なので、調剤薬局などでは服薬指導を十分に行う必要があります。そこで、薬の役割を理解してもらった上で用法・用量を遵守することや、他に服用している薬がないか、確認することが大切になります。