か行血漿分画製剤(けっしょうぶんかくせいざい)
血漿分画製剤とは
血漿分画製剤は、多人数から採取した血漿成分をプールすることで原料血漿とします。この原料血漿から治療にとって有益なタンパク質を抽出したうえで高純度に精製したものを血漿分画製剤といいます。血漿分画製剤は使用する目的に応じて、いくつかの種類があります。1つはアルブミン製剤。血液中の水分などを血管内に保持することで、さまざまな物質を運搬する役割があります。これは、出血によるショックや外傷によるショック、重症の熱傷などの症状に対処する際に用いられます。もう1つが免疫グロブリン製剤。これにはウイルスなどの病原体の感染を予防し、免疫機能を調整する役割があります。これは、無・低ガンマグロブリン血症による重症の感染症や特発性血小板減少性紫斑病などの際に用いられます。そしてもう1つが血液凝固因子製剤。出血の際、血液を固めて止血する役割があります。これは血友病、全身の微小血管内凝固(DIC)、手術時の傷口の接着や閉鎖などに用いられます。
副作用などのリスク
血漿分画製剤を使用する際には、その副作用や合併症のリスクについて十分に考慮する必要があります。
血漿分画製剤は、厳しい安全対策を施されるなど十分な管理体制のもとに製造されていますが、ある種のウイルスは完全に不活化・除去することができないため、ウイルス感染の可能性がないとは言い切れません。その上、副作用や合併症、強いアレルギー反応などを引き起こす可能性もあります。一例ですが、A型肝炎ウイルス、ヒトパルボウイルスなどによる感染症にかかる可能性がありますし、ショックや心不全などの致命的な合併症状を引き起こす可能性も否定できません(自覚症状としては、発熱、顔面紅潮、じん麻疹、悪寒、戦りつ、はき気、おう吐、頭痛、倦怠感、注射部位の硬結・疼痛など)。つまり、使用しない場合のリスクと使用した場合のリスクとの双方を熟考した上で慎重な判断のもとに使用するか否かを決める必要があります。
自給率の低い血漿分画製剤
不特定多数の人の血液を原料として製造される血漿分画製剤。それゆえに、提供者がHIV感染者やB型・C型肝炎などの感染症、その他のさまざまなウイルスをもっていた場合、製造の際にそれらのウイルスが混入してしまい、投与された患者に感染してしまうリスクがあります。さらに、血漿分画製剤は自給率が低く、現在も海外からの輸入に頼らざるをえない状況下であり、ウイルス感染のリスクは日本の献血よりも高いといった問題もあります。