か行改良医薬品(かいりょういやくひん)
改良医薬品とは
改良医薬品とは、既存の医薬品の有効成分と同一の薬効、適応症でありながら、化学構造が異なる薬を改良型医薬品と呼びます。新薬として発売されたときには、業界用語で、「Me-too-drug」「ゾロ新」と呼称されます。なお、特許の切れた既存医薬品と同一の成分である、後発医薬品(ジェネリック、ゾロ)とは区別されています。
新医薬品の中で、既存の医薬品にはない「画期的医薬品(ピカ新、独創的新医薬品)」を開発するためには、試行錯誤を繰り返し、人件費から開発まで、膨大な経費と長い年月が必要となります。一方、改良医薬品は、既存の薬を改良して作るため、研究開発費用も抑えることができ、短時間での開発が可能であるという利点があります。そのため、ほとんどの製薬会社が改良医薬品の開発を行っています。
「ゾロ新」という呼称には、「画期的医薬品が登場した後、続いてゾロゾロと出てきた類似薬品」という意味合いがあるため、後ろ向きなイメージもあります。しかし、改良医薬品は最初に登場した医薬品に対して、有効性、コンプライアンス(法令順守)、安全性のいずれかに改良が加えられており、有用な医薬品といえます。実際に現在では疾病の治療に使用されているのは、改良型医薬品が多くなっています。また、欧米では、既存薬と比べて、薬の効果や安全性が高い医薬品を「ベスト・イン・クラス」と位置付けていますが、これらの多くが改良医薬品です。
改良医薬品のメリット
改良医薬品はあくまでも、医薬品の開発方法が改良型であることを指しており、特許切れを待って開発した医薬品「ジェネリック」とは異なります。そのため、改良医薬品の薬価はピカ新とジェネリックの中間に設定されています。元となるピカ新に比べて改良されていることが多く、有用な医薬品であるともいえるでしょう。
改良医薬品の利点としては、以下の点があります。
●ピカ新以上の作用の強さ(効き目)を持っている
●副作用についても改良を重ねているため、副作用がピカ新より少ない
●ピカ新にはない効果がある
●ピカ新より服薬回数が少ない(持続性がある)
政府は医療費削減のためにより安価なジェネリック医薬品の使用を推進しています。しかし、効果の強さや、副作用、服薬のしやすさなどが新薬に比べて改善されているため、ゾロ新のほうが臨床では新薬のジェネリック薬よりも広く使われています。そのため、結果的にジェネリック薬の使用が追いついていないのが現実です。