さ行ジェネリック医薬品(じぇねりっくいやくひん)
特許切れ医薬品をコピーしたジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品は、後発医薬品とも呼ばれています。医療機関で処方される医療用医薬品のうち、特許が切れた医薬品をコピーして、同じ薬効・同じ品質になるように製造された医薬品です。
新しく開発された医薬品には、メーカーが製造・販売を独占できる特許期間があります。その期間内は同じ製品を他社が製造・販売することはできません。ですが特許期間が終了すると、厚生労働大臣の承認を得たうえで、他の製薬会社が同じものを製造・販売することができます。こうして作られたものが後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品です。
医薬品の特許期間は出願後20年ですが、治験と新薬承認審査にかかった期間を最長5年上乗せすることができるため、医薬品の特許期間は最長25年です。つまり、ある新薬のジェネリック医薬品が登場するまでには、最長25年待たなければならない、ということになります。
ジェネリック医薬品は単なる「コピー商品」ではない
ジェネリック医薬品は、先発医薬品の特許期間が切れたあと、ゾロゾロと発売されるところから「ゾロ薬」などといわれてきました。その呼称には「先発薬のコピー品」という、少々の揶揄が込められているようにも見えます。
確かに新薬の開発・製造にはおおよそ9〜17年程度の長い時間と、数百億円規模のコストが必要とされます。開発段階においては薬効を持った新たな化合物の発見など、時間とコストだけでは実現できない要素が多々ありますし、何重にも試験を重ねてデータを積み上げていく地道な作業も欠かせません。そうして開発した薬品であっても、最終的に製品化されずに終わってしまうものもあります。
ジェネリック医薬品は、そうしたプロセスを経て登場する新薬とは、まったく異なったものです。しかしジェネリック医薬品には、先発医薬品にはないメリットもあるのです。
ジェネリック医薬品のメリットとは
ジェネリック医薬品のメリットは、製造コストが低いということです。新薬開発の時間とコストが不要なのですから、販売価格をグッと抑えることができます。
発売当初は原則として先発医薬品の7割ですが、その後は薬価改定によって価格を下げ、ものによっては先発医薬品の2割程度の価格になるものもあります。長期にわたって服用する慢性病の薬であれば、患者さんの負担が大きく軽減されますし、厳しい経済状況にある医療行政にとっても福音となります。
2011年時点での調査では、日本におけるジェネリック医薬品のシェアは数量ベースで23%程度。欧米では50%以上となっていることを考えると、まだまだ普及しているとはいえません。ですが先発医薬品からジェネリック医薬品に切り替えるきっかけとして、多くの患者さんが「薬剤師からの説明を聞いて」という理由を挙げていることから、患者さんと直に接する調剤薬局などでの啓蒙活動が大きく作用するものと考えられます。