た行貼付剤(ちょうふざい)
貼付剤とは
布やプラスチックなどの薄いフィルムに、有効成分と基剤を混ぜ合わせたものを薄くのばした医薬品です。皮膚の表面に貼り付け、皮膚を通して有効成分が浸透していくことで局所の症状を改善する効果を狙った外用薬です。患部を冷やしたり温めたりする目的(冷湿布・温湿布)で使われるパップ剤は代表的なもので、貼付剤の多くは局所に作用する「局所作用型」の薬です。なお薬物を皮下の血管内にまで到達させ、全身状態を改善したり特定の器官に薬剤を届けたりする「全身作用型」の貼り薬は「経皮吸収型製剤」として分類されます。
パップ剤やプラスター剤の原型は、筋肉痛や腫れ、傷の治療として紀元前の時代から用いられてきたといわれており、日本でも平安時代の医学書「医心方」にその処方と使用法についての記述が見られます。また戦国時代には、いくつかの生薬をごま油と混ぜ合わせ、紙に塗り広げて患部に貼る、という治療法が行われていました。
二種類の貼り薬
局所作用型と全身作用型。医薬品としては別分類ではありますが、形状も使い方もよく似ていますし、同じ「貼り薬」には違いありません。
局所作用型の貼付剤としては温感・冷感タイプのパップ剤、プラスター剤のほか、ベタメタゾンを含むテープ状のステロイド剤や麻酔作用を持つリドカインなどがあります。中でもパップ剤・プラスター剤は一番身近で、手軽に使える貼付剤ではありますが、同じ部位に長時間貼り続けると皮膚炎や発疹を起こすこともあるので要注意です。
全身作用型の経皮吸収型製剤は、血管拡張剤やホルモン剤などがありますが、一般の方々になじみ深いのは禁煙外来で使われる「ニコチンパッチ」でしょう。成分を経皮的に吸収させるため消化器官での吸収や肝臓での代謝の影響を受けず、皮膚に貼り付けている間は一定の血中濃度を維持できます。その一方で、皮膚に対する刺激性があること、皮膚を通過しにくい薬物では製品化そのものが難しい、というデメリットもあります。
薬剤師による外用剤貼付
厚労省は自ら先頭に立って「チーム医療」を推進しています。2010年4月に医政局長通知として出された「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」では、在宅を含む薬物治療中の患者に対して薬学的管理に、薬剤師をより積極的に活用するよう呼びかけています。こうした流れを受け、2014年3月に発せられた通知で、外用薬の貼付・塗布・噴射について、医学的な判断や技術を伴わない範囲で、薬局や在宅の現場で患者さんに実技指導できるようになりました。
厚労省の「チーム医療の推進」という姿勢が続く限り、医療の現場における「薬の専門家」としての薬剤師の活躍の場は、ますます広がっていくことが予想されます。
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