た行調剤過誤(ちょうざいかご)
調剤過誤とは?
調剤過誤とは、調剤時に処方箋や薬剤ラベルの読み間違いといった、薬剤師の過失によって調剤薬や配合量を誤ることを指します。また、調剤師の説明不足や指導内容などの間違いなどによって健康被害が生じた場合も、薬剤師の過失と見なされ、調剤過誤となります。
「ヒヤリ・ハット」が原因の1つに
調剤過誤の原因の1つと考えられているのが、「ヒヤリ・ハット」と呼ばれる薬剤師が薬局で調剤時にミスをすることです。「ヒヤリ・ハット」とは重大な事故には至らなかったものの、いつ重大な事故に直結してもおかしくない事象のことを言います。
薬剤師の団体組織である日本薬剤師会では、この「ヒヤリ・ハット」を、調剤過誤につながると重要視しており、2001年には「インシデント事例報告制度」を実施。全国の薬剤師から4040件の事例を集めました。ここでは以下のような事例がベスト3になりました。
1位 同じ医薬品の規格の間違い(21.4%)
2位 錠剤・カプセル剤の計数の間違い(21%)
3位 他薬を調剤(18.6%)
また、この3つで事例全体の6割を占める結果となりました。このほか、コンピューターの入力ミスなどの「薬剤情報提供文書・薬袋の記載ミス」(7.6%)も上位にあがってきていました。
そして、その原因には以下のようなものが上位を占めました。
1位 注意力の不足(28.6%)
2位 自己判断や思い込みによる処理(21%)
3位 調剤後の監査が不十分(19.1%)
4位 処方箋の読み間違い・無理な判読など17.3%)
日本薬剤師会では対策として、「ヒヤリ・ハット」の事例を記録し、共有するなどすることが、調剤過誤の防止に役立つとしています。また、薬局内の設備や調剤棚の配置を工夫するなどの改善も呼びかけています。
徹底的な管理体制を
これ以外にも、調剤過誤を防止するためには、薬局内で明確な管理・責任体制を徹底し、その中で医薬品が扱うことが大切です。具体的な管理体制は以下のようになります。
1.各薬局に適した安全管理のための指針、マニュアルを整備する
2.薬局従事者を対象とした、医療安全についての研修を定期的に実施する
3.薬局内外の報告によって、ヒヤリ・ハット事例や事故について薬局内で情報を共有する。それに参考に、それぞれの薬局に合った調合過誤防止の対策を講じる
4.安全管理が必要となる医薬品は業務手順を確立する。業務手順に基づいての調剤業務を行う。
同時に、医師、歯科医師、薬剤師、患者などとの間や、医療機関と薬局との間に十分連携をとっていくことも重要になります。
「ヒヤリ・ハット」を防ぎ、管理体制を徹底する。こうした対策を講じることで、調剤過誤の防止に取り組んでいくことが求められています。