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や行薬剤経済学(やくざいけいざいがく)

薬剤経済学とは

これは、医薬品の経済的効果について検証する学問分野の名称です。ある医薬品を使用することで生じる負荷と、その結果得られる効果について、臨床的効果とともに経済的効果もあわせて検証し、評価していくことを軸としています。

一般に、モノやサービスの経済的価値は費用対効果で評価されることが多いものです。その品質が同じなら、よりコストの低いもののほうが経済的価値は高いと評価されます。例外的に、バッグや時計、自動車などではその商品の「ブランド」という、品質とは直接関係のない要素が「所有する満足感」という効果を生み出しますが、薬剤経済学ではこうした要素が入り込む余地がありません。そのため、あくまでも治療のための費用と、その結果として得られる健康上の効果との費用対効果を評価することになります。

薬の効果をどのように数値化するのか

薬剤経済学では、医薬品の価値を「QALYs(クォーリーズ)=質調整生存年」という指針で評価します。これは、患者さんの生存年とQOL(Quality of Life:生活の質)をかけあわせた数値です。

たとえば健康な状態のQOLを1とした場合、QOL=0.7のまま30年後に亡くなった方と、当初はQOL=1.0であったのに10年ごとで0.8、0.6と下がっていき同じく30年後に亡くなった方とでは、生存年数が同じでもその30年間の状態はまったく違うことになります。このように、単に生存年数を比較するのではなく、そこにQOLの変化を反映させることで、医薬品の効果を社会的に数値化し、比較・評価することができます。

製薬会社などでは、このQALYsに加えて長期間におよぶ変化を予測するため、臨床試験等で得られたデータから生命予後とQOLを反映したQALYsの推移モデルを作り、それをもとに医薬品の薬剤経済学的価値を評価することも行われています。

QALYsから導かれる薬剤経済学の考え方

コストとその効果のバランスを測る薬剤経済学は、治療を受ける患者さんはもちろん、治療を提供する医療機関、製薬会社、さらに医療行政においても活用されています。「従来よりもコストが低く効果が高い」というのが理想ですが、これ以外はすべてダメかというと、決してそうでもありません。

たとえば新薬は、従来品以上の効果を持つもののコストが高い「高コスト・高効果」なものと評価されるのが常ですが、たとえコストが増大しても、それに見合う効果が得られるならばよしとすることもできるでしょう。そうなると、次には「どの程度の効果が得られれば、どの程度までのコストアップを許容できるのか」という問題が持ち上がってきます。

こうした考え方は、すでに欧米では盛んに議論され、おおよそのラインが摸索されて、実際に医療政策に反映されているようです。日本においても、これから議論が盛んになっていくものとみられています。

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