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【2027年~】薬が値上げされる?OTC類似薬77成分の対象一覧・追加負担の仕組みを解説【薬剤師必見】

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ニュースを見て、「いつも飲んでいる薬が高くなるの?」と疑問を感じた患者様から、「うちの薬も値上がりするの?」と聞かれたとき、うまく説明できるか不安ではありませんか。この記事を読めば、制度の正確な仕組みと対象範囲、そして患者様への説明の型まで理解でき、窓口で戸惑うことなく、根拠を持って案内できるようになります。

2027年3月から、OTC類似薬(市販薬と有効成分が類似する医療用医薬品)について、薬剤費の4分の1を「特別の料金」として追加負担する新たな仕組みが導入される予定です。対象は77成分・1,042品目となる予定です。この記事では、制度の背景や対象、開始時期に加え、薬剤師として押さえておきたい服薬指導のポイントを解説します。

出典:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について|令和8年9月16日 第216回社会保障審議会医療保険部会 資料

この記事からわかること

  • OTC類似薬の追加負担制度と開始時期
  • 対象となる77成分・1,042品目と追加負担の計算方法
  • 患者様への説明・処方適正化のポイント

目次アイコン目次

【2027年~】薬が値上げされる?OTC類似薬77成分の対象一覧・追加負担の仕組みを解説【薬剤師必見】

1. 「薬の値上げ」とは?OTC類似薬の追加負担制度をわかりやすく解説

ニュースで話題の「薬の値上げ」の正体を、正確に整理します。

1-1. 「薬の値上げ」の正体はOTC類似薬の追加負担

OTC類似薬は、市販薬と有効成分・効能効果が類似する医療用医薬品です。たとえば医療用の「ロキソニン錠60mg」と市販の「ロキソニンS」は成分・含有量が同じ薬ですが、処方箋の有無と保険適用の有無によって患者負担が大きく異なります。こうした負担の差により、「軽症でも受診したほうが安い」という受診行動の発生につながることが、見直しの背景にあります。なお、ジェネリック医薬品もOTC類似薬に該当する場合があります。

議論されていた全面的な保険適用除外は見送られ、薬剤費の4分の1を「特別の料金」として患者が追加負担する仕組みに落ち着きました。全面的な保険適用除外の見送りは、社会保障審議会医療保険部会における議論のとりまとめ、および中医協総会での検討を経た結果です。

医療保険部会では「一律に保険給付から外すことは、受診が必要な患者の受療機会を損なうおそれがある」といった懸念が示され、これを踏まえて「特別の料金」という追加負担方式が採用された経緯があります。あわせて、法案審議時の国会附帯決議においても、低所得者・小児等への配慮を求める内容が盛り込まれており、これが後述する適用除外規定(1-2参照)の根拠にもなっています。

2026年5月に「健康保険法等の一部を改正する法律」が成立し、法整備は完了しています。

出典:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について|令和8年9月16日 第216回社会保障審議会医療保険部会 資料

1-2. 報道と実際の制度のギャップ|薬剤師が押さえるべきポイント

現場でまず伝えるべきは「薬が一律に値上げされるわけではない」という点です。対象はOTC類似薬に限られ、保険給付自体はなくなりません。

窓口では、以下の順で説明すると患者の不安を最小限にできます。

  1. 対象は一部の薬だけ
  2. 保険は引き続き使える
  3. 開始は先の話

制度の正体は「一部の薬への追加負担」です。次章では、いつから始まるかを整理します。

2. 薬の値上げはいつ・どの薬が対象? スケジュールと対象範囲

「いつから」「どの薬が」という疑問に答えます。

2-1. 実施時期と対象範囲

実施は令和8年度中、具体的には2027年3月です。2026年5月の法改正成立後、対象品目や配慮対象患者の詳細が中医協・社会保障審議会医療保険部会で検討され、確定しました。対象は77成分・1,042品目となる予定です。OTC医薬品と成分・投与経路・最大用量が同一の医療用医薬品が機械的に選定されており、鼻炎、胃痛、便秘、解熱鎮痛、かぜ症状、腰痛・肩こり、みずむし、口内炎、皮膚のかゆみなどが中心です。

一方、小児、がん患者、指定難病患者、低所得者、入院患者は「特別の料金」の適用除外とされています。医師が長期使用を医療上必要と判断した場合も除外の対象です。

出典:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について|令和8年9月16日 第216回社会保障審議会医療保険部会 資料

2-2. 患者から「いつから高くなるの?」と聞かれたときの答え方

確定情報と未確定情報を切り分けて伝えましょう。
現場で使いやすいよう、以下の3ステップで対応する型を作っておくと、誰が対応しても同じ説明ができます。

ステップ1:時期を伝える 「2027年の3月に始まる予定です」
ステップ2:「対象となる薬は、77成分1,042品目となる予定です」
ステップ3:フォローの約束をする 「具体的な運用が決まりましたら、薬局からあらためてご案内しますね」

この3文をつなげると、次のような一文テンプレートになります。

【一文テンプレート】 「2027年の3月に始まる予定ですが、対象となるお薬や運用方法はこれから決まりますので、決まり次第、こちらから改めてご案内しますね。」

このテンプレートを店舗内で共有し、朝礼などで一度読み合わせておくと、スタッフ間で説明のブレを防げます。

3. 薬の値上げで患者負担はいくら増える?計算方法と市販薬・ジェネリック比較

3. 薬の値上げで患者負担はいくら増える?計算方法と市販薬・ジェネリック比較

金額イメージを具体的に押さえておきましょう。

3-1. 計算例と市販薬との比較

計算はシンプルで、薬剤費の4分の1が特別の料金として上乗せされます。薬剤費1,000円・3割負担の場合、現状の窓口負担300円に250円が加わり、合計550円となります。

続いて、日数が少ないケースについても前提を明示して計算します。
【前提条件】
対象薬:解熱鎮痛薬(NSAIDs、OTC類似薬に該当)
処方:1日3回×5日分
薬剤費(調剤報酬点数から算出される薬剤費相当額):150円と仮定
患者負担割合:3割

【計算】
現行の窓口負担:150円×0.3=45円
見直し後の負担:45円(3割負担部分)+150円×0.25(=37.5円、四捨五入で38円)=83円程度

※この金額はあくまで一例であり、実際の負担額は処方される薬剤の薬価・日数・規格によって変動します。
別途初診料や調剤基本料などの技術料等が生じるため、ご自身の薬局で扱う具体的な薬剤について確認する際は、実際の薬価をもとに再計算してください。

同じ成分の市販薬が約500~600円の場合、追加負担後も医療用医薬品のほうが安いケースがあります。医療用医薬品のほうが安く済みやすいのは、次のような条件が重なる場合です。

  • 処方される薬剤費そのものが比較的低い(ジェネリック医薬品である、規格が小さいなど)
  • 処方日数が短期(5~7日程度)である
  • 比較対象となる市販薬がブランド品で価格が高め(500~600円程度)である

逆に、長期処方・高用量になるほど薬剤費に対する4分の1加算の絶対額が大きくなるため、「医療用のほうが必ず安い」とはいえなくなる点に注意が必要です(詳細は3-2で解説)。

ただし、市販薬を購入した場合はセルフメディケーション税制の活用も選択肢になります。セルフメディケーション税制の活用としては、対象となるOTC医薬品(スイッチOTC等)の年間購入額が12,000円を超えた場合、その超過分(上限88,000円)を所得控除できるイメージです。

適用には、健康診断や予防接種など一定の健康の維持・増進に関する取り組みを行っていることが条件となります。市販薬への切り替えを提案する際は、「レシートを保管しておくと確定申告で税制優遇を受けられる可能性がありますよ」と一言添えると、患者様にとって具体的なメリットとして伝わりやすくなります。

3-2. ジェネリックへの影響と、負担差が出るケース

見落としやすいのが、ジェネリック医薬品でもOTC類似薬に該当すれば追加負担の対象になる点です。「ジェネリックに変えれば安くなる」という従来の説明が、この領域では通用しなくなります。

負担増が大きいのは、長期処方の患者や、OTC類似薬を複数併用している患者です。

【具体例】慢性便秘症で酸化マグネシウム330mg錠を1日3錠×90日分処方されている患者

  • 薬剤費を90日分で概算3,000円とすると、現行の3割負担は900円
  • 見直し後は900円+(3,000円×0.25=750円)=1,650円
  • 差額は750円の負担増(90日ごと)

このように、長期・大量処方になるほど「薬剤費の4分の1」という加算額そのものが大きくなるため、短期処方に比べて負担増の実額が目立ちやすくなります。逆に短期・単剤の処方であれば影響は限定的で、適用除外に該当する患者は負担が変わりません。

3-3. 薬局窓口での「金額説明」実務のポイント

レシート上で「特別の料金」がどう表示されるかを事前に確認し、スタッフ間で説明を統一しておきましょう。「制度が変わったので」とだけ説明するのではなく、掲示物やチラシで事前に周知し、会計時に初めて知る状況を避けましょう。

【会計前に準備しておくべき3つのタスク】

  • レセコン・レジシステム上で「特別の料金」がレシートにどのように表示されるかを事前に確認し、店舗内で共有する
  • 対象成分・対象患者(長期処方患者など)を事前にリストアップし、スタッフ間で共有しておく
  • 会計前に患者の目に触れるよう、待合室・受付に説明用の掲示物やチラシを設置し、周知のタイミングを決めておく

この3点を開始前にチェックリストとして運用しておくと、会計時のトラブルを未然に防ぎやすくなります。

金額差は限定的でも、説明不足は不信につながります。次章では制度の背景を押さえます。

4. なぜ一部の薬だけ値上げに? 制度の背景と目的

制度の狙いを理解すると、患者への説明にも説得力が出ます。令和6年度の概算医療費は約48兆円に達し、今回の見直しによる削減効果は年間約900億円が見込まれています。高齢化で医療需要が拡大するなか、現役世代の保険料負担は年々重くなっています。

もうひとつの柱がセルフメディケーションの推進です。軽度な症状はOTC医薬品で自己管理してもらい、限られた医療資源を重症・慢性疾患に集中させることは、2017年導入のセルフメディケーション税制と同じ方向性の施策といえます。患者には「軽い症状はご自身で、必要なときは医療機関で」という役割分担の話として伝えると納得を得やすいでしょう。

背景は「医療費適正化」と「セルフケア推進」です。この2つを背景に考えるならば、薬剤師は単に処方箋どおりに調剤するだけでは不十分といえます。たとえば、「この患者様に本当に医療用医薬品が必要か」「市販薬やセルフケアで対応できないか」を一歩踏み込んで判断し、提案する対人業務へのシフトが求められるでしょう。制度の趣旨を理解した上で処方適正化やOTC提案に関わることが、今後の薬剤師の専門性を示す機会にもなります。

これをふまえ、次章では対象成分を具体的に確認していきます。

出典:令和6年度 医療費の動向|厚生労働省

下田氏
下田コメント
窓口では「値上げ」ではなく「一部の薬に上乗せが入る」と伝えるのが正確です。市販薬より安く済む場合も多いため、金額を具体的に示して比較すると患者の納得を得やすくなります。

5. 薬の値上げ対象となるOTC類似薬・77成分一覧【用途別】

令和8年9月16日第216回社会保障審議会医療保険部会資料が公表され、対象となる77成分1,042品目となる予定です。代表的な成分を用途別に整理します。

出典:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について|令和8年9月16日 第216回社会保障審議会医療保険部会 資料

5-1. 用途別の主な対象成分

領域 代表的な成分(厚労省資料No.)
解熱鎮痛・鎮痛消炎(NSAIDs等) イブプロフェン(No.8)、ロキソプロフェンナトリウム水和物(No.76)、ジクロフェナクナトリウム(No.33)、フェルビナク(No.53)、インドメタシン(No.10)、イブプロフェンピコノール(No.9)
抗アレルギー・鼻炎 フェキソフェナジン塩酸塩(No.51)、エピナスチン塩酸塩(No.12)、ロラタジン(No.77)、ケトチフェンフマル酸塩(No.24)、ベポタスチンベシル酸塩(No.63)、モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物(No.73)
皮膚科・ステロイド外用 ヘパリン類似物質(No.62)、尿素(No.44)、デキサメタゾン(No.40)、ヒドロコルチゾン酪酸エステル(No.50)、ベタメタゾン吉草酸エステル(No.60)、フルチカゾンプロピオン酸エステル(No.58)
抗真菌薬(水虫等) クロトリマゾール(No.20)、テルビナフィン塩酸塩(No.41)、ブテナフィン塩酸塩(No.54)、ミコナゾール硝酸塩(No.71)、イソコナゾール硝酸塩(No.5)、オキシコナゾール硝酸塩(No.15)
胃腸・便秘 酸化マグネシウム(No.30)、ピコスルファートナトリウム水和物(No.47)、ビサコジル(No.48)、炭酸水素ナトリウム(No.37)、イトプリド塩酸塩(No.7)
殺菌消毒剤 エタノール(No.11)、オキシドール(No.17)、クロルヘキシジングルコン酸塩(No.23)、ポビドンヨード(No.69)、ベンザルコニウム塩化物(No.66)
ビタミン・滋養強壮 アスコルビン酸(No.3)、トコフェロール酢酸エステル(No.42)、ブドウ酒(No.56)
抗ウイルス薬 アシクロビル(No.1)、ビダラビン(No.49)
その他(総合感冒・睡眠関連等) サリチルアミド・アセトアミノフェン配合総合感冒剤(No.25)、ラメルテオン(No.75)

上記は厚生労働省が公表した対象成分リスト(全77成分)のうち代表例を抜粋したものです。選定基準は「OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品」であり、メーカー単位ではなく有効成分単位で判定されています。

負担が高くなるケースとして、以下のようなケースが該当します。

酸化マグネシウム:慢性便秘症で1日3錠×90日分など、長期にわたり処方されることが多い成分です。3-2で示したように、長期処方になるほど「薬剤費の4分の1」の絶対額が大きくなるため、負担増を実感しやすい代表例といえます。

ヘパリン類似物質:加齢性皮膚乾燥症などで油性クリーム・ローションが1日2回×60日分といった長期処方になりやすく、外用薬でも同様に負担増の影響を受けやすい成分です。こうした成分を長期処方されている患者様には、開始前のタイミングで説明の機会を作っておくことが望ましいでしょう。

5-2. 調剤現場での見分け方と注意点

確認は薬価基準収載品リストと添付文書が基本ですが、実務ではレセコンや薬歴システムのフラグ表示を活用するのが現実的です。同一成分でも用量・剤形が異なる場合は注意が必要です。OTCと最大用量が一致しない薬や、配合成分が一部異なるジェネリックなどは、個別に確認します。

一覧の暗記より「調べ方」の共有が現場では有効です。次は窓口対応を見ていきましょう。

6. 薬の値上げで現場薬剤師の実務はこう変わる【ケース別対応例】

6. 薬の値上げで現場薬剤師の実務はこう変わる【ケース別対応例】

明日から使える具体的な対応を整理します。

6-1. 服薬指導トーク例と疑問への回答

長期使用が必要な抗アレルギー薬や外用薬は、医療上の必要性を医師と共有し、便秘薬・胃腸薬では、生活習慣の助言とあわせてセルフケアを提案しましょう。各薬に合わせて、以下のように話せるかもしれません。

【かぜ薬・解熱鎮痛薬のトーク例】
「市販薬でも同じ成分が買えますが、この量ですと保険のお薬のほうがまだお安いですよ」と比較して示すと納得されやすくなります。

【長期使用が必要な抗アレルギー薬・外用薬のトーク例】
「このお薬は長く続けていただく必要があるお薬なので、追加のご負担が続くようなら、次回の受診時に医師と一度ご相談してみますね」

【便秘薬・胃腸薬のトーク例】
「毎日の水分やお食事の工夫と合わせて、市販の整腸剤も選択肢のひとつです。まずは生活習慣の見直しから一緒に考えてみましょうか」

「前より高くなった」と言われた場合は、まず制度変更である旨を伝え、次に金額の内訳、最後に代替案の順で説明します。「なぜ自分だけ」という声には、小児やがん患者などの適用除外があることを丁寧に伝えて、誤解の解消に努めましょう。

6-2. 処方元・医師との連携

適用除外の判断は医師の裁量に関わるため、対象成分が長期処方されている患者については、事前に情報共有しておくとスムーズです。実際の連携では、次のような一言を添えると医師への相談がスムーズになります。

【長期処方患者について確認する場合】
「〇〇さんは酸化マグネシウムを90日分継続処方されていますが、追加負担の適用除外(医療上の必要性)に該当するか、次回受診時にご確認いただけますでしょうか」

【掲示物を医療機関と共同整備する場合】
「患者様への案内を統一したいので、当薬局で作成した説明チラシを受付や待合室にも置かせていただけないでしょうか」

患者向け掲示物を医療機関と共同で整備しておけば、個別対応や双方の説明負荷を減らせます。こうした説明の型が有効とされる理由は、クレーム対応・患者対応における基本的な考え方に基づいています。金額という事実をいきなり伝えると「一方的な値上げ」という印象を与えやすいのに対し、「制度の背景→金額の内訳→代替案」の順で伝えることで、患者様は「理由のある変更」として受け止めやすくなります。

これは接客対応における一般的な説明順序の考え方とも一致しており、型を用意しておくことでスタッフ間の説明品質のばらつきも防げます。

ここまであげてきたように、説明の型を持っておくと混乱を回避しやすいでしょう。次章ではこれからの時代に向けた薬剤師の役割を考えます。

7. 「薬の値上げ」時代に薬剤師が果たすべき役割

制度変更は、薬剤師の専門性が問われる場面でもあります。

7-1. 患者への丁寧な説明が求められる

求められるのは、「なぜ薬代が上がるか」を平易に伝える力と、適用除外に該当する患者を正しく見極める判断力です。さらに、症状に応じた市販薬の活用提案、重複投薬や残薬の整理といった処方適正化も、そのまま患者の負担軽減につながります。「お薬代で気になることはありませんか」と声をかけ、経済面も踏まえて、医療用医薬品の継続かOTCへの切り替えかを一緒に検討することも大切です。

7-2. 処方適正化・OTC活用提案の重要性

OTCの知識と販売経験を持つ薬剤師の価値は確実に高まります。
背景として、調剤併設型を含むドラッグストアの店舗数は長期的に増加傾向にあり、日常的な体調不良の相談窓口としての役割が広がっています。また厚生労働省の検討会報告書等でも、セルフメディケーションの推進と、その担い手として薬剤師が適切な受診勧奨(トリアージ)やOTC選択の支援を行うことの重要性が繰り返し示されています。処方箋調剤とOTC提案を両立できる人材は、併設型薬局を中心に需要が拡大していくでしょう。

裏を返せば、対物業務中心の職場では、こうしたスキルを伸ばしにくいのも事実です。職場選びの判断軸として、「処方提案の裁量があるか」「OTCカウンセリングの教育体制が整っているか」も意識しましょう。判断に迷う場合は、薬剤師専門の転職エージェントに相談してみるのもひとつの方法です。

説明力とOTC知識が今後の武器になります。続いて中長期の視点を確認します。

制度変更への対応力やOTC提案スキルは、今後ますます評価されるポイントです。
「今の職場でこうしたスキルを伸ばせるか不安」「OTCやセルフメディケーションに強い職場を知りたい」という方は、早めに情報収集を始めておくと安心です。

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8. 中長期でみた薬の値上げと、薬剤師キャリアへの影響

今回の改正は一度きりで終わらない可能性があります。湿布薬やビタミン剤の保険給付範囲は過去にも繰り返し議論されてきました。医療費適正化計画の枠組みのなかで、対象成分がさらに追加される可能性も十分にあります。

OTC販売やセルフメディケーション支援が進むなか、OTC知識やセルフケア相談、疑義照会・処方提案などの対人スキルがより重要になると考えられます。

制度の流れを読み、早めに経験を積むことが将来の選択肢を広げます。最後によくある質問をまとめます。

「この先、処方が減っていくと自分のポジションはどうなるか」「対人業務を強化できる環境に移るべきか」など、制度変更をきっかけにキャリアを見直す薬剤師も増えています。アポプラス薬剤師では、制度や業界動向に詳しいキャリアアドバイザーが、将来を見据えたキャリア相談を無料で行っています。

薬剤師専門アドバイザーに、将来を見据えたキャリア相談をしてみる

下田氏
下田コメント
対象成分の中には長期処方の多い薬も含まれます。開始前に該当患者を洗い出し、医師と適用除外の要否を共有しておくと窓口の混乱を防げます。

9. 薬の値上げ・OTC類似薬に関するよくある質問(Q&A)

現場で聞かれやすい疑問をまとめました。

Q1. 薬の値上げはいつから始まりますか?

令和8年度中、2027年3月から実施です。

出典:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について|令和8年9月16日 第216回社会保障審議会医療保険部会 資料

Q2. ジェネリック医薬品も値上げの対象になりますか?

OTC類似薬に該当すれば対象となり、ジェネリックでも追加負担が発生する場合があります。

出典:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について|令和8年9月16日 第216回社会保障審議会医療保険部会 資料

Q3. 対象となる薬の一覧はどこで確認できますか?

厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会資料や技術的検討会資料で順次公表されます。

出典:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について|令和8年9月16日 第216回社会保障審議会医療保険部会 資料

Q4. 市販薬に切り替えたほうが安くなりますか?

追加負担後も医療用医薬品のほうが安価な場合も多いですが、市販薬を選ぶ場合はセルフメディケーション税制も活用できます。

Q5. 生活保護受給者・公費負担医療の対象者はどうなりますか?

低所得者は適用除外に位置づけられています。公費負担医療との併用時の取り扱いなど、未確定部分は今後の政省令で整理される見込みです。

出典:OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について|令和8年9月16日 第216回社会保障審議会医療保険部会 資料

Q6. 調剤薬局・ドラッグストアで働くパート薬剤師にも制度理解は必要ですか?

窓口で質問を受ける以上、必須です。開始時期・対象範囲・適用除外の3点を押さえておけば、短時間勤務でも十分に対応できます。制度理解のある薬剤師は現場で重宝されます。

制度の詳細は今後の政省令で固まります。最新情報を追いながら、患者に寄り添った説明ができる体制を整えておきましょう。

まとめ| 「薬の値上げ」時代に薬剤師が果たすべき役割

2027年3月から、OTC類似薬77成分・1,042品目について、「特別の料金」として薬剤費の4分の1が追加負担される新たな仕組みが導入される予定です。ジェネリック医薬品も対象となるため、薬剤師には、患者説明や処方適正化への対応が求められます。

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監修者

下田氏

薬剤師・薬局経営コンサルタント 下田 篤男

京都大学薬学部総合薬学科卒業。 卒業後は調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務。 総合病院門前などで管理薬剤師として経験を積んだのち、マネジメント業務にも携わる。現在は薬剤師として働く傍ら、医療記事の執筆、編集や薬局経営コンサルタントとしても活動している。

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