薬剤師が取るべきおすすめの資格9選!各メリットや取得方法
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薬剤師がキャリアアップを目指す手段の1つとして、資格取得は有効です。しかし、薬剤師の資格にはさまざまな種類があり、どの資格を取得すればいいのか悩むこともあるでしょう。
資格を選ぶときには、それぞれの資格を取得するとどのような職場で活躍できるのか、どのようなメリットがあるのかを知っておくことが大切です。
そこで本記事では、薬剤師におすすめの資格9選と、それぞれのメリット・取得方法について詳しく解説します。
目次
薬剤師が取るべきおすすめの資格9選!各メリットや取得方法
1. 薬剤師における資格の重要性
薬剤師にとって、資格取得は非常に重要です。資格の有無は、業務内容や収入にまでも影響を及ぼします。
資格があれば、職場での業務の幅を広げられます。また、特定の専門資格を持つことで専門性を評価され、収入アップも見込めるでしょう。
加えて、資格があると他の薬剤師との差別化を図れるため、転職市場でも有利に働きます。
薬剤師の職務に関する資格には、大きくわけて「認定薬剤師」と「専門薬剤師」の2つがあります。これらは国家資格である薬剤師免許とは異なり、民間の資格です。
資格制度のある主な領域には「がん」「精神科」「HMV感染症」「感染制御」「妊婦・授乳婦」の5つがあり、それぞれに「認定薬剤師」と「専門薬剤師」の資格が設定されています。上記5分野の「専門薬剤師」になるには、各々の分野の「認定薬剤師」の資格を取得することが条件になります。
また、この5つの領域以外にも多くの分野において認定薬剤師・専門薬剤師の資格があります。自分のキャリアプランに沿って、目指す資格を選ぶことが大切です。
2. 「認定薬剤師」のおすすめ資格6選
認定薬剤師には多様な種類があるため、どれを取得すべきか悩むこともあるでしょう。認定薬剤師でおすすめの資格には、以下の6つがあります。
- 研修認定薬剤師
- がん薬物療法認定薬剤師
- 在宅療養支援認定薬剤師
- 緩和薬物療法認定薬剤師
- 感染制御認定薬剤師
- 漢方薬・生薬認定薬剤師
それぞれについて、詳しく解説していきます。
2-1. 研修認定薬剤師
活躍できる場所 | 病院、薬局、研究施設、教育機関 |
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取得のメリット |
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「研修認定薬剤師」は、一定期間内に特定の単位を取得したことの証明となる資格です。比較的チャレンジしやすい資格で、あらゆる業種で働く薬剤師におすすめの資格です。
認定を受けるためには、対象の研修を4年以内に受講し、50単位以上を取得する必要があります。(かつ各年5単位以上)研修内容は、基礎薬学・医療薬学・衛生薬学・薬事関連法規など、幅広い分野に及びます。
「研修認定薬剤師」の資格を取得することで、昇進が見込めたり、かかりつけ薬剤師として活躍したりすることが可能になるでしょう。
より質の高い知識を習得している証明として、1994年から「認定薬剤師」の制度がスタートしました。ここでは、キャリアアップにつながる認定薬剤師のメリットなどについてご紹介します。
2-2. がん薬物療法認定薬剤師
活躍できる場所 | がん治療をおこなう病院、がんセンター、クリニック |
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取得のメリット |
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「がん薬物療法認定薬剤師」は、がん医療における薬物療法の専門知識を持つことを認定する資格です。医師や看護師と連携し、最適な薬物療法の提案や助言をおこなうため、チーム医療において重要な役割を果たします。
また、患者さまやその家族の方へ薬物療法に関する説明や指導をおこない、治療へのアドヒアランスの向上を図るのも業務の1つです。
「がん薬物療法認定薬剤師」の認定試験を受けるには、薬剤師としての実務経験が3年以上ある、日本病院薬剤師会が定める実技研修を受けるなど、複数の要件があります。専門性の高い資格のため、取得することで医療従事者や患者さまからの信頼が高まることが期待できます。
近年は薬物療法が主流となりました。とはいえ、抗がん薬の選択や副作用への対策など、複雑な治療管理が必要となります。
そのため、がん薬物療法の高い知識と技術を有する「がん専門薬剤師」の需要が高まっています。
2-3. 在宅療養支援認定薬剤師
活躍できる場所 | 在宅医療を提供する薬局、病院、訪問診療クリニック |
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取得のメリット |
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「在宅療養支援認定薬剤師」は、在宅医療を必要とする患者さまに対して、医療・介護を提供する専門的な知識やスキルを持っていることを認定する資格です。患者さま一人ひとりに合わせて、服薬指導や残薬管理などをおこなう業務を担います。
近年は、病院ではなく、自宅や施設など住み慣れた場所で医療を受けるケースが増えています。そのような在宅医療のニーズに応えるために必要な知識・技術・姿勢を身につけ、質の高い医療を提供するのが、在宅療養支援認定薬剤師の役割です。
取得するには、薬剤師としての実務経験が3年以上あり、在宅業務の実践による5事例の報告の提出をするなどの要件を満たす必要があります。
日々進化する在宅医療の現場で、薬剤師は具体的にどのような業務を担い、どういったスキルを求められているのかよくわからない人もいるでしょう。
そこで今回は、在宅医療での薬剤師の役割、業務内容、必要なスキルや資格について解説します。
2-4. 緩和薬物療法認定薬剤師
活躍できる場所 | ホスピス、緩和ケア病棟、総合病院 |
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取得のメリット |
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「緩和薬物療法認定薬剤師」は、がん治療における緩和ケアに関して専門知識があると認定される資格です。がん治療における緩和ケアでは、薬の選び方と服薬方法が非常に重要で、高度な技術や深い知識が求められます。
緩和薬物療法認定薬剤師は、患者さまの症状や状態に合わせて、副作用を最小限に抑えつつ効果的な薬の服薬方法を考える必要があります。また、患者さまに適切な服薬指導をするのも重要な業務の1つです。
「緩和薬物療法認定薬剤師」を取得するには、緩和医療に3年以上従事すること、緩和医療領域の薬剤管理指導の実績を、30症例以上提示できるなどの要件があります。
資格を取得することで、緩和ケアの領域で専門性が高いことの証明となり、ホスピスや緩和ケア病棟などの病院薬剤師として活躍できるでしょう。
2002年の診療報酬改定により、緩和ケア診療加算が新設され、多くの施設で緩和ケアチームが活動するようになっています。
緩和ケアチームは、医師、薬剤師、看護師などがチームを組みますが、薬剤師はどのように関わっていくべきなのか、情報をまとめました。
2-5. 感染制御認定薬剤師
活躍できる場所 | 病院、とくに感染症科、感染制御部門 |
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取得のメリット |
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「感染制御認定薬剤師」は、感染症治療・予防領域において適切かつ安全な薬物療法をおこなえる知識と技術があると認定される資格です。医療現場では、感染対策チームの一員として他の医療系職種と連携し、感染対策の提案や感染対策マニュアルの作成といった業務を担います。
資格を取得するためには、薬剤師の実務経験が3年以上あること、病院や診療所に勤務し、院内感染対策チームに3年以上所属していることなど、複数の要件をすべて満たす必要があります。
「感染制御認定薬剤師」の資格を取得することで、病院内の感染対策チームの一員として活躍でき、院内感染の防止対策に貢献できるでしょう。
2-6. 漢方薬・生薬認定薬剤師
活躍できる場所 | 漢方薬を取り扱う薬局、病院、クリニック |
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取得のメリット |
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「漢方薬・生薬認定薬剤師」は、漢方薬や生薬に関して一定以上の専門性と適性を持っていることが認められる資格です。服薬指導や服薬管理、患者さまや医師への情報提供などが可能になります。
セルフメディケーションの関心が高まる中、漢方薬への注目も増しています。漢方薬の専門知識を習得することで、薬剤師としての付加価値が高まるでしょう。
資格を取得するには、日本生薬学会及び日本薬剤師研修センターの実施する特定の研修会を取得し、薬用植物園実習を受け、資格試験に合格する必要があります。
「漢方薬・生薬認定薬剤師」の資格を取得することで、漢方薬専門の薬局への転職が有利になるでしょう。また、専門分野を持つ薬剤師として、医師をはじめとする医療従事者からの信頼が高まるでしょう。
漢方薬の専門家の需要が高まっており、漢方薬に特化した「漢方薬剤師」を目指す薬剤師も増えています。そこで、漢方薬剤師になるメリットや、「漢方薬・生薬認定薬剤師」の認定を取得する方法などについてご紹介します。
3. 「専門薬剤師」のおすすめ資格3選
特定の分野で専門性を高め、その分野のプロフェッショナルとして活躍したい人には、専門薬剤師の資格取得が向いています。専門薬剤師でおすすめの資格には、以下の3つがあります。
- 妊婦・授乳婦専門薬剤師
- 精神科専門薬剤師
- 感染制御専門薬剤師
それぞれについて、詳しく解説します。
3-1. 妊婦・授乳婦専門薬剤師
活躍できる場所 | 産婦人科、一般の病院や薬局、妊婦や授乳婦の健康相談をおこなう施設 |
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取得のメリット |
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「妊婦・授乳婦専門薬剤師」は、妊娠中や授乳中の女性に対する薬物療法に関して、高度な知識と熟練した技術を持つ薬剤師に与えられる資格です。この資格があれば、妊婦や授乳中の女性が、安心して医療を受けられるようにサポートすることができます。
具体的には、胎児や乳児に影響を及ぼさないよう配慮した薬物治療の提案や実践などが挙げられます。疾患を持つ妊婦や母親に対して、適切な薬物療法をおこなうことも、重要な役割の1つです。
「妊婦・授乳婦専門薬剤師」を取得するためには、「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師」を先に取得する必要があります。
3-2. 精神科専門薬剤師
活躍できる場所 | 精神科病院、精神科クリニック、総合病院の精神科部門 |
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取得のメリット |
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「精神科専門薬剤師」は、精神科治療における薬物療法に関する深い知識と高度な技術を有することを証明する資格です。医師や看護師と連携し、患者さまの快適な生活や社会復帰をサポートする役割を担います。
精神科専門薬剤師になるためには、「精神科薬物療法認定薬剤師」の資格を取得していることが前提となります。
3-3. 感染制御専門薬剤師
活躍できる場所 | 病院の感染症科、感染制御部門、公衆衛生関連の施設 |
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取得のメリット |
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感染制御専門薬剤師は、感染症の知識や感染制御に関するスキルを十分に備えている薬剤師に認められる資格です。主な業務は、患者さまが安心して医療を受けられるように、感染のリスクが低い環境を整えることです。
感染症に罹患した患者さまに対しては薬物療法を通じて回復をサポートし、感染リスクがある患者さまには、感染制御のための適切な対処をします。また、医療従事者へ感染制御に関する知識を教育するのも、業務の一部です。
感染制御専門薬剤師を目指す場合は、まずは「感染制御認定薬剤師」を取得し、実務経験を積んで試験を受ける必要があります。
4. 「認定薬剤師」「専門薬剤師」の資格を取得する方法
ここでは、認定薬剤師と専門薬剤師の資格を取得する方法を解説します。
4-1. 認定薬剤師の取得方法
認定薬剤師を取得するには、以下の3ステップで進めます。
- STEP1薬剤師研修・認定電子システム(PECS)の登録をする
- STEP2研修を受ける
- STEP3認定の申請をする
それぞれについて、詳しく解説していきます。
4-1-1. STEP1薬剤師研修・認定電子システム(PECS)の登録をする
認定薬剤師を取得するには、まず、日本薬剤師研修センターの薬剤師研修・認定電子システム(PECS)の登録をおこないます。認定に必要な単位などはPECSで管理され、システムを通じて認定申請も可能です。
令和3年までは、薬剤師研修手帳に研修受講シールを貼り付けて単位数を管理していました。現在では、薬剤師研修手帳の配布は終了し、PECSのシステム上で管理する方式に移行しています。
4-1-2. STEP2研修を受ける
PECSの登録を済ませたのち、認定団体の定める研修に参加します。研修の種類には、以下の8つがあります。
- 集合研修(座学/実習)
- 学術集会
- e-ラーニング研修
- Web利用研修(集合研修即時配信)
- Web利用研修(学術集会)
- 自己研修
- 学術集会等発表
- 学術雑誌論文掲載
取得を希望する認定薬剤師によって必須となる研修は異なり、取得単位は年間の上限取得数や有効期限が設けられていることもあります。どの研修に参加するかは、取得目標となる認定薬剤師の要件を確認したうえで、計画的に進めましょう。
参考:研修認定薬剤師制度実施要項|日本薬剤師研修センター4-1-3. STEP3認定の申請をする
研修単位やその他必要な条件を満たした後は、認定の申請をおこないます。PECSから認定を申請し、必要書類を日本薬剤師研修センターに送付し、審査を受けます。審査を通過して認定薬剤師に登録されると、「認定薬剤師証」が発行されます。
また、認定薬剤師の場合、認定期間が3年と定められているため、保持し続けるには3年に1回の更新手続きは欠かせません。なお、更新時には研修に参加して一定の単位を取得する必要があります。
4-2. 専門薬剤師の取得方法
専門薬剤師の取得方法は、以下の2ステップで進みます。
- STEP1各専門薬剤師の要件を満たす
- STEP2資格試験に合格する
それぞれについて、詳しく解説していきます。
4-2-1. STEP1各専門薬剤師の要件を満たす
専門薬剤師になるには、まずそれぞれの専門薬剤師受験の要件を満たす必要があります。要件には、特定の専門分野に関連する研修や講座の受講、認定薬剤師資格の取得などがあります。
例えば、がん専門薬剤師では、以下11項目の要件を満たして初めて試験を受けられます。
- (1)日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格と見識を備えている
- (2)薬剤師としての実務経験を5年以上有する
- (3)申請時において、一般社団法人日本医療薬学会本学会の会員である
- (4)「日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師」、「日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤師」、「日本薬剤師会生涯学習支援システム(JPALS)クリニカルラダー5以上」のいずれかの認定を受けている
- (5)本学会が認定する「がん専門薬剤師研修施設」において、本学会の定めた研修ガイドラインに従って、がん薬物療法に関する5年以上の研修歴を有する
- (6)細則「別表」で定めるクレジットを5年で50単位以上取得している
- (7) がん専門薬剤師集中教育講座に1回以上参加した
- (8)本学会の年会に1回以上参加した
- (9)自ら実施した5年のがん患者への薬学的介入を伴った症例報告50症例(3領域以上のがん種)を提出する
- (10)以下の研究活動のうち、発表あるいは論文の条件のどちらか一方を満たす
- 学会発表
医療薬学に関する全国学会、国際学会あるいは別に定める地区大会での発表が2回以上ある
本学会が主催する年会において本人が筆頭発表者となった発表を含んでいる - 論文
本人が筆頭著者である医療薬学に関する学術論文を1報以上有する
学術論文は、国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に複数査読制による審査を経て掲載された医療薬学に関する学術論文あるいは症例報告であること(編集委員以外の複数の専門家による査読を経ていない論文や商業誌の掲載論文は本条の対象外)
- 学会発表
- (11)本学会が実施するがん専門薬剤師認定試験に合格する
専門薬剤師になるための研修は、専門知識と技能を向上させるためのもので、研修の単位や時間数などが定められていることが一般的です。一部の専門薬剤師の資格では、その分野に関連する論文の提出が求められることもあります。
論文は、専門知識や研究能力を有することの証明として重要視され、実践的な経験や研究結果を基にしたものが求められる傾向にあります。
4-2-2. STEP2資格試験に合格する
専門薬剤師になるための所定の要件を満たした後は、資格試験を受けます。資格試験は、その専門分野における知識と技能を評価するためのもので、筆記試験や実技試験などがおこなわれます。試験に合格すると、専門薬剤師の資格を取得できます。
なお、専門薬剤師にも認定期間が定められており、保持し続けるには5年ごとに更新する必要があります。更新にも、単位の取得や症例の報告が求められるため、各専門薬剤師の更新要項をよく確認しておきましょう。
5. 薬剤師は資格を取ってキャリアアップを目指そう
資格の取得は、薬剤師として十分な知識があることや研鑽を積んでいることの証明となり、転職市場では他の候補者との間で差別化を図ることができます。
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