1.【2025年最新】調剤薬局業界の売上高TOP10ランキングと動向

売上高上位10社の2025年3月期のランキングです。以下のランキングは、単なる数字の羅列ではなく、調剤薬局業界の構造変化と将来性を読み解く重要な指標です。

上位企業と下位企業の売上高格差に注目すると、業界の二極化が進行していることがわかります。特にアインHDと日本調剤の2強体制が確立され、中小規模の薬局チェーンは生き残りのため特色ある戦略が求められています。

また、M&Aによる順位変動も頻繁に起きており、この表は半年後には大きく様変わりする可能性もあるため、業界動向を把握する際の参考値としてご覧ください。

順位	企業	売上高（億円）
1	アインHD	4,568
2	日本調剤	3,608
3	クオールHD（クオール薬局）	2,639
4	I&H株式会社（阪神調剤薬局）	1,873　※1
5	総合メディカル（そうごう薬局）	1,853
6	クラフト（さくら薬局）	1,506　※2
7	メディカルシステムネットワークス（なの花薬局）	1,223
8	東邦HD（ファーマみらい、ファーマクラスター）	937
9	アイセイ薬局	802
10	株式会社スズケン（ユニスマイル）	553

※1　I&H株式会社（阪神調剤薬局）は2024年9月2日付でスギホールディングスの子会社となっていますので、2024年３月期の売上高です。

※2　クラフト（さくら薬局）は2025年8月にアインHDの傘下に入りました。

参考：各社決算資料および医薬品産業ランキング 2025年ポケット版｜株式会社ドラッグマガジン

1-1. 売上高ランキングから見る大手調剤薬局の強み

2025年の調剤薬局業界では、「アインHD」が4,568億円で首位、「日本調剤」が3,608億円で2位と、大手企業の市場支配が鮮明になっています。上位企業は規模のメリットを活かした医薬品の一括仕入れによるコスト削減と、全国展開による認知度向上が強みです。また、近年のDX推進による業務効率化や処方箋応需率の向上も収益拡大に貢献しています。

※調剤薬局業界でのDX（デジタルトランスフォーメーション）とは、電子お薬手帳アプリの導入、オンライン服薬指導の実施、自動調剤機械の活用、AI処方チェックシステム、クラウド型薬歴管理などのデジタル技術を活用した業務革新を指します。人的ミスの減少、待ち時間短縮、薬剤師の業務負担軽減といった効果が生まれ、大手チェーンはこの分野への投資余力の大きさも競争優位性となっています。

1-2. M&Aが加速する業界再編の背景と影響

大手調剤薬局が業績を伸ばす一方、業界再編の動きが加速しており、新規開局より既存薬局の買収によるM&Aが主流となっています。その典型例がランキング6位の「クラフト」（さくら薬局）で、急速なM&Aで事業を拡大しましたが、資金繰りが悪化し、最終的に2025年8月にアインHDの傘下に入りました。

また4位の「I&H」（阪神調剤薬局）も大手ドラッグストアチェーンの「スギHD」の子会社になるなど、大手による中堅企業の吸収合併が進行中です。

2. 店舗数ランキングTOP10と全国展開の状況

以下は、2025年の大手調剤薬局企業の店舗数ランキングです。以下のランキングは、各社の事業拡大戦略と地域戦略を反映した重要データです。単純な店舗数だけでなく、先ほどの売上高も参考にしつつ着目すると、各社の経営方針の違いが見えてきます。例えば、アインHDのような全国均一展開型と、特定地域に集中する地域密着型では、同じ店舗数でも収益構造が大きく異なります。また、人口減少地域での店舗展開状況は、その企業の将来戦略を示唆しています。薬剤師不足が深刻化する中、店舗数の多さが必ずしも強みにならない時代に入っており、このランキングは「量」だけでなく「質」の視点も加えて解釈することをお勧めします。

順位	企業	売上高（億円）
1	アインHD	2,141（2025年8月）
2	クオールHD（クオール薬局）	941（2025年9月）
3	総合メディカル（そうごう薬局）	793（2025年9月）
4	日本調剤	760（2025年9月）
5	東邦HD（ファーマみらい、ファーマクラスター）	705（2024年4月）※
6	株式会社スズケン（ユニスマイル）	528（2025年6月）
7	メディカルシステムネットワークス（なの花薬局）	469（2025年8月）
8	ファーマライズホールディングス株式会社	464（2025年2月）
9	アイセイ薬局	410（2025年8月）
10	株式会社トーカイ（たんぽぽ薬局など）	164（2025年3月）

※2025年度のデータ非公表のため、2024年の情報を記載

参考：各社決算資料、ホームページ公開情報など

2025年の調剤薬局業界では、店舗数と売上高に明確な相関性が見られます。特に「アインHD」は「クラフト」（さくら薬局）の買収により2,100店舗を超え、店舗数・売上高ともに業界トップの地位を不動のものとしています。特に、ドラッグストアチェーンが調剤業界へ積極参入していることは注目すべき特徴です。スギホールディングスによる阪神調剤薬局の買収はその象徴であり、医薬品小売と調剤の融合による新たな競争環境が形成されています。

その他、各社の戦略も多様化しており、「アインHD」や「クオールHD」が全国展開による規模の拡大を志向する一方、「メディカルシステムネットワークス」や「トーカイ」のように特定地域に集中出店し地域密着型の強みを活かす企業も存在します。今後は単なる店舗数拡大だけでなく、地域医療連携やオンライン服薬指導（薬剤師が患者さんに薬の正しい使い方や効果・副作用をオンラインで説明し、個々の状況に合わせて安全かつ効果的に薬を使用できるようカウンセリングすること）など、質的な差別化が競争力の鍵となるでしょう。

3. 現役薬剤師が選ぶ！働きやすい調剤薬局ホワイト企業ランキング

ここからは、筆者が薬剤師として20年以上勤務した経験を元に、「ホワイト調剤薬局企業」をランキング形式でご紹介します。加えて、実際に勤務する薬剤師の声も参考にしながら、数字だけでは見えにくい「働きやすさ」の実感も彫り下げていきましょう。ランキングの選定基準は以下の5項目です。

• 月平均残業時間
• 有給休暇取得率
• 育児支援制度の充実度
• 薬剤師の定着率
• 口コミ調査

第1位 アインHD

第1位はアインHDで、月平均残業時間7.2時間、薬剤師の年間離職率7.9%など、業界トップクラスの数値を誇ります。連続休暇取得可能日数9日間の長期休暇制度をはじめとする福利厚生も充実。産休、育休制度も整備されています。

「有休消化もでき、リフレッシュ休暇に加えて4連休以上を取得できることもありました」（20代・女性・正社員）

第2位 日本調剤

第2位の日本調剤は薬剤師教育プログラムが充実し、e-ラーニングシステムによる自己研鑽支援が特徴です。
産休育休取得率100％、月平均残業時間18時間で働きやすい環境が整っています。

「1分単位で残業代が支給されるので、良いと感じています。シフトの柔軟性は店舗によるが、人員が少ない店舗でもなるべく応援などを呼んでいたので割と希望が叶うと思う。シフトも店舗で作るので柔軟性はかなりあって休みも取りやすかった」（30代・女性・正社員）

第3位 クオールHD

第3位のクオールHDは月平均残業12時間、年間休日122日と明確なワークライフバランスを実現しています。また、希望地域への就職率100%をはじめとする、社員に寄り添った施策がうれしいホワイト企業といえるでしょう。

「現在週４日、32時間の契約で働いています。プライベートとのバランスが取りやすいと感じています」（30代・女性・正社員）

また、メディカルシステムネットワークス（なの花薬局）は地域密着型の勤務体制を徹底することで月平均残業時間が9時間となっており、子育て世代に支持されています。アイセイ薬局は時短勤務制度の柔軟性が高く、月平均残業時間は7.5時間で、ブランクのある薬剤師にもおすすめです。

※各社の公開データ、厚生労働省の資料「薬剤師の需給動向把握事業における 調査結果概要」、口コミサイトの情報などを総合的に判断し、順位付けしています

4. 地元密着で人気！注目の調剤薬局中小企業ランキング

ここでは、筆者が注目する調剤薬局中小企業をランキング形式で紹介します。大手チェーンが台頭する中、地域に根ざした中小企業ならではの魅力と強みを持つ薬局を厳選しました。

第1位 コスモファーマグループ

第1位の「コスモファーマグループ」（本社福島県。主に東日本で調剤薬局を運営）は、地域密着を掲げる調剤薬局グループです。薬剤師による在宅医療サービスに注力し、地域高齢者からの信頼度が高い企業です。月平均残業時間は4.8時間と、平均勤続年数9.4年で長く働く社員が多い企業です。社長が女性で風通しの良い社風にも定評があります。

第2位 株式会社大賀薬局

第2位「株式会社大賀薬局」（本社福岡県。九州地方で調剤薬局を展開）は、薬剤師教育制度が充実し、社員がチャレンジできる環境作りに定評があります。月平均残業時間は2.1時間、平均勤続年数6.7年と業界でもトップクラスの働きやすさを実現した企業です。

第3位 中部薬品株式会社

第3位は「中部薬品株式会社」（本社岐阜県。中部東海エリアの調剤薬局、ドラッグストアグループ）。有給取得日数平均16.8日、月平均残業時間9.8時間、平均勤続年数5年と定着率も高く、働きやすさが特徴です。

これら中小の調剤薬局グループは、大手にはない柔軟性と地域密着の強みを持ちますが、近年の業界再編で大手によるM&Aの対象となる可能性もあり、働く薬剤師としては動向を注視すべき存在といえるでしょう。

下田コメント
調剤薬局業界は、大きな転換期にあります。薬剤師としてキャリアを考える際は、単に企業規模や待遇だけでなく、自分が大切にする薬剤師像（患者との関係性重視か、専門性向上か、キャリアアップか）に合った環境を選ぶことが重要です。

5. 転職に失敗しない調剤薬局選びのポイントと比較基準

薬剤師のキャリア選択は人生を左右する重要な決断です。大手と中小、それぞれの調剤薬局の特徴を踏まえ、自身の価値観やキャリア志向に合った就職先を見極めるためのポイントを解説します。

5-1. 調剤薬局への就職はどこがいいかを考える基準とは

調剤薬局選びでは、まず「年収」や「賞与」、「昇給制度」といった待遇面を確認しましょう。次に「月平均残業時間」や「有給休暇取得率」、「休日出勤頻度」など、働きやすさの指標をチェックします。さらに「研修プログラム」や「専門資格取得支援」、「外部研修補助」といった教育体制も重要な判断材料です。転職の場合は、「離職率」や「定着率」も必ず確認してください。

5-2. 大手調剤薬局チェーンが向いている人の特徴と目指すべきキャリアパス

大手チェーンは標準化された業務手順と体系的な教育システムが特徴で、多様な処方箋に触れることで幅広い薬学知識を効率的に習得できます。キャリアパスが明確で、店舗管理者からエリアマネージャー、本部管理職へのステップアップが可能です。また、さまざまな業態の薬局を経験できる点も魅力といえるでしょう。組織的な環境で成長したい方や将来的に管理職を目指す方に適しています。

年収は、初任給では中小と大差ないものの、キャリアパスが明確なため、管理薬剤師やエリアマネージャーへの昇進に伴い、30代で600万円以上、管理職では800万円以上を目指せるなど、安定した昇給が見込めるのが魅力です。

5-3. 中小調剤薬局企業が向いている人の特徴と目指すべき薬剤師像

中小調剤薬局では個人の裁量権が大きく、業務改善や患者サービス向上に主体的に関われます。地域密着型の営業で患者さんと長期的な信頼関係を築けるのが特徴です。経営層との距離も近く、自身のアイデアを薬局運営に反映しやすい環境があります。地域に根ざした、かかりつけ薬剤師として独自の専門性を磨きたい方に向いているでしょう。

年収は企業規模や地域によって差がありますが、経験豊富な薬剤師を好条件で採用するケースも多く、大手以上の年収を提示されることもあります。一方で、昇給制度が明確でない場合もあるため、入社時にしっかり確認することが重要です。

5-4. 薬剤師業界の将来展望と選択肢が広がる新たな働き方

調剤薬局全体が転換期を迎えています。オンライン服薬指導やAI活用といったデジタル技術と融合した次世代型業務への適応力がますます求められる一方、健康サポート薬局や在宅医療支援など従来の調剤を超えた役割も拡大中です。

加えて、時短勤務や複数薬局勤務、企業・大学との複業など、働き方も多様化しています。自身の価値観とライフステージに合わせたキャリア設計を行い、変化する業界の中で自分らしい薬剤師像を具体的に描いておくことが重要です。

6. 理想の職場を見つけよう｜転職エージェント活用のコツ

薬剤師の転職活動は、表面的な求人情報だけでは見えてこない薬局の実態を把握することが重要です。理想の職場環境を見つけるためには、専門知識を持つ転職エージェントの活用と、現場の実情を見極めるポイントを押さえることが成功への近道となります。

6-1. 薬剤師向け転職エージェントを活用しよう

薬剤師専門の転職エージェントを活用すれば、公開されていない好条件の非公開求人にアクセスできます。アドバイザーは、業界経験があり、自身が話しやすいと感じる担当者を選びましょう。初回面談では希望条件だけでなく「目指したい薬剤師像」や「理想の成長環境」といったキャリアビジョンを具体的に伝えることが大切です。自身の経歴を詳しく説明すれば、キャリアの棚卸にもつながります。

また、気になる薬局については「実際の残業時間」「直近の退職理由」「処方元医療機関との関係性」など、表面化しにくい情報も積極的に質問し、ミスマッチを防ぎましょう。

6-2. 調剤薬局選びの決め手となる職場環境チェックポイント

転職先選びでは、以下3つのポイントを必ず確認しましょう。

• 「薬剤師一人あたりの処方箋枚数」と「シフト体制」のバランス：一日40枚超の処方箋を一人で対応する環境では、十分な服薬指導時間の確保が難しく、残業が常態化しがちです。繁忙時間帯の人員配置も重要なチェック項目です。
• 在宅医療や健康サポート薬局などの特色ある業務への参画機会：これらはキャリアアップや専門性向上につながるだけでなく、薬局の将来性を示す指標でもあります。
• 薬剤師の勤続年数と離職率：3年以上勤務している薬剤師が半数を超え、年間離職率が15%以下であれば職場環境は安定しているといえます。特に管理薬剤師の交代頻度には注意が必要です。

これらのポイントを踏まえて転職エージェントとコミュニケーションを取ることで、自身に最適な調剤薬局と出会えるでしょう。

下田コメント
調剤薬局選びでもっとも重要なのは「現場の雰囲気」です。可能であれば薬局見学をお願いし、実際に働いている薬剤師の表情や患者さんとの関わり方を観察しましょう。どんなに条件が良くても、日々の人間関係が良好でなければ長続きしません。自分の価値観と合う職場文化を見極めることが、長期的な満足につながります。

7. 薬剤師のクチコミ＆体験談！転職者・現役薬剤師の声

ここからは、実際にアポプラスキャリアを活用して調剤薬局に就職、転職した薬剤師の口コミや体験談を紹介します。

「何度も相談の機会を設けていただき、初めての転職でも安心して進めることができました。最後まで真摯に向き合っていただき、本当にありがとうございました」（兵庫県・20代・女性）

「ダブルワークで勤務希望条件が厳しい中、いくつも探していただき、ありがとうございました。今回初めて紹介会社を利用したのですが、全く知識がないところから、1から丁寧に説明していただき、また明るく話しやすく、それでいて的確なアドバイスでとても助かりました。 ほぼ希望通り、早めに仕事に就くことができ、感謝しています。 子どもの進学先次第で、来春また転職する可能性が大なので、その際は是非またご担当よろしくお願いします」（東京都・50代・女性）

このように、信頼できる転職エージェントを活用すれば、初めての転職者、職場の悩みを抱える人、ダブルワークという特殊な条件の人まで、それぞれの事情に合わせた丁寧なサポートを受けられます。実際にアポプラス薬剤師を利用して、転職を成功させた方々の体験談も、ぜひ参考にしてみてください。

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8. まとめ｜身に合った調剤薬局で薬剤師としてのキャリアを築こう

この記事で紹介した調剤薬局ランキングは、あくまで参考情報となります。薬局選びでもっとも大切なのは、自身の価値観やキャリア目標に合った職場を見つけることです。年収や福利厚生だけでなく、教育制度、ワークライフバランス、薬局の特色や将来性など、なにを優先するかを明確にしましょう。

転職活動を成功させるためにも、まず自己分析から始め、理想の働き方を具体化させてみてください。次に複数の求人情報を比較検討し、可能であれば職場見学や薬剤師との対話の機会を作りましょう。こうしたプロセスをスムーズに進めるには、業界に精通した専門アドバイザーのサポートが大きな力となります。

アポプラス薬剤師では、豊富な求人情報はもちろん、各薬局の内部事情にも詳しいキャリアアドバイザーが、あなたの希望や適性に合った転職先を提案します。無料相談から始められるので、少しでも転職を検討しているなら、まずは気軽に相談してみてください。

監修者

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