転職希望の薬剤師必見!保険薬剤師登録の申請から注意点までを徹底解説
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「保険薬剤師の登録はどうやるの?」「転職先で働き始めようとしたら保険薬剤師の登録が間に合わない……」など、保険調剤業務に保険薬剤師として登録が必須であることに気づかず転職活動を進めるケースは少なくありません。
保険薬剤師登録のタイミングを誤ると、転職時での勤務開始が遅れる可能性もあるため、「登録手続きにはどのくらいかかるの?」「前の職場を辞めると自動的に登録も抹消されるの?」「転職のタイミングで何をすべき?」といった疑問や不安を抱える薬剤師の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、薬剤師・薬局経営コンサルタントである下田 篤男氏が、保険薬剤師登録の方法や所要期間、登録状況の確認方法、そして転職時に陥りがちな落とし穴までを詳しく解説します。スムーズなキャリアチェンジのために、転職を検討している薬剤師の方はもちろん、将来の転職に備えたい薬剤師の方も、ぜひこの記事を参考にしてください。
この記事でわかること
- 保険薬剤師登録の3つの申請方法と必要書類の詳細
- 申請から登録完了までの所要期間と転職前に準備すべきタイミング
- 病院勤務経験者が保険薬局へ転職する際の特有の手続きと注意点
目次
転職希望の薬剤師必見!保険薬剤師登録の申請から注意点までを徹底解説
1. 保険薬剤師登録とは? 薬局で働く薬剤師に必須である理由
保険薬剤師登録とは、薬剤師が健康保険法に基づく保険調剤を行うために必要な登録制度です。この登録がなければ、薬剤師免許を持っていても、健康保険を適用した調剤報酬の請求ができないため、保険薬局で働く場合は必須の手続きとなります。保険薬剤師の登録は、薬剤師免許の取得が前提条件です。また、登録後も薬事関連法規に則った、適切な調剤業務が求められます。
薬剤師が公的医療保険の適用を受ける調剤を行うためには、あらかじめ保険薬剤師の登録を受けなければなりません。その時に申請する手続です。
2. 保険薬剤師登録をする3つの申請方法

保険薬剤師の登録は、勤務先の保険薬局で行える場合もありますが、基本的には、勤務先を管轄する地方厚生局で申請します。申請時は、地方厚生局のウェブサイトなどからダウンロードできる「申請書」と「薬剤師免許証」の写しが必要です。申請方法は、持参・郵送・電子申請の3種類があります。
2-1.直接持参する方法
地方厚生局の窓口に必要書類を直接持参する方法です。直接持参すれば、書類の不備をその場で指摘してもらえます。急いでいる場合や、初めての申請で不安がある方に適しているでしょう。ただし、窓口は平日の決められた時間のみの対応で、混雑時には待ち時間が発生する可能性もあります。
2-2.郵送による申請方法
郵送で申請するには、まず、地方厚生局のウェブサイトから申請書をダウンロードします。必要事項を記入したあと、「薬剤師免許証の写し」と「返信用封筒」(切手貼付・宛名記入済み)を同封して郵送します。直接出向く時間がない方や、遠方に住む方に便利ですが、書類に不備がある場合は再提出する必要があり、登録まで時間がかかる可能性があります。万が一の紛失を避けるため、簡易書留をはじめとする追跡可能な方法での郵送がおすすめです。
2-3.マイナポータルによるオンライン申請
マイナポータルを使用すれば、24時間いつでも申請可能で、窓口への移動時間や郵送費用も不要です。マイナンバーカードを使ってマイナポータルにログインし、必要事項を入力して薬剤師免許証の画像をアップロードすれば申請が完了します。ただし、現時点では「新規登録」のみに対応しており、「登録内容の変更」や「抹消手続き」はオンライン対応していません。
※申請書がダウンロードできる各地の厚生局のウェブサイトと、管轄の都道府県は下記のとおりです
・北海道厚生局
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/hokkaido/shinsei/shido_kansa/hoken_shitei/index.html
管轄エリア:北海道
・東北厚生局
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/shido_kansa/hokenniryoukikannsinnsei.html
管轄エリア:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
・関東信越厚生局
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/shido_kansa/hoken_toroku/index.html
管轄エリア:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県
・東海北陸厚生局
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/shinsei/shido_kansa/hoken_toroku/index.html
管轄エリア:富山県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
・近畿厚生局
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/shinsei/shido_kansa/hoken_toroku/index.html
管轄エリア:福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
・中国四国厚生局
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/shinsei/shido_kansa/hoken_toroku/index.html
管轄エリア:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
・四国厚生支局
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/shinsei/shido_kansa/hoken_toroku/index.html
管轄エリア:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
・九州厚生局
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/shinsei/shido_kansa/hoken_toroku/index.html
管轄エリア:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
3.保険薬剤師登録に必要な書類と「失敗しない」記入方法のポイント
保険薬剤師登録の申請には、「保険薬剤師登録申請書」と「薬剤師免許証の写し」が必要です。申請書の記入方法は、お住まいの地域を管轄している地方厚生局のホームページに記入例が掲載されていますので、そちらを参照してください。
4.保険薬剤師登録にかかる時間とスムーズに手続きを進めるコツ
ここからは、保険薬剤師の登録完了までに必要な期間と申請する際に注意したいポイントを解説します。
4-1.申請方法によって完了までの期間が変わる
保険薬剤師の登録完了までにかかる期間は、申請方法や時期、管轄の厚生局の混雑状況によって異なります。登録完了までの目安は以下のとおりです。
- 直接持参:最短で1週間程度
- 郵送申請:1〜3週間程度
- オンライン申請:1週間程度
いずれの方法においても、受理されるまでの期間は、管轄する地方厚生局の混雑状況に左右される可能性があります。
4-2.申請で注意したいこと
保険薬剤師の登録が受理されれば、薬剤師としての業務を開始できますが、正式な登録票の送付はさらに時間がかかる場合があります。 特に「年度末~年度始め(3〜4月)」の時期は、新卒薬剤師の登録が集中するため、通常よりも処理に時間を要することが少なくありません。
転職が決まっている場合は、余裕を持って勤務開始の1カ月前には申請手続きを始めることをおすすめします。万が一、勤務開始日までに登録が間に合わないと予想される場合は、早めに勤務先に相談しましょう。
- 下田コメント
保険薬剤師の登録が間に合わない場合、保険調剤ができません。現場では、他の薬剤師に負担がかかるため、人手不足の薬局では特に大きな問題になります。ただし、登録前でも服薬指導補助やOTC医薬品販売などの業務は可能なため、事前に勤務先と役割分担を相談しておくことをおすすめします。経験上、申請には想定より1.5倍の余裕を持ったスケジュールを立てるのが賢明です。
5. 保険薬剤師登録の確認方法

ここでは、保険薬剤師登録が完了しているかの確認方法をご紹介します。
5-1.保険薬剤師登録票の確認
申請が受理され保険薬剤師の登録が完了すると、管轄の地方厚生局から「保険薬剤師登録票」が交付されます。この登録票が手元に届いていれば、正式に登録が完了している証拠となります。
5-2.地方厚生局への問い合わせ
登録の進捗状況や完了しているか確認したい場合は、申請書を提出した地方厚生局への電話やメールで問い合わせが可能です。問い合わせの際、申請者本人であることを確認できる情報(氏名、生年月日など)を伝える必要があります。
5-3.オンライン申請の場合
オンラインで申請した場合は、マイナポータルのサイトから申請状況を確認できます。マイナポータルへログインし、該当する申請の進捗状況を照会すれば、「審査中」や「登録完了」など、最新状態を確認できます。
6.病院から保険薬局へ!転職時に注意したい手続き上の注意点
病院で調剤業務を行う場合は、薬剤師個人による保険薬剤師登録は不要です。一方、調剤薬局で働くためには、薬剤師個人が保険薬剤師の登録をしなければなりません。それぞれのケースを解説します。
6-1.初めて保険薬局へ転職する場合
病院内で調剤業務を行う場合、病院が「保険医療機関」として指定されていれば、個々の薬剤師が保険薬剤師として登録する必要はありません。一方、病院から調剤薬局へ転職する場合は、新たに保険薬剤師登録をする必要があります。
6-2.保険薬局経験者が病院に転職したあと、再び保険薬局へ戻る場合
過去に保険薬局で働いた経験があり、一度病院に転職したあと、再び保険薬局へ戻る場合は、新規登録ではなく「再登録」または「勤務先変更の手続き」が必要です。具体的な手続き方法については、管轄の地方厚生局に確認してください。
7.異動・転居・名前変更時の保険薬剤師登録変更手続きガイド
転職や引っ越しなど、環境が変わった際は、保険薬剤師登録の異動手続きが必要となります。
7-1.地方厚生局をまたぐ異動
転職などにより勤務地の都道府県が変わり、管轄の地方厚生局が変更になる場合(例:関西地方の薬局から関東地方の薬局への転職など)は、「保険医・保険薬剤師管轄地方厚生(支)局長変更届」を変更後の勤務地を管轄する地方厚生局へ提出してください。令和3年2月10日以降は同じ厚生局管轄内での変更の場合は変更届の提出が不要となっています。
参考:保険医・保険薬剤師の登録に関する管轄地方厚生(支)局長変更の届出|関東信越厚生局
7-2.氏名・本籍地の変更
結婚などで氏名や本籍地が変わった場合は、「保険医・保険薬剤師氏名変更届」と以下の書類を提出しましょう。
- 保険薬剤師登録票(原本)
- 戸籍謄本または抄本(発行日から6カ月以内のもの)
8.保険薬剤師登録票を紛失した場合の対応
保険薬剤師登録票を紛失した場合は、「保険医・保険薬剤師の登録票再交付申請書」を提出しなければなりません。
再交付には2週間程度かかるため、紛失時は速やかに申請してください。
参考:保険医・保険薬剤師の登録票の再交付の申請|関東信越厚生局
- 下田コメント
現場薬剤師としての経験上、異動手続き時の見落としは少なくありません。特に注意が必要なのは、同じ薬局チェーン内での転勤でも、地方厚生局が変わる場合には届け出が必要な点です。また、登録票の紛失は意外と多い事例です。薬局の移転や、職場の書類整理の際に紛失するケースは少なくありません。再交付には2週間程度とされていますが、繁忙期には1カ月近くかかることもあり、その間、調剤業務に支障が出ることもあるため注意が必要です。
9.よくある質問と回答

保険薬剤師登録に関するよくある質問と回答を以下にまとめています。
9-1.薬剤師免許があっても、わざわざ保険薬剤師登録をしなければいけないの?
薬剤師免許は「薬剤師として業務を行うための基本資格」ですが、保険薬剤師登録は、健康保険法に基づく保険調剤を行うために必要な「別の制度」です。保険薬局で働く場合は、薬剤師免許に加えて保険薬剤師登録が必須となります。
9-2.保険薬剤師登録の更新は必要ですか?
保険薬剤師登録には有効期限がなく、一度登録すれば定期的な更新手続きは必要ありません。ただし、氏名変更や管轄外への住所変更があった場合は届け出が必要です。
9-3.複数の保険薬局で勤務する場合、それぞれで登録が必要ですか?
保険薬剤師登録は個人に対して行われるため、複数の保険薬局で勤務する場合でも、登録は1回のみで構いません。ただし、勤務先の薬局側で、薬剤師が複数の保険薬局で勤務している旨を届け出る必要があります。
10.まとめ 転職は薬剤師登録を忘れずに
薬剤師が保険薬局で仕事をするには、保険薬剤師登録が必須です。登録がなければ、たとえ薬剤師免許を持っていても、保険薬局で公的医療保険の適用を受ける調剤業務を行うことができません。転職の際は、やるべき手続きも多いため、忘れがちな保険薬剤師登録の申請や変更について、事前によく確認しておきましょう。薬剤師としての業務に関わる大切な届け出ですので、忘れずに行うようにしてください。
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監修者
薬剤師・薬局経営コンサルタント 下田 篤男
京都大学薬学部総合薬学科卒業。 卒業後は調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務。 総合病院門前などで管理薬剤師として経験を積んだのち、マネージメント業務にも携わる。現在は薬剤師として働く傍ら、医療記事の執筆、編集や薬局経営コンサルタントとしても活動している。
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