新人薬剤師が入社してから気をつけるべきこと、やるべきこととは?
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新人薬剤師や実務未経験の方は、業務面や人間関係、知識不足など、さまざまな不安を抱えていらっしゃることでしょう。この記事では、基本的な業務のコツから、長く働き続けるには欠かせない人間関係の構築方法などを、薬剤師・薬局経営コンサルタントである下田 篤男氏が解説します。特に、新人薬剤師にありがちな失敗例とその対処法は必見です。薬剤師キャリアのスタートをサポートするための心構えをしておきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
新人薬剤師が入社してから気をつけるべきこと、やるべきこととは?
1.新人薬剤師が直面する現実と心構え
薬剤師として働き始めると、大学で学んだ知識だけでは対応しきれない現実に直面します。理論と実践のギャップを埋めるための心構えと、現場で実際に求められる役割を理解しておきましょう。
1-1.学校で学んだことと現場のギャップ
新人薬剤師が最初に感じるのは、大学の講義と実務現場のギャップです。新人薬剤師のキャリアスタートは、このギャップを認識して、柔軟に対応する姿勢が重要になります。以下に、実際に感じるギャップをまとめました。
- 知識のギャップ:大学では薬理作用をはじめとする薬学知識を体系的に学びますが、現場では即座に実践的判断に結びつける応用力が求められます。たとえば、小児の風邪薬は本来「1日3回」で服用しますが、保育園に預ける場合は「1日2回」の処方されるケースもあります。
- コミュニケーションのギャップ:模擬患者実習と実際の患者対応は大きく異なります。たとえば、高齢者や聴覚障害のある患者さんの場合、臨機応変な説明方法を選択する能力が必要です。
- 業務スピードのギャップ:実務では正確さ・効率性が必要です。学生時代にはなかった、「患者さんを待たせている」という意識を持ち、適切なスピードで業務が求められます。
1-2.新人薬剤師に期待されている役割とは
新人薬剤師には完璧さよりも、基本を着実に身につけながら成長する、以下のような姿勢が期待されています。
- 基本業務の確実な実行:新人薬剤師は、調剤業務の正確性が求められます。処方箋の読み方から監査まで、「基本に忠実」がもっとも大切です。
- 積極的な学習姿勢:わからないことはその場で質問しましょう。解決できない問題は上司や先輩に相談することが大切です。「知らないこと」よりも「知らないことを放置する」ほうが大きな問題になります。
- 社会人としての自覚:薬剤師である前にひとりの社会人としての意識が欠かせません。あいさつや時間厳守など、基本的なビジネスマナーはどの職場でも大切です。
- 患者中心の考え方:すべての業務は患者さんのためであることを忘れないようにしましょう。「この行動が患者さんにどう影響するか」を常に考える習慣が期待されています。
- 下田コメント
薬剤師であっても、薬局では新人です。まずは社会人としてのマナーを意識し、謙虚な気持ちで仕事に打ち込む意識が大切です。
2.職場での人間関係構築のコツ

職場での良好な人間関係は、業務効率だけでなく、患者さんへ提供する医療の質にも大きく影響します。新人時代に築く人間関係は、薬剤師としてのキャリア全体を左右する重要な財産になると意識しておきましょう。
2-1.先輩薬剤師・上司との付き合い方
先輩薬剤師や上司との関係は、薬剤師としての成長速度に直結します。新人薬剤師として良好な人間関係を築くためには、積極的かつ謙虚な姿勢が鍵となります。
- 質問の仕方:単に「わかりません」と伝えるだけでなく、自分の考えを述べたうえで、具体的な質問をしましょう。「〇〇だと思ったのですが......」という形で自分なりの理解を示すことが大切です。
- 報告の習慣化:業務の進捗や気になる点は適切なタイミングで報告するようにしましょう。特に、調剤ミスは素早く報告することで問題の拡大を防げます。
- メモをとる習慣:指導内容はその場でメモをしましょう。同じ質問やミスを繰り返さないようにするのが、成長と人間関係構築のコツです。これは先輩の時間を尊重する姿勢にもつながります。
2-2.他職種(医師、看護師など)とのコミュニケーション
多職種連携は現代医療の基本です。薬剤師としての専門性を発揮しながら、チーム医療に貢献するコミュニケーション術を身につけましょう。
- 専門用語の適切な使用:他職種との会話では専門用語を適切に使いつつ、相手の専門領域を尊重し、薬学知識の一方的な押し付けは避けましょう。
- 情報共有の正確さ:患者情報は簡潔かつ正確に伝えましょう。特に、疑義照会や副作用の可能性がある場合は、5W1Hを明確にしてわかりやすく伝えてください。
- 多職種会議への参加:会議や研修会には積極的に参加しましょう。最初は聞き役でも、少しずつ薬剤師視点の意見を述べる機会を増やしてみてください。
- 感謝の気持ちを表現:他職種からの協力や情報提供には必ず感謝を伝えてください。礼儀や気遣いの心を示すことは、長期的な信頼関係構築につながります。
2-3.患者さんとの信頼関係の築き方
患者さんとの信頼関係構築は、薬の治療効果を高めることに直結します。患者さん一人ひとりに合わせたきめ細やかなコミュニケーションを心がけましょう。
- 患者さん中心の服薬指導:患者さんの知識や生活背景に合わせた説明を心がけましょう。「整腸剤」を「お腹の調子をよくする薬」と言い換えるなど、専門用語をわかりやすく表現する工夫が大切です。
- 傾聴の姿勢:患者さんが話す内容は最後まで聞きましょう。適切なうなずきや相づちがあると、患者さんは「自分の話をよく聞いてくれる」と感じやすいため、信頼関係の基礎を築きやすくなります。
- 非言語コミュニケーション:目線合わせや適切な距離感、笑顔も重要です。特に、マスクを付けているときは、表情が伝わりにくいため、声のトーンや目で気遣いや気持ちが伝わるよう意識しましょう。
- 下田コメント
コミュニケーション能力は、薬剤師にとって重要なスキルです。相手の話を注意深く聞きとり、その上で相手の立場に立って伝えることがなにより大切です。
3.新人薬剤師がよく陥る失敗とその対処法

キャリアをスタートさせたばかりの新人薬剤師は、さまざまな失敗や挫折を経験しますが、重要なのは失敗した後の対応です。失敗したときの適切な対処法を身につけましょう。
3-1.コミュニケーションの失敗とリカバリー方法
薬剤師は、服薬指導や疑義照会など、さまざまな場面でコミュニケーションをとる必要があります。失敗も経験するかもしれませんが、適切な対応をすれば信頼を回復させられるでしょう。
- 医療スタッフとの齟齬:医師や看護師などとのコミュニケーションで誤解が生じた場合は、できるだけ早く対面で話し合う機会を設けましょう。直接会って誠意を示すことが重要です。
- 患者さんへの不適切な対応:薬の服用方法の説明不足や長い待ち時間などで、患者さんの信頼を損なった場合は、素直に謝罪し、改めて丁寧な対応を心がけましょう。
3-2.業務ミスが起きたときの適切な対応
調剤ミスなどの業務上の失敗は、適切な対応で被害を最小限に抑えることができます。
- 即時報告の徹底:ミスを発見したら、重大性に関わらず直ちに上司へ報告してください。事実を正確に伝え、対応策を相談しましょう。
- 原因分析と再発防止:単に「忙しかった」「見落としていた」という表面的な理由だけでは不十分です。ミスが発生した「根本的な原因」を分析し、システムやプロセスの改善も含めた具体的な対策を立てましょう。
- チーム全体での学習:インシデントレポートの作成に協力し、できる限り情報共有を行いましょう。同じミスを組織全体で防止する意識が大切です。
3-3.モチベーション維持と燃え尽き症候群の予防
新人時代は特に精神的な負担が大きくなります。モチベーションの低下や、燃え尽き症候群のリスクに注意してください。
- 成長の記録:日々の成功体験を記録し定期的に振り返ることで、モチベーションを維持しましょう。患者さんからの感謝の言葉など、ポジティブな出来事をノートに残すと効果的です。
- ワークライフバランス:仕事に対する熱意も大切ですが、趣味や運動、十分な休息など、プライベートな時間も大切です。ワークライフバランスの意識は、専門職としての長期的な活躍につながります。
- 目標設定:短期・長期の明確な目標を立て、段階的な達成を楽しみましょう。認定薬剤師などの資格取得計画も有効です。
- 下田コメント
どんなに優秀な薬剤師であっても、失敗経験のない薬剤師はいません。失敗を学びに変え、成長につなげる意識が大切です。
4.未経験でも専門転職サイトの活用を
新人薬剤師の成長には適切な職場環境が不可欠です。自分に合わない環境だと感じたら、薬剤師専門の転職サイトの活用を検討しましょう。アポプラス薬剤師では未経験者向けの求人も充実しており、専任アドバイザーがあなたの状況に合った職場探しをサポートします。理想の環境で薬剤師キャリアをスタートさせるなら、専門サービスの利用もひとつの選択肢となるでしょう。
担当コンサルタントが
あなたのキャリアに寄り添います!
監修者
薬剤師・薬局経営コンサルタント 下田 篤男
京都大学薬学部総合薬学科卒業。 卒業後は調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務。 総合病院門前などで管理薬剤師として経験を積んだのち、マネージメント業務にも携わる。現在は薬剤師として働く傍ら、医療記事の執筆、編集や薬局経営コンサルタントとしても活動している。
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