1. 30代薬剤師の平均年収は？

30代の薬剤師は、一体どれくらいの給与を得ているのか気になる人は多いでしょう。ここでは、30代の薬剤師の年収に関して、以下の３点を解説します。

• 30代の薬剤師の平均年収
• 30代の薬剤師の男女別年収
• 30代の薬剤師の年収を他の年代と比較

それぞれについて、詳しくみていきましょう。

1-1. 30代の薬剤師の平均年収

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、30代の薬剤師の平均年収は、約538万円です。全国の平均年収が458万円であるため、平均よりも約80万円も高いことがわかります。

薬剤師は、６年制の大学を卒業したあとに国家資格を取得しなければならない専門的な職種であることも、年収が高い理由の１つとして考えられます。さらに、人の健康にかかわる重要な業務を担う職業であるため、他の職種よりも給与が高いことが窺えます。

ただし、ここで紹介した年収は薬剤師全体の平均で、職種や勤務地によっても差が出ることがあります。あくまでも目安と捉えてください。

出典：令和４年　賃金構造基本統計調査｜厚生労働省
出典：令和４年分　民間給与実態統計調査｜国税庁

1-2. 30代の薬剤師の男女別年収

薬剤師の年収には、男女間で違いはあるのでしょうか。厚生労働省の調査を基に、薬剤師の男女別平均年収をみてみましょう。

	男性	女性
平均年収	約572万円	約503万円

※年収は「所定内給与額」の12カ月分に「年間賞与その他特別給与額」を足して算出

※千の位以下切り捨て

出典：令和４年　賃金構造基本統計調査｜厚生労働省

上表から、男性の方が女性に比べて70万円ほど平均年収が高いことが確認できます。女性薬剤師は、結婚や出産などのライフステージの変化に伴って働き方を変えることがあるため、年収の差に影響している可能性があります。

1-3. 30代の薬剤師の年収を他の年代と比較

30代の薬剤師の年収は、他の年代と比較してどうなのでしょうか。20代と比べてどの程度あがっているのか、また、今後どの程度増えていくのか気になる人もいるでしょう。薬剤師の、年代別の平均年収を下表にまとめました。

年齢	薬剤師平均年収
20代	約433万円
30代	約538万円
40代	約626万円
50代	約676万円
60代	約549万円

※年収は「所定内給与額」の12カ月分に「年間賞与その他特別給与額」を足して算出

※千の位以下切り捨て

出典：令和４年　賃金構造基本統計調査｜厚生労働省

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の結果によれば、20代の薬剤師の年収平均は約433万円、30代が約538万円です。20代の薬剤師の平均年収と比べると、30代では100万円近く高いことがわかります。

地域差や個人差はありますが、年収があがる人が多いことは、仕事に対するモチベーションの糧にもなるでしょう。また、注目すべきは、40代や50代になっても、平均年収があがっていることです。年をとって勤務年数が長くなると、役職に就く可能性もあるため、給与があがる傾向にあることが窺えます。

2. 30代の薬剤師によくある年収にまつわる不安

30代は職場でもある程度の経験が身につく年代であることから、年収に関する不安が出てくるのは当然です。30代の薬剤師が抱えがちな不安には、主に以下３つがあります。

• キャリアアップができず年収があがらない
• 業務内容の割に年収が低い
• ライフイベントを機に働き方や年収が変わる

それぞれについて、詳しく解説していきます。

2-1. キャリアアップができず年収があがらない

キャリアアップができず、年収があがらないと悩む30代の薬剤師は少なくありません。多くの場合、薬剤師の職種は「店長」や「管理薬剤師」など役職に就くことで年収がアップします。しかし、役職付きのポジションは人数が限られており、席が空かない限り昇進できないケースも珍しくありません。

また、調剤薬局や病院などでは年長者や経験者が優遇される傾向にあるため、キャリアアップの道が閉ざされているように感じる30代の薬剤師もいるでしょう。

2-2. 業務内容の割に年収が低い

業務内容の割に年収が低いというのも、30代の薬剤師によくある悩みです。30代は働き始めてから６年以上経っていることが多いため、一定の経験を積みあげる重要な時期といえます。

しかし、実力がついてきても「仕事が評価されない」「収入があがらない」といった待遇の不満を抱える薬剤師も少なくありません。また、「残業が多い」「休みが取れない」といった労働条件に悩むこともあるでしょう。

これには、30代の薬剤師が持つ能力や専門性を、適切に評価する体制が整っていない職場もあることが原因として挙げられます。専門的な知識を使った対応や複数の処方箋を正確に処理するなど、高度な業務を担う一方で、努力や成果が給与に反映されないと、不満が募ってしまいます。

2-3. ライフイベントを機に働き方や年収が変わる

結婚や出産などのライフイベントを機に働き方や年収が変わることも、30代薬剤師にありがちな悩みの１つです。

妊娠や子育てを経て生活環境が変化し、仕事との両立に難しさを覚える薬剤師も少なくありません。子育て中はプライベートの支出が増えるにもかかわらず、家庭を優先して働きやすい職場を選ぶと、希望する収入を確保できなくなることに悩む人も多いでしょう。

3. 30代薬剤師が年収アップを目指す方法

では、30代の薬剤師が年収をあげるにはどのようにすればよいのでしょうか。薬剤師が年収アップを目指す方法には、主に以下の４つがあります。

• 資格を取得する
• 管理薬剤師を目指す
• 雇用形態や職種を変える
• 経験を活かして転職する

それぞれの方法を、詳しく解説していきます。

3-1. 資格を取得する

30代薬剤師が年収アップを目指す方法の１つ目は、資格を取得することです。認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得すると、手当がついたり昇進したりする職場もあります。企業によっては、新しい資格や知識を習得したことが正当に評価され、昇給するといったこともあるでしょう。

例えば、「認定薬剤師」の資格は、特定の医療や薬学の専門領域での高度な知識や技能があることの証明となります。また、資格があると、転職時にも有利に働くでしょう。

3-2. 管理薬剤師を目指す

30代薬剤師が年収アップを目指す方法の２つ目は、管理薬剤師を目指すことです。管理者のポジションに就くことで、役職に応じた手当がつき、年収があがる可能性があります。

例えば、一般薬剤師から店舗や薬局を監督する管理薬剤師になる、管理薬剤師から複数の店舗を統括するエリアマネージャーになるなど昇進すると、役職手当は高くなるでしょう。

管理薬剤師になるには、５年以上の職務経験があり、認定制度の認定薬剤師の資格を持っていることが望ましいとされています。さらに、エリアマネージャーになるには、これまでの業務実績や能力が評価される必要があります。すぐに上位の役職に就けるものではありませんが、経験を積み重ねて継続的に学んでいくことが大切です。

3-3. 雇用形態や職種を変える

30代薬剤師が年収アップを目指す方法の３つ目は、雇用形態や職種を変えることです。薬剤師の職種にはさまざまなものがありますが、高収入を得やすいのは製薬業界です。企業薬剤師への転職は競争が激しく狭き門ですが、収入をあげる選択として検討する価値はあるでしょう。

また、現在パートや派遣社員など非正規雇用として勤務している場合は、正社員になることも視野に入れてみましょう。そして、勤務地を選べるなら薬剤師の需要が高い地方の薬局を選ぶことも年収アップの１つの手段といえます。今の職場環境や働き方を見直して、収入を増やすための方法を模索してみてはいかがでしょうか。

3-4. 経験を活かして転職する

30代薬剤師が年収アップを目指す方法の４つ目は、経験を活かして転職することです。30代の薬剤師は、これまでの職歴から経験や技術を持っていることが多いため、多くの企業で即戦力と捉えられます。

また、40代を過ぎると転職しづらくなる可能性もあるため、30代のうちに転職を考えておくのも１つの方法です。なお、年収アップを目指して転職する場合は、初任給の額だけに着目するのではなく、昇進する可能性があるかも確認しておきましょう。

4. 年収アップを目指す30代薬剤師に求められるスキル

年収アップを目指す30代薬剤師に求められるスキルには、主に以下の３つがあります。

• 調剤の実務経験
• 最新の薬学の知識
• コミュニケーション能力

それぞれのスキルに関して、詳しく解説します。

4-1. 調剤の実務経験

薬局やドラッグストア、薬局への転職では、調剤の実務経験が求められます。とくに、調剤併設型のドラッグストアは増加傾向にあるため、新規オープンの店舗や小規模の企業では、現場ですぐに調剤業務を担える能力があると重宝されます。

一方で、30代は未経験の分野への転職希望者も少なくありません。大手グループ会社の調剤薬局やドラッグストアは、自社で研修制度を整えていることがあるため、未経験者でも積極的に採用していることがあります。転職するときには、面接や履歴書で自身の経験を正直に伝えることが大切です。

4-2. 最新の薬学の知識

年収アップを目指すなら、最新の薬学の知識を身につけておくことをおすすめします。医療の現場は刻一刻と進歩しているため、最新情報を把握することが大切です。また、セルフメディケーションの普及など、薬剤師に対する社会の期待も進化しています。

さらに、地域密着型のドラッグストアなどでは、患者さまと会話をする機会が増えるため、知識の幅を広げておくことも欠かせません。多様なトピックに対して、新しい知識や情報を取り入れていこうとする姿勢が、現代の医療業界では求められています。

4-3. コミュニケーション能力

コミュニケーション能力があることも、年収アップを目指す薬剤師に求められるスキルの１つです。薬剤師の仕事には、患者さまやお客さまと接する機会が多くあります。そのため、相手のペースや要望にしっかりと応えるためのコミュニケーションスキルは欠かせません。

さらに、職場で同僚や上司と良好な関係を築くためにも、コミュニケーション能力があることは重要です。前職も同じ職種だったとしても、新しい職場では初めての業務に遭遇することがあるでしょう。わからないことを質問したり対処したりするためにも、柔軟なコミュニケーション力を身につけておくことをおすすめします。

5. 転職サイトに登録して30代薬剤師の転職を成功させよう

30代は薬剤師としてのキャリアの中間地点ともいえます。30代の薬剤師が収入アップを目指すには、資格を取得する、管理薬剤師を目指すなどの方法があります。また、今の職場では給与があがる見込みがない場合は、職種を変えたりこれまでの経験を活かして転職したりするのもおすすめです。

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