薬剤師の手取りはどのくらい?雇用形態と職種別の給料を徹底解説
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6年制の薬学部を卒業して社会に出て、銀行口座に振り込まれた給料を見ると「思ったより手取りが少ない」と感じたことはありませんか。「他の薬剤師は、手取りでいくらもらっているの?」と疑問に思うこともあるかもしれません。
そこで今回は、薬剤師の手取りなど給与についての基礎知識と、雇用形態別の手取り、勤務先ごとの手取りを紹介します。また、手取りを増やすための転職のポイントも解説しますので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
薬薬剤師の手取りはどのくらい?雇用形態と職種別の給料を徹底解説
1. 薬剤師の給与に関する疑問!手取りとは
そもそも手取りとは何で、控除額で引かれている社会保険などが何を意味するのか、よく分からない人もいるでしょう。ここでは、手取りなど給与に関する基礎知識を押さえていきます。
1-1. 手取りとは
手取りは、実際に自分が受け取れる金額のことを指します。給与明細に書かれている総支給額から、所得税や住民税などの税金と、年金などの社会保険料が引かれて手元に残る金額が手取りです。つまり「総支給額(額面)ー 各種控除額=手取り」という公式が成り立ちます。
多くの場合、勤務先から銀行口座などに振り込まれるのが手取りです。また、給与は勤務先から支払われた総支給額のことを指しています。
手取りは、総支給額のおよそ80%であるため、総支給額に0.8を掛けることでおよその手取り額が算出できます。ただし、控除される金額は保険料率や扶養家族の有無などによって異なるため、この算出方法はあくまでも概算と捉えてください。
1-2. 税金の種類
自分が得ている収入から、何のためにいくら税金や社会保険料が差し引かれているのかを知っておくことは大切です。以下に、健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険の4つの社会保険料に加え、住民税と所得税の2つの税金について紹介します。
【健康保険料】
健康保険料は、医療費の財源となる公的な医療保険にかかる保険料です。健康保険に加入しているおかげで、病気やケガの治療でかかる医療費が3割の自己負担で済んでいます。また、必要なときには出産手当金や傷病手当金などが受け取れます。
【介護保険料】
介護保険料は、介護が必要な方に費用を給付するための公的な社会保険の1つです。40歳〜64歳までの会社員や自営業者が加入します。
【雇用保険料】
雇用保険料は、失業したときや傷病で仕事が続けられなくなったときに受けられる失業給付のための保険料です。他にも、育児休業給付、職業訓練給付などの公的サービスにも用いられています。
【厚生年金保険料】
厚生年金保険料は、厚生年金保険の適用を受ける企業に勤務する社員や公務員が加入する、公的年金制度にかかる保険料です。70歳未満の人は原則として加入します。
【住民税】
住民税は、課税対象の所得のある個人が都道府県や市町村に納める税金です。教育や福祉、消防や救急、ゴミ処理などの行政事業を運営するために使われます。
【所得税】
所得税は、課税所得のある個人が国に納める税金のことです。月々の総支給額から社会保険料を控除した額が一定を超える場合に、源泉徴収されます。
1-3. 社会人2年目は手取りが減る
基本的には、勤続年数が長くなると給与は上がりますが、手取り額に関しては、実は社会人1年目のほうが高くなることがあります。これには、健康保険料と住民税が差し引かれる時期が影響しています。
健康保険料は、その年の4月〜6月の給与から保険料が算出され、9月〜翌年8月までの保険料を支払うという仕組みです。前年に給与を受け取っていない新社会人は、4月に健康保険料が引かれることはありません。なお、5月〜8月は4月の給与をもとに保険料が決定します。
このように社会人1年目は、途中から健康保険料が差し引かれるため、5月の給与明細を見ると前月よりも低くなった人もいるかもしれません。
また、住民税は社会人2年目以降に引かれるケースが多いでしょう。住民税が前年の1月〜12月の所得をもとに計算されるためです。アルバイトをして前年に収入があった場合でも、1年間の収入が100万円以内であれば、住民税は課税されません。
2. 薬剤師の手取りはいくら?平均給与から見てみる
薬剤師の手取りは、正規雇用か派遣社員やパートなどの非正規雇用かによって大きく異なります。また、雇用形態が異なると多くの場合、労働時間も変わるため、1か月の手取り額にも違いが出てきます。
ここでは、正社員・パート・派遣社員の3つの雇用形態ごとに薬剤師の手取りを見ていきましょう。
2-1. 正社員薬剤師の手取り
総支給額 | 手取り額 | |
---|---|---|
/年 | 約580万円 | 約467万円 |
/月 | 約40万円 | 約32万円 |
賞与1回分 | 約94万円 | 約75万円 |
※千の位以下切り捨て
※年収は「きまって支給する現金給与額」の12か月分と「年間賞与その他特別給与額」を足して算出
※手取りは総支給額の80%で算出
※出典:令和3年 賃金構造基本統計調査|厚生労働省
厚生労働省のデータによると、正社員薬剤師の平均月収は約40万円で手取り額は約32万円です。社会保険料や税金として、1か月に約8万円差し引かれていることが分かります。
多いと思う人もいるかもしれませんが、社会保険や税金は国民の暮らしを支えるためにある制度です。支払い義務は社会人になった証として受け入れましょう。
2-2. パート薬剤師の時給からみる手取り
アポプラスキャリアに掲載されている求人情報では、パート勤務の薬剤師の時給は約2,500円(※1)が多く見られます。これにパート労働者の月間実労働時間(※2)の平均79時間を掛けて算出すると、1か月で約19万円の収入が得られ、手取り額は約15万円です。
なお、厚生労働省の毎月勤労統計調査によるとパートで勤務する人の勤務日数は平均14日であることから、週3日〜4日、5時間〜6時間の勤務と考えて良いでしょう。薬剤師はパートの時給が高いため、働く日数が少なくても高めの収入が得られます。
※1.アポプラス薬剤師求人サイトに掲載している求人データを参考に算出
※2.出典:毎月勤労統計調査|厚生労働省
2-3. 派遣薬剤師の時給からみる手取り
薬剤師の派遣社員は、時給2,600円〜2,700円の求人が多くみられます。(※1)一般的な派遣社員の労働時間(1日8時間労働×20日=160時間)を時給2,650円で働いたと計算すると、1か月で得られる収入は約42万円、手取り額は約33万円です。
1か月の額面で見ると正社員よりも高くはありますが、派遣社員は多くの場合ボーナスや退職金がありません。昇給制度もないことが多いため、手取りが上がる見込みは少ないでしょう。なお、通勤手当などの福利厚生も、正社員のほうが手厚い傾向にあります。
※1. アポプラス薬剤師求人サイトに掲載している求人データを参考に算出
3. 勤務先ごとの薬剤師の手取り額は?
薬剤師には、調剤薬局の薬剤師から製薬会社のMRまでさまざまな勤務先があり、業種により収入にも差があります。ここでは、薬剤師の主な業種、ドラッグストア・調剤薬局・病院・製薬会社の4つに分けて、求人情報から各々の職場別の手取り額の参考例を紹介します。
3-1. ドラッグストア
総支給額 | 手取り額 | |
---|---|---|
/年 | 約550万~700万円 | 約440万~560万円 |
/月 | 約35万円 | 約28万円 |
賞与1回分 | 約70万円 | 約56万円 |
※アポプラス薬剤師求人サイトに掲載している求人データを参考に算出
※年収はボーナスを2ヵ月分として算出
薬剤師の中でも高給取りと言われるドラッグストアの薬剤師は、手取り月収でいうと約28万円です。ドラッグストアは、店舗数が増えている傾向にあり、都市部から地方まで求人数も多く、転職先の選択肢も豊富です。特に、薬剤師の人材不足に悩む地方では、高収入の求人が出ていることもあります。
業務内容は服薬指導だけにとどまらず、OTC医薬品の販売なども含まれることから、幅広い医療知識が得られるのも魅力です。
ただし、長い営業時間に伴って勤務時間が長時間化する傾向にあります。また、店舗によってはシフト制で夜間勤務があり、土日も休めない可能性があるでしょう。
3-2. 調剤薬局
総支給額 | 手取り額 | |
---|---|---|
/年 | 約450万~550万円 | 約360万~440万円 |
/月 | 約31万円 | 約24万円 |
賞与1回分 | 約63万円 | 約50万円 |
※アポプラス薬剤師求人サイトに掲載している求人データを参考に算出
※年収はボーナスを2ヵ月分として算出
調剤薬局薬剤師は、手取り月収でいうと約24万円です。大手チェーン展開する薬局企業も多数存在し店舗数が多いため、薬剤師にとっては売り手市場です。比較的、転職も容易に行えるでしょう。
調剤薬局薬剤師は、処方薬の調剤業務と患者様への服薬指導が、主な業務内容です。患者様とコミュニケーションを取りながら地域医療に貢献できる職種です。また、管理薬剤師ともなれば高収入が期待できるでしょう。
ただ、多くの調剤薬局は少人数で運営しているため人間関係を円滑に行うことも業務の一環だと言えるかもしれません。
3-3. 病院
総支給額 | 手取り額 | |
---|---|---|
/年 | 約390万~500万円 | 約312万~400万円 |
/月 | 約28万円 | 約22万円 |
賞与1回分 | 約56万円 | 約44万円 |
※アポプラス薬剤師求人サイトに掲載している求人データを参考に算出
※年収はボーナスを2ヵ月分として算出
病院薬剤師は、手取り月収でいうと約22万円です。他の業種に比べると年収相場は低めですが、医薬品のプロフェッショナルとして医療に貢献している実感が得られるのが魅力です。
基本的な処方箋の調剤業務の他に、点滴や注射薬の管理、外来や入院患者様に処方する医薬品の管理業務を担うことがあります。
病院の規模にもよりますが、患者様と向き合って細やかな服薬指導を行い、臨床医療に携われるのは病院勤務でしか行えません。スキルアップややりがいを求める薬剤師に人気の職種です。
3-4. 製薬会社
総支給額 | 手取り額 | |
---|---|---|
/年 | 約550万~700万円 | 約440万~560万円 |
/月 | 約39万円 | 約31万円 |
賞与1回分 | 約78万円 | 約62万円 |
※アポプラス薬剤師求人サイトに掲載している求人データを参考に算出
※年収はボーナスを2ヵ月分として算出
製薬会社勤務の薬剤師の手取り月収は、約31万円です。MR(医療情報担当者)は、高収入を目指せる職場として薬剤師には人気があります。企業にもよりますが、異動や出張が多い職種です。
学会や接待などで土日も出勤せざるを得ないなど、多忙な生活になる人も少なくありません。医薬品情報を医師や薬剤師に正しく伝え、医薬品の販売・普及に携わり、幅広く医療に貢献できるのが魅力です。
外資系などの企業によっては、薬に関する専門知識の他にも英語など語学力を求められるケースがあります。
医薬情報担当者として企業に属すMRについて、仕事内容や年収、転職事情についてご紹介します。
4. 薬剤師が手取りを増やすために転職するときのポイント
手取りを増やすためには、転職して収入アップを目指す方法があります。理想的な職場を見つけるには、コツを押さえておくのがおすすめです。ここでは、薬剤師が転職で成功するためのポイントを4つ解説していきます。
4-1. 転職理由を明確にしておく
現状の職場で不満な部分を洗い出しておくと、問題解決となる転職先を探すときに役立ちます。「人間関係に問題を抱えている」「通勤時間が遠い」「手取り額に不満がある」など、人によって転職を思い立つきっかけはさまざまです。
職場を変える理由が曖昧なままでは今と同じような職場を選んでしまい、またストレスを抱えてしまいかねません。転職を成功させるためには、転職する理由を明確にしておきましょう。
4-2. 希望条件の優先順位をつける
「資格支援制度がある」「手取り〇〇円以上」「服薬指導の経験が積める」「残業が少ない」など、自分にとって必要だと思う職場の条件を挙げてみましょう。そのあと、希望条件の優先度が高いものから順に並べてください。優先順位をつけておくことで、転職先を見つける際に迷いが生じたときにも早く決断できます。
ただ、希望をすべて満たす職場を探し出すのは難しいものです。完璧な職場はないことを念頭に置き、希望条件とのマッチ度が高い職場を探しましょう。
なお、希望条件を言語化しておくことは、転職エージェントに相談するときにも役に立ちます。
4-3. 希望エリアの年収相場を確認する
薬剤師は、就業先の地域によって給与の相場が異なります。薬剤師不足に陥っている地方では高収入で求人を出していることもあるからです。転職するときには、転職サイトなどを参考に希望する地域の年収相場を確認しておくことも大切です。
しかし、実際の手取り額には勤務時間や資格手当など、その他の項目も大きく影響します。働く地域相場も重要な検討要素ですが、総合的に見て納得のいく職場かどうかを判断しましょう。
薬剤師の平均年収について男女別、都道府県別、業種別に分けて詳しく解説します。
4-4. 複数の転職エージェントに登録する
転職するときには、2社〜3社の転職エージェントを併用することをおすすめします。複数の会社に登録すると、単純に、多くの求人情報を受け取れるというだけでなく、転職エージェントの比較も行えます。
薬剤師専門の転職エージェントはいくつか存在し、それぞれに得意・不得意があります。病院への求人情報を多く持つエージェント、20代・30代・40代など年代別に強いエージェント、女性薬剤師に力を入れているエージェント、パート・アルバイトの転職活動をするときに向くエージェントなど、それぞれの強み・メリットを知るためにも複数登録しておくことをおすすめします。
転職エージェントを複数見ることで、自分に合ったアドバイザーと出会える確率も高まるでしょう。
5. 薬剤師が手取りアップを狙うなら転職エージェントに登録しよう
薬剤師の手取りは、正社員薬剤師か派遣・パートなどの非正規雇用かなど、仕事内容や働き方によって大きく異なります。年収アップを目指すときに有効な手段は、転職によるキャリアアップです。勤務先によって手取り額が左右されるため「どこで、どんな薬剤師として働くか」は非常に重要な選択だと言えます。転職を成功させるためにも、薬剤師専門のエージェントに登録して、求人情報を探してみませんか。
アポプラス薬剤師編集部
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