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病院薬剤師の年収アップ完全ガイド|6つの年収アップ戦略を徹底解説

更新日:

「病院薬剤師は調剤薬局と比べて年収が低いのはなぜ?」
「キャリアを積んでも年収1,000万円は夢のまた夢?」
とお悩みではありませんか?

「患者のそばで働くやりがいは大きいけれど、給与面では報われにくい……」という葛藤に頭を抱える病院薬剤師は少なくありません。この記事では、病院薬剤師の平均年収から職場別・年代別の給与実態、さらには年収アップを実現する6つの具体的な方法まで、徹底解説します。専門資格の取得や管理職への道、転職戦略など、あなたに最適な選択肢を見つけ、専門性の高い仕事と満足できる収入を両立させましょう。


この記事からわかること

  • 病院薬剤師の平均年収
  • 病院薬剤師の年収が低い主な理由
  • 病院薬剤師の年収アップには6つの具体的な戦略がある

目次アイコン目次

病院薬剤師の年収アップ完全ガイド|6つの年収アップ戦略を徹底解説

1. 病院薬剤師の年収は? 他の医療従事者と比較

病院薬剤師の年収は? 他の医療従事者と比較

まずは、病院薬剤師の年収について多角的に解説します。

1-1. 病院薬剤師と他の医療職との年収の比較

中央社会保険医療協議会の調べによると、病院薬剤師の平均年収は、約569万円です。病院には、薬剤師だけでなく医師や看護師、検査技師といった他の医療従事者もいます。他の医療従事者と比較した表が以下です。

職種 平均月収 平均年収(賞与を含む)
医師 約102万円 約1,322万円
歯科医師 約89万円 約1,180万円
病院薬剤師 約38万円 約569万円
看護師 約36万円 約469万円
診療放射線技師 約37万円 約550万円
臨床検査技師 約34万円 約504万円
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士 約31万円 約444万円
薬剤師の平均年収はいくら?都道府県別から業種別まで詳しく解説!

薬剤師の平均年収について、男女別、都道府県別、業種別などに分けて詳しく解説します。薬剤師が年収を上げるための方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

出典:令和6年賃金構造基本統計調査 |厚生労働省

出典:第24回医療経済実態調査|中央社会保険医療協議会

1-2. 病院薬剤師の年収 - 年齢別の実態

病院薬剤師の年収は、「年齢」や「経験」によって大きく変わります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、年齢別の薬剤師全体の平均年収は以下のようになっています。

年齢 平均年収
20代 約450万円
30代 約589万円
40代 約657万円
50代 約727万円
60代 約622万円
70代 約466万円

出典:令和6年賃金構造基本統計調査 |厚生労働省

この表は薬剤師全体の平均値ですが、一般的に病院薬剤師は調剤薬局などと比べて管理職ポストが少ないため、実際にはこの表の数値よりも年収の上り幅が緩やかになる傾向があると考えられます。

1-3. 役職(管理薬剤師/主任薬剤師など)ごとの収入変化

薬剤師の収入を大きく左右するのは「役職」です。アポプラス薬剤師の求人によれば、主任薬剤師が年収600万円程度の募集に対し、薬剤部長クラスだと750万円の募集も見られます。役職別の公式統計はないものの、求人サイトの情報を比較すると、管理職への昇進が収入アップの重要な選択肢であることがわかります。キャリアアップを目指す薬剤師にとって参考となるでしょう。

1-4. 薬局、ドラッグストア薬剤師との比較

職種 平均年収
病院薬剤師 約390万~500万円
調剤薬局 約450万~550万円
ドラッグストア 約515万~600万円
製薬会社など企業 約550万~700万円

※アポプラスキャリア掲載求人の月給×14ヶ月(賞与2ヶ月分と仮定)など、弊社独自の基準で算出した参考値です。

上記の表を見ると、病院薬剤師の年収レンジ(300~500万円)は、調剤薬局(450~550万円)やドラッグストア(515~600万円)とくらべても低い傾向にあり、最大で200万円以上の差が生じることもあります。特に、製薬会社などの企業勤務と比べると、最大200万円もの年収差が生じるケースも見られます。病院薬剤師は医療チームの一員として専門性を発揮できる一方、収入面ではキャリアスタート時の条件が厳しい職種といえます。

1-5. 専門・認定薬剤師による年収上昇効果

「がん薬物療法認定薬剤師」や「感染制御専門薬剤師」など、需要の高い資格取得者になれば、資格手当として月額5万円程度を支給する企業もあります。また、直接的な手当を算定していなくても、専門資格を取得する過程の学会発表などの実績が昇進に優位に働くことも考えられます。キャリアアップを考える際は、職場だけでなく、資格取得も視野に入れて戦略を立ててみましょう。

認定薬剤師とは?資格のメリットや種類、取得までの流れを解説

この記事では、認定薬剤師とは何か、資格を取得することで得られるメリットは何かといった内容について詳しく解説します。

2. 職場によってここまで違う!病院薬剤師の勤務先別年収比較

職場によってここまで違う!病院薬剤師の勤務先別年収比較

病院薬剤師は、職場によって年収が異なるケースが多く見られます。ここでは、病院薬剤師を以下の3つに分け、それぞれの年収について詳しく解説します。

  • 国立病院
  • 公立病院
  • 民間病院

2-1. 国立病院

中央社会保険医療協議会の行った調査によると、国立病院の薬剤師の平均年収は約626万円です。国立病院の薬剤師は、給与規定によって給与額が定められているため、どこの病院でも給与が同額になるのが特徴です。

出典:第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告|中央社会保険医療協議会

2-2. 公立病院

中央社会保険医療協議会の調査によると、公立病院の平均年収は、約595万円です。国・公立病院は安定性が大きな利点と言えます。公務員としての薬剤師は、基本的には病院の事情で解雇されることはなく、本人の希望により定年まで勤務が可能です。加えて、福利厚生や各種手当、残業代なども整っているため、長期間にわたって安定して働きたい方には、理想的な職場環境と言えるでしょう。

出典:第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告|中央社会保険医療協議会

2-3. 民間病院

中央社会保険医療協議会の調査によると、民間病院の平均年収は約568万円です。勤務先の病院によりますが、民間病院は、定期昇給の規定が必ずしも確立していないため注意が必要です。国・公立病院では毎年一定の昇給が見込まれますが、民間病院では昇給の額に明確な基準はなく、確実に給与アップが行われるかはわかりません。実際、昇給の機会がまったくない病院もあります。

そのため、初期の段階では民間病院の給与のほうが高いものの、30代以降では逆転し、国・公立病院のほうが高くなるといったケースもあります。また、ボーナスや退職金についても病院によって差異があります。これは、病院の経営状態による差が、大きく影響するためです。

出典:第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告|中央社会保険医療協議会

下田氏
下田コメント
病院薬剤師の魅力は、医療チームで専門性を発揮できることです。若手の間は初期収入より専門性構築を優先しながら、資格を取得し、臨床経験を積むことで、長期的なキャリアパスと収入アップの両立が可能になるでしょう。

3. どうして病院薬剤師の年収は上がりにくい?3つの構造的理由

どうして病院薬剤師の年収は上がりにくい?3つの構造的理由

病院薬剤師の年収が低い理由には、以下の3つがあります。

  • 病院は非営利が前提のため給与が上がりにくい
  • 病院内の人件費削減対象になりやすい
  • 薬剤師業務の評価が適切に診療報酬に反映されていない

それぞれの理由について、詳しく解説していきます。

3-1. 病院は非営利が前提のため給与が上がりにくい

病院薬剤師の年収が低い理由の一つに、病院や医療法人が非営利組織であることが挙げられます。利益追求を目的としないため、企業の業績が直接的に従業員の給与へ大きく反映されにくい構造になっています。医療法の規定により、病院は利益追求を主な目的とはできないため、業績の向上が直接的に従業員の給与へ反映されるわけではありません。

さらに、国は利益追求を目的とする病院の設立を許可しないことがあります。雇用契約に基づく昇給はありますが、急激な収入の増加や賞与の大幅な増額は期待できないでしょう。

3-2. 病院内の人件費削減対象になりやすい

病院薬剤師の年収が低い2つ目の理由は、医師や看護師に比べ、薬剤師は人件費削減の対象になりやすいことです。診療や治療をするには、医師や看護師の存在は欠かせません。また、病院によっては医師や看護師の人材不足が深刻化しているため、高い給与など待遇を良くして、人材を確保する必要があります。

一方で、病院薬剤師は新卒にとってやりがいのある仕事として人気があり、高い給与を提示しなくても人材が集まりやすいと言われています。このような背景から、医師や看護師と比べて病院薬剤師は人件費の削減の対象となりやすく、結果として給与が低く設定されやすいと言えます。

3-3. 薬剤師業務の評価が適切に診療報酬に反映されていない

病院薬剤師の年収が低い3つ目の理由は、病棟業務や副作用モニタリングなどの専門的業務が個別の診療報酬点数として評価されていないケースがあることです。調剤薬局では「薬剤服用歴管理指導料」などで業務が明確に点数化される一方、病院では薬剤師の貢献が入院基本料に包括されることもあります。そのため、病院薬剤師の価値が可視化されにくいのが現状です。

4. 今すぐ実践できる!病院薬剤師が年収を上げる6つの戦略

今すぐ実践できる!病院薬剤師が年収を上げる6つの戦略

病院で働く薬剤師が年収を上げるには、主に以下の6つの方法があります。

  • 資格手当や昇進につながる資格を取得する
  • キャリアアップを目指す
  • 国立や公立病院に転職する
  • 地方の病院に転職する
  • チーム医療で不可欠な専門性を高め、特定分野のエキスパートになる
  • 副業や兼業を検討する

以下ではそれぞれ解説していきます。

4-1. 資格手当や昇進につながる資格を取得する

病院薬剤師が年収アップする1つ目の方法は、資格の取得です。「認定薬剤師」や「専門薬剤師」といった資格は、資格があることで特定の業務や役職に就くチャンスが増え、キャリアアップへの道が広がります。特に、がん、感染症、緩和ケアの分野における認定薬剤師・専門薬剤師は、病院での活躍の場が多く、おすすめできる資格です。

たとえば、感染症領域の資格(感染制御認定薬剤師/感染制御専門薬剤師)があれば、病院内で「ICT(Infection Control Team)」と呼ばれる感染対策チームの一員として、病院全体の感染対策に取り組むことができます。

専門薬剤師の資格は、まず認定薬剤師からスタートし、その後、専門薬剤師の資格を目指すのが一般的です。専門薬剤師の資格取得には、必要な研修単位の取得や症例の経験、さらには試験に合格する必要があるため、事前に準備して計画的に勉強する必要があるでしょう。

4-2. キャリアアップを目指す

キャリアアップを目指す

病院薬剤師が年収アップする2つ目の方法は、キャリアアップです。まずは、薬剤部長、薬剤部副部長、または主任薬剤師といった管理職への昇進を目指してみましょう。病院の大きさにもよりますが、たいていの場合は「管理職手当」がつくため、数万円の給料アップを期待できます。加えて、勤務年数や実務経験、病院の経営状態などのさまざまな要因によって年収の上昇幅は異なるものの、薬剤部長にまで昇進すれば、かなりの高収入を見込めるでしょう。

4-3. 国立や公立病院に転職する

病院薬剤師が年収アップする3つ目の方法は、国立や公立病院への転職です。国立・公立の病院では、毎年確実に昇給し、ボーナスや退職金などの福利厚生も整っているため、安定と高収入を両立したい病院薬剤師にとって魅力的な選択肢と言えます。特に、長期間にわたり病院薬剤師として勤務したい方は、国・公立病院の薬剤師として働くのがおすすめです。

国・公立病院へ就職するには、難易度の高い公務員試験の受験が必要です。中途採用の希望者にとっては、他の病院で経験を積み、スキルアップした上で、国・公立病院への転職を目指すことが成功のカギになるでしょう。

4-4. 地方の病院に転職する

病院薬剤師が年収アップする4つ目の方法は、地方の病院に転職することです。都市部では、薬剤師の数が飽和状態に近づいていますが、地方では薬剤師不足に悩む病院が少なくありません。条件の良い地方の病院で勤務すれば、年収アップが見込めるでしょう。家族がいる方にとって、地方への引越しは容易ではないかもしれませんが、地方での勤務が可能であるならば、おすすめの選択肢です。

とはいえ、民間病院では施設ごとに待遇が異なる可能性もあるため、給与や諸条件をしっかりと比較し、自分の希望に合った病院を探してみましょう。また、経営状態が不安定な病院もあるため、事前調査は欠かせません。

4-5. チーム医療で不可欠な専門性を高め、特定分野のエキスパートになる

病院薬剤師が年収アップを目指す5つ目の方法は、特定分野のエキスパートになることです。たとえば、がん薬物療法、感染症治療、緩和ケアといった領域で専門性を高めれば、チーム医療での重要な役割を担えるようになります。

こうした専門薬剤師は高度な知識を要する業務を任されるため、スキルに応じた手当がつくケースも多く、病院内での評価も向上します。また、多くの病院では専門性向上のための研修費用補助制度もあり、長期的な自己研鑽が収入アップにつながります。

4-6. 副業や兼業を検討する

病院薬剤師が年収アップを目指す6つ目の方法は、副業や兼業を検討することです。休日に調剤薬局でアルバイトをすれば、時給2,500〜3,000円程度で、月4日の勤務でも月収10万円程度の収入となります。また、専門知識を活かした講演や執筆活動も収入源になるでしょう。

副業を行う際は、必ず病院の就業規則を確認し、雇用側の許可を得ましょう。近年は副業を認める病院も増えていますが、オーバーワークになって本業に支障が出ないよう、体調管理には十分注意してください。

5. 病院薬剤師として働くメリットとデメリットを分析

病院薬剤師として働くメリットとデメリットを分析

キャリア選択の参考となるよう、病院薬剤師として働く主なメリットとデメリットを解説します。

5-1. 病院薬剤師のメリット

病院薬剤師の魅力は医療チームの一員として専門性を発揮できる点で、処方提案や副作用モニタリングで専門家として意見が尊重されます。多様な疾患に触れることで幅広い薬剤知識が身につき、国公立・大学病院では雇用安定と福利厚生の充実により長期的キャリア形成が可能です。さらに研修や学会参加の機会も豊富で、専門資格取得の支援制度も整っています。

5-2. 病院薬剤師のデメリット

病院薬剤師は、調剤薬局や企業と比べて年収が低めです。特に、若手は給与水準が抑えられがちで、中規模以上の病院では夜勤・当直があり、シフト勤務による生活リズムの変化にも対応しなければなりません。また、業務量が多く責任も重大で、人員不足時は時間外労働も発生します。管理職ポストは限られており、昇進や専門性向上には長期の勤務経験と継続学習が求められるでしょう。

下田氏
下田コメント
病院規模や地域で薬剤師の役割は大きく変わります。大学病院では専門性が評価されますし、中小病院では幅広い経験が評価されます。自分の志向(専門特化か多機能型か)に合った病院を選ぶことが大切です。

6. 病院薬剤師の年収Q&A|よくある質問を専門家が解説

病院薬剤師の年収Q&A|よくある質問を専門家が解説

病院薬剤師の年収についてよくある質問に回答します。

病院薬剤師で年収1,000万円を達成することはできるでしょうか

結論から言えば、病院薬剤師が年収1,000万円を達成することは可能ですが、一般的ではありません。薬剤部長などの上級管理職や、がん専門薬剤師など複数の専門資格を持つエキスパートに限られるケースがほとんどです。大学病院や特定機能病院の上級職、または薬剤師不足が深刻な地方の中核病院なら、年収が1,000万円に到達する可能性があります。

高収入を目指すには、計画的なキャリア構築が必要です。認定・専門薬剤師資格の取得、研究実績の積み上げ、医療チームでのリーダーシップ発揮など、戦略的なスキルアップが不可欠と言えるでしょう。

病院薬剤師の年収ランキングが知りたいです

以下が、病院薬剤師の設置主体別平均年収です。

順位 病院の設置主体 平均年収(賞与込)
1位 国立 約626万円
2位 公的団体 約605万円
3位 公立 約595万円
4位 社会保険関連法人 約594万円
5位 民間その他全体 約568万円

出典:第24回医療経済実態調査|中央社会保険医療協議会

この表からわかるように、病院薬剤師の年収は設置主体によって差があります。国立病院の平均年収がもっとも高く、民間病院が低い傾向にあります。ただし、民間病院でも病院の規模や地域によって大きな差があるため、転職を考える際は個別に確認することをおすすめします。

7. まとめ:戦略的なキャリアプランで年収アップを目指そう

まとめ:戦略的なキャリアプランで年収アップを目指そう

この記事では、病院薬剤師の年収や低い理由について解説し、給料アップのための具体的な方法も紹介しました。給与面での不満を解消し、より充実した職場への転職を考えるときには、転職エージェント「アポプラス薬剤師」への登録も検討してみてください。薬剤師専門のコンサルタントが、あなたのキャリアアップをサポートします。

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監修者

下田氏

薬剤師・薬局経営コンサルタント 下田 篤男

京都大学薬学部総合薬学科卒業。 卒業後は調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務。 総合病院門前などで管理薬剤師として経験を積んだのち、マネジメント業務にも携わる。現在は薬剤師として働く傍ら、医療記事の執筆、編集や薬局経営コンサルタントとしても活動している。

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