1. 年収アップが叶う業界が変化している？薬剤師の転職市場のリアル

薬剤師が年収アップを目的とした転職をするときには、人材が不足している職種や地域、店舗に転職するのが基本です。

過去には、製薬会社のMRなども高年収求人として人気でしたが、近年はそこまで年収が高くない印象です。むしろ、異業種への転職は、基本的に年収が下がるリスクがあることに留意しておく必要があります。

2. 薬剤師が年収アップを目指すなら「規模の小さい個人薬局」を選ぶのも１つの手段

正直なところ、近年の薬剤師の転職業界では、年収アップを期待できるケースが減少しており、転職で年収をあげるハードルが徐々に高くなっています。

これは、「かかりつけ薬剤師」など地域医療に関連する役割が増えていることが背景にあります。

どういうことかというと、「長期間在籍し、顧客を持っている薬剤師」を優遇する傾向が強まっているのです。転職すると、その人に付いていた顧客がいなくなってしまうため、低く評価されてしまいます。

こういった現状のなか、転職で年収アップを目指すには、とくに人材が不足している地域、店舗を見極め、戦略的に求人を探す必要があります。

そこでおすすめしたいのが「規模の小さい個人薬局」への転職です。

大手薬局の中途採用は厳しい要件や年齢制限がある場合も少なくありません。一方で、中小薬局は中途採用が主流で、転職者の希望に柔軟に対応してくれることが多く、年収の相談がしやすい傾向があります。また、小さい個人薬局では応募者が少なく求人倍率が低いため、転職のハードルは比較的低いといえるでしょう。

また、人手不足のために好条件で募集を出していることも珍しくありません。年収アップを目的とするなら、規模の小さい個人薬局は有力な選択肢の１つといえます。

3. 「規模の小さい個人薬局」の魅力

ここでは、「規模の小さい個人薬局」の魅力を解説します。

3-1. 条件を交渉しやすい

規模の小さい個人薬局は、条件の融通が利きやすいという特徴があります。たとえば、年収・働き方・処方箋数・勤務地などの諸条件を交渉できることもあります。規模が小さいことから、面接で決裁者と話す機会があるためです。

個人薬局は応募する人が少なく、人手不足なことから、比較的好条件の求人が多いです。こういった理由から、年収や働き方の希望を叶えやすい傾向があります。

3-2. 働くうえでの制約が少ない

大手薬局では、ノルマが課せられたり複雑なルールがあったりすることも珍しくありません。

たとえば、従業員一人ひとりに、ジェネリック医薬品の売上目標が設定されていることもあるでしょう。国が推進する制度への対応が必要な背景があるためです。

一方で、規模の小さい個人薬局では、自分のペースで働きながら患者さまとの信頼関係を築いていける傾向にあります。仕事をするうえで、やりがいを覚えやすい環境といえるでしょう。

薬剤師の方の多くは転職先を「会社の規模」よりも「店舗」で選びます。店舗やスタッフの雰囲気や自宅からの通いやすさなども、転職先を選ぶときの重要な要素の１つなのです。自分に合った職場環境を見つけることで、満足のいく転職が実現するでしょう。

4. 「規模の小さい個人薬局」が求めている人物像

規模の小さい個人薬局では、特別に求められる人物像がないことが多いです。しかし、年収アップを目指すなら、「個人薬局」に不足している以下のような経験を持っていると有利です。

• 管理薬剤師
• 在宅薬剤師
• かかりつけ薬剤師
• ラウンダー薬剤師

それぞれの経験について、詳しく解説します。

4-1. 管理薬剤師

管理薬剤師は、薬局の運営や管理に関する業務全般を担います。具体的な業務には、在庫管理・スタッフの教育・法令遵守の確認・保険請求の管理などがあります。

管理薬剤師は薬を販売するためになくてはならない存在です。とくに、小規模薬局では管理薬剤師が担う役割が大きくなります。スタッフの管理・指導といったマネジメント業務も担うケースが多いためです。

薬局の運営に必須の存在のため、高い年収の求人が多くあります。

4-2. 在宅薬剤師

在宅薬剤師は、患者さまの自宅に訪問して薬の管理や服薬指導をおこなう薬剤師のことです。高齢者や慢性疾患を持つ患者さまのサポートが、主な業務です。

在宅薬剤師の経験は、「地域密着型のサービス」をおこなう小規模薬局にとって、非常に価値があります。近年、個人薬局では在宅医療に力を入れているケースが散見されます。

薬局に勤めるうえで、必須になりつつある経験の一つです。

4-3. かかりつけ薬剤師

かかりつけ薬剤師は、患者さま一人ひとりに対して継続的に薬の管理や相談を受ける役割を担います。患者さまの健康状態を把握し、適切なアドバイスを提供するのが主な業務です。

小規模薬局は、地域医療へ力を入れているケースが多いです。一人ひとりの患者さまへパーソナルな対応を行ってきた経験は年収アップの交渉材料になります。

4-4. ラウンダー薬剤師

ラウンダー薬剤師は、複数のエリアや店舗の薬局を巡回する薬剤師です。業務内容は、各薬局での薬剤管理やスタッフ支援など、多岐に渡ります。

規模の小さな薬局では、ラウンダー勤務に対応する人材を確保しているケースはほとんどありません。ラウンダー薬剤師として複数の店舗で柔軟に働ける人のニーズは高いといえます。

5. 薬剤師が「規模の小さい個人薬局」への転職を成功させるためには？

薬剤師が規模の小さい個人薬局への転職を成功させるためには、以下の２つのポイントを押さえましょう。

• 応募のタイミングを逃さない
• 面接を通して人柄を伝える

それぞれ、詳しく解説します。

5-1. 応募のタイミングを逃さない

中小規模の薬局は、採用が計画的ではないことが多く、急に求人を出すことも珍しくありません。そのため、応募するタイミングを見逃さないことが非常に重要です。

規模の小さい個人薬局の求人は変動しやすいため、よい求人を見つけたらすぐに応募しましょう。

5-2. 面接を通して人柄を伝える

小規模の薬局に応募するときの面接では、大きな声と愛想のよさを意識することが大切です。薬局側のニーズは意外と抽象的で、「コミュニケーションができる人」といった漠然としたイメージしか持っていないことも珍しくありません。

朗らかな態度で面接に臨むことで、仕事への前向きな姿勢や人柄を伝えられます。

また、変化に対して柔軟に対応できる姿勢をアピールすることも重要です。たとえば、DXにも柔軟に対応できることをアピールするといいでしょう。

6. 個人薬局の求人は転職エージェントに登録して探そう

転職による年収アップは全体的に難しくなっていますが、規模の小さい個人薬局では入社時に待遇の調整ができることも珍しくありません。そのため、年収が低いと感じているなら、小規模薬局への転職も方法の１つです。

しかし、規模の小さい個人薬局はいつ求人が出るか予測できないことも多いため、転職エージェントの活用が重要なカギとなります。

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