派遣薬剤師とは?メリット・デメリットや向いている人を解説
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薬剤師の資格を活かした働き方として、派遣薬剤師を検討している方もいるでしょう。調べていく中で、「派遣薬剤師は職場でどのような業務をするの?」「派遣で働くとどのようなメリット・デメリットがあるの?」という疑問を持つ薬剤師は多いはずです。
そこで本記事では、派遣薬剤師の主な職場や働き方の特徴、メリット・デメリット、派遣の働き方が向いている人の特徴などを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
派遣薬剤師とは?メリット・デメリットや向いている人を解説
1. 派遣薬剤師とは?職場や働き方の特徴
派遣薬剤師は、どこに就業することができ、どのような働き方になるのか疑問に思う人もいるでしょう。ここでは、派遣薬剤師について、以下の3つを詳しく解説します。
- 派遣薬剤師とは
- 主な職場
- 働き方の特徴
それぞれについて、詳しく解説します。
1-1. 派遣薬剤師とは
派遣薬剤師とは、派遣社員として働く薬剤師のことです。企業と雇用契約を結ぶのではなく、派遣会社と雇用契約を結んだうえで就業先に派遣されるという特徴があります。
給与の支払いや仕事の斡旋などは派遣会社からおこなわれる一方、実際の業務に関する直接的な指示や管理は、就業先の薬局やドラッグストアなどがおこないます。
指示系統が派遣会社・就業先の2つになるため、適応するのに時間がかかることもあるでしょう。
- 【ポイント】
- 派遣薬剤師の福利厚生は、主に派遣会社の基準に準じます。基本的には、派遣社員として就業をはじめてから6カ月が経過すると、法律に基づき有給休暇が付与されます。また、産前産後休暇や育児休暇の取得も可能です。
- しかし、法定外の福利厚生に関しては、派遣会社によって異なるため、派遣会社ごとに提供される福利厚生の内容や範囲はさまざまです。派遣薬剤師として働くときには、派遣会社がどのような福利厚生を提供しているか、事前に確認しておきましょう。
1-2. 主な職場
派遣薬剤師はどのような業務をおこなうのか知りたい薬剤師もいるでしょう。ここでは、派遣薬剤師の業務内容を、就業先ごとに解説します。
1-2-1. 調剤薬局
調剤薬局では、業務をスムーズに進めるため、正社員の薬剤師が調剤を主におこない、派遣薬剤師は服薬指導の業務を担当することが一般的です。ただし、在宅医療に特化した調剤薬局では、一包化や錠剤の粉砕などの調剤業務が主体となることもあります。
調剤薬局は、派遣薬剤師の主な派遣先で求人数も多いため、希望条件に合った職場が見つけやすいという特徴があります。
調剤薬局は患者さまとのコミュニケーションが重要で、やりがいを感じる職場です。一方で、処方箋が特定の医療機関に偏ると、スキルアップが難しいと感じる人もいます。特定の専門知識を学びたい場合は、希望する科のある病院やクリニック近くの薬局を選ぶとよいでしょう。
調剤薬局で働く薬剤師の業務内容・年収・キャリアパス・魅力・求められるスキルについて詳しく解説していきます。
1-2-2. ドラッグストア
調剤薬局が併設されているドラッグストアでは、派遣薬剤師は一般的な調剤業務のほか、OTC(一般用医薬品)の接客販売もおこなうことが多いです。OTC(一般用医薬品)の販売では、顧客の状況をヒアリングし、最適な商品を提案するため、コミュニケーション能力が求められます。
ドラッグストアは、全国に多くの店舗があり営業時間が長いため、希望する勤務地や時間帯を選びやすいという特徴があります。また、比較的高い時給が期待でき、多岐にわたる業務を通じて販促やマーケティング施策にかかわる機会もあるでしょう。
しかし、店舗によっては遅い時間まで勤務があったり、調剤以外の販売業務を求められたりすることがあります。また、レジ打ちや品出し、売り場作りなど、薬剤師の専門業務以外も担当することがあり、薬剤師としての仕事に集中できないことがあります。
ドラッグストアで働く薬剤師の具体的な仕事内容や年収、働き方について詳しく解説していきます。
1-2-3. 病院
原則として、病院や診療所での医療関連業務は派遣法によって「派遣不可」とされています。しかし、特別な場合に限り可能です。
派遣薬剤師が病院で働く方法は2つあります。「紹介予定派遣」「産前産後休業、育児休業、介護休業中の労働者の代替」として働く場合です。しかし、病院派遣の募集は非常に貴重で、自分の希望に合った求人を見つけるのは難しいのが実情です。病院派遣薬剤師の働き方について、さらに詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
病院派遣薬剤師の業務内容、求められるスキル、向いている人の特徴、注意点を詳しく解説します。
1-3. 働き方の特徴
派遣薬剤師には、以下2つの働き方の特徴があります。
- 就労期間が定められている
- 給与が就業先の業績に左右されない
それぞれについて、詳しく解説します。
1-3-1. 就労期間が定められている
派遣社員は通常、有期雇用契約に基づいて働くため、雇用期間が最初から決められています。派遣法で定められた規定により、派遣薬剤師が同じ職場で働ける期間は、最長3年、紹介予定派遣の場合は、最長で6カ月間です。
長期的に同じ職場へ勤務することはできませんが、もし就業先の労働環境や人間関係に問題があったとしても、定期的に職場環境が変わることで、新たな職場で働く機会を得やすいというメリットもあります。
1-3-2. 給与が就業先の業績に左右されない
派遣薬剤師の場合は、勤務先の薬局ではなく派遣会社との間で雇用契約を結んでいるため、勤務先薬局の経済状況が直接的に給与に影響を及ぼすことはありません。
例えば、2016年度の診療報酬改定時には、多くの薬局が収益の減少を経験しました。このとき、派遣薬剤師は業績の変動に左右されずに安定した収入を得ることができました。ただし、勤務先の薬局が高い成果をあげても、インセンティブはつかないことを理解しておきましょう。
2. 派遣薬剤師のメリット
派遣薬剤師のメリットには、主に以下の4つがあります。
- 時給が高い
- 希望の働き方を実現しやすい
- 職場を変えやすい
- 派遣会社を介して就業先と交渉できる
それぞれについて、詳しく解説します。
2-1. 時給が高い
派遣薬剤師は、給料が高いのが大きな魅力です。派遣薬剤師の時給は、パート薬剤師の約1.5倍ともいわれ、時給2,600円〜2,700円(※)の求人も珍しくありません。
※アポプラス薬剤師 求人サイトに掲載している求人データを参考に算出
とくに薬剤師不足の地域、例えば郊外や過疎地などでは、時給が高めに設定される傾向があります。時給が高いことは、月収や年収にも影響を与えるため、職場選びでは重要です。
2-2. 希望の働き方を実現しやすい
派遣の働き方は、フルタイムだけでなく短時間勤務や勤務日数が少ない求人も多くあります。そのため、自分の希望に合わせて柔軟に働き方を選びやすいという特徴があります。
「子どもが幼稚園や小学校に行っている間だけ働きたい」「夜の時間帯に集中して働きたい」など、自分に合った働き方を希望している人にはおすすめです。
正社員やパートで働きつつ、ダブルワークとして派遣で別の仕事をする人も多くいます。
2-3. 職場を変えやすい
派遣社員は通常、有期雇用で雇用期間が事前に定められているため、職場を変えやすいのもメリットです。派遣法による規定では、派遣薬剤師が同じ職場で働ける期間の上限は3年とされています。
定期的に職場が変わることで、人間関係のトラブルに悩まされることが少ないというメリットもあります。
2-4. 派遣会社を介して就業先と交渉できる
正社員やパートの場合、キャリアや人間関係などを考え、職場環境の問題を上司や人事担当者に相談しにくいケースがあるでしょう。しかし、派遣薬剤師の場合、職場で問題が発生した場合は派遣会社へ気軽に相談しやすいです。派遣会社が派遣薬剤師の勤務条件や業務内容に関して就業先と契約しているためです。
また、「時給をあげてほしい」「就業時間を変えたい」などの希望がある場合にも、派遣会社が間に入って、条件の交渉をしてもらえるでしょう。
3. 派遣薬剤師のデメリット
派遣薬剤師のデメリットには、主に以下の4つがあります。
- 仕事が安定しないリスクがある
- 即戦力を求められる
- 業務範囲が限定的になる
- キャリアアップが見込めない
それぞれについて、詳しく解説します。
3-1. 仕事が安定しないリスクがある
派遣薬剤師は、継続的な雇用の保証がないため仕事が途切れるリスクがあります。また、契約期間が終了した後、次の就業先が見つからなければ、年収が減少する可能性もあるでしょう。
場合によっては、派遣先が見つからないリスクを考慮して、ある程度条件を妥協することが求められるかもしれません。
3-2. 即戦力を求められる
派遣薬剤師には、即戦力としてすぐに業務に取り組める能力が求められます。薬剤師を派遣で求める職場の多くは、人手不足で早急に人員を増やしたいと考えているためです。
また、派遣薬剤師の業務は多くの場合、調剤が中心となります。薬局やドラッグストアに勤務する場合は、調剤経験やスキルが必要になります。そのため、調剤スキルがない場合は求人が限られる可能性があります。
調剤未経験、ブランクがあるといった場合は、知識を学び直す必要があることを理解しておきましょう。
3-3. 業務範囲が限定的になる
派遣薬剤師は、調剤や服薬指導といった比較的決まった流れのあるルーチンワークを担当することが多く、業務範囲が限定的になりやすいです。
在宅業務やかかりつけ薬剤師業務のように、患者さまと長期間にわたって信頼関係を築く必要がある業務は、期間限定で働く派遣薬剤師は向かないと考える企業が多いためです。
3-4. キャリアアップが見込めない
派遣薬剤師は、自らの判断でおこなう業務を任される機会が少ないため、キャリアの幅を広げることが難しいです。
また、有期雇用であるため、薬局長や管理薬剤師に昇進する機会も、基本的にはありません。キャリアアップしたい薬剤師にとっては、派遣以外の働き方を検討する必要があるでしょう。
4. 派遣薬剤師に向いている人
派遣社員に向いている人は、主に以下のような薬剤師です。
- 残業なしで働きたい
- 結婚や出産、育児などでライフスタイルが変わった
- 実際に働いてから正社員になるか検討したい
- 職場と割り切った関係で働きたい
- 短期間で集中して稼ぎたい
例えば、子育てを優先しながらも働きたい人や、人間関係に悩まずに働きたい人は、派遣という働き方に向くでしょう。
5. 派遣薬剤師に向いていない人
派遣社員に向いていない人は、主に以下の薬剤師です。
- 将来的に管理職としてキャリアアップしたい
- 長期間同じ職場で働き続けたい
もし将来管理職を目指している、あるいは安定した雇用を求めている場合は、別の働き方もよく検討してみることをおすすめします。
6. 自分に合った薬剤師としての働き方を検討しよう
派遣薬剤師は高時給で柔軟な働き方が可能ですが、キャリアアップの機会が限られるなどデメリットもあります。
家庭と仕事のバランスを取りたい方や短期間での集中勤務を希望する方には向いているでしょう。しかし、長期的なキャリア形成や管理職を目指す方には不向きかもしれません。
派遣という働き方が気になるけれど「自分は派遣薬剤師に向いているのかわからない」と感じたときには、転職エージェントに相談するのも1つの方法です。転職エージェントは、キャリアの専門家であるため、自分にあった働き方を提案してくれます。
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