薬剤師は不足している?需要によらず選ばれる人材になるためのスキル
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薬剤師の数は年々増加しており、将来的に飽和状態になるともいわれてきました。転職を考えている薬剤師の中には、実際の需要の変化を知っておきたいと考える人も多いでしょう。
「薬剤師は本当に不足している?」「将来的には、AIに仕事を奪われるのではないか……」といった不安を感じている方もいるかもしれません。
そこで今回の記事では、薬剤師不足の実態と今後の見通しについて詳しく解説します。また、将来的に薬剤師市場が変動しても選ばれる薬剤師になるためのスキルも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
薬剤師は不足している?需要によらず選ばれる人材になるためのスキル
1. 【数字でみる】薬剤師不足の実態

薬剤師は不足しているといわれますが、実際にはどうなのでしょうか。ここでは、以下の3点について、薬剤師不足の実態を解説します。
- 薬剤師の有効求人倍率
- 施設別にみた薬剤師の数
- 都道府県別でみた薬剤師の数
それぞれ、詳しくみていきましょう。
1-1. 薬剤師の有効求人倍率
令和6年3月の医師、歯科医師、獣医師、薬剤師の有効求人倍率は3.38倍です。
有効求人倍率とは、仕事を探している人に対して、どれだけの仕事の求人があるかを示す割合です。求職者数に対する求人の数を示しており、雇用市場の需給バランスを測るための重要なデータです。
厚生労働省が毎月発表しており、景気動向や労働市場の状況を把握するために使われます。有効求人倍率の数字をみる限り、薬剤師は売り手市場の業界だといえます。
2020年から現在までの有効求人倍率を、下表にまとめました。
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師の有効求人倍率
年月 | |
---|---|
2020年3月 | 4.40倍 |
2021年3月 | 2.86倍 |
2022年3月 | 2.82倍 |
2023年3月 | 3.05倍 |
2024年3月 | 3.38倍 |
※出典:一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について|厚生労働省
有効求人倍率の推移をみると、2020年から2024年にかけて、倍率に変動があります。
2020年3月の4.40倍から2021年3月の2.86倍へと大きく低下し、その後、再び上昇しています。これには、一時的な経済状況や新型コロナウイルスの影響などが関係していると考えられます。影響が薄れるにつれて、徐々に倍率は回復しているといえるでしょう。
これらの推移を鑑みると、薬剤師の求人は多いとわかります。有効求人倍率から考えると、求人が多い=ニーズが高い=「薬剤師は不足している」ととらえることもできるでしょう。
1-2. 施設別にみた薬剤師の数
令和4年の厚生労働省のデータによると、薬局と病院では薬局のほうが薬剤師の数が多いです。2022年には190,735人が勤務しています。下表は、薬局と病院の薬剤師数の推移を表したものです。
施設の種別にみた薬局と医療施設に従事する薬剤師数の年次推移

※出典:令和4(2022)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省
薬局に従事する薬剤師の数は年々増加しています。一方で病院薬剤師の数は横ばいです。
少子高齢化などの影響で、患者数は今後増える可能性が危惧されているなかで、病院薬剤師の数が増えないのは問題といえるかもしれません。
1-3. 都道府県別でみた薬剤師の数
薬局・医療施設に従事する人口10万人あたりの薬剤師数は202.6人で、前回の198.6人に比べて4.0人増加しました。しかし、都道府県別にみると全国平均に達していない地域が多いことがわかります。
詳しい都道府県別のデータについては、以下の表をご参照ください。
都道府県(従業地)別にみた薬局・医療施設に従事する人口10万対薬剤師数

※出典:令和4(2022)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省
都道府県(従業地)別にみると、徳島県が244.0人ともっとも多く、次いで兵庫県236.6人、東京都235.7人です。反対に、沖縄県が149.4人ともっとも少なく、次いで、福井県163.6人、青森県167.2人となっています。
2. 推計から考える今後の薬剤師不足の見込み

ここまでみてきた薬剤師不足の現状を踏まえて、今後の見込みを考察していきましょう。ここでは、以下2点にわけて解説していきます。
- 将来的には需要が供給を上回る
- 地方では薬剤師不足が深刻化する
それぞれ、詳しくみていきましょう。
2-1. 将来的には需要が供給を上回る
薬剤師の需要と供給の差は、今後徐々に広がっていき、将来的には需要を供給が上回り、薬剤師が過剰になると予想されています。

※出典:薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 とりまとめ|文部科学省
薬剤師の数は年々増加傾向にあります。2045年には、薬剤師の供給が43.2万人~45.8万人に対して、需要は33.2万人~40.8万人ほどになると予想されています。
ただし、この供給と需要の推計は、薬剤師の業務が現在と同じ状況で続くことを前提としています。今後、かかりつけ薬剤師や薬局の増加、高齢化社会への対応として在宅医療の広がりなどが予測されており、需要の推計は変わる可能性もあります。
単純に推計通りの推移を辿るかは不透明ですが、今後の見込みを知るための参考資料の1つとして活用できるでしょう。
2-2. 地方では薬剤師不足が深刻化する
全国的に薬剤師の需要が供給を上回ると予測されていますが、地方と都心部の人手の格差は現在進行形の課題です。とくに、地方では少子高齢化が進み、医療サービスの需要が増加する一方で、薬剤師が不足する傾向が顕著に見られます。
都道府県別の薬剤師の偏在指標を、下表にまとめました。
※偏在指数とは、特定の地域や施設における薬剤師の分布の偏りを示す指標です。偏在指数が高いほど、その地域や施設に薬剤師が多く、低いほど薬剤師が不足していることを意味します。
都道府県別の地域別薬剤師偏在指標比較
都道府県名 | 薬剤師偏在指標 | |
---|---|---|
1位 | 徳島県 | 1.68 |
2位 | 高知県 | 1.68 |
3位 | 東京都 | 1.67 |
・・・ | ||
45位 | 青森県 | 0.84 |
46位 | 福井県 | 0.81 |
47位 | 沖縄県 | 0.75 |
※出典:令和4(2022)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省
1位の徳島県(1.68)と最下位の沖縄県(0.75)の間には、約2倍の差があります。
このような薬剤師数の偏りにより、地方の医療施設や薬局では薬剤師の確保が難しくなりつつあるのです。
今後の薬剤師の転職活動では「どこで働くか」がかなり重要になってくるでしょう。
本記事では、地方で働く薬剤師の年収の傾向や生活の違い、転職の際の重要なポイントについて詳しく解説します。
3. 薬剤師が不足している場所で活躍できる人材とは

剤師が不足している地域では引く手あまたの状況ですが、将来的に薬剤師の数が増え、求人競争が激化した場合にも淘汰されない人材とはどのような人なのでしょうか。
ここでは、薬剤師が不足している地域で求められる人材と、将来の競争に勝ち残るためのポイントについて紹介します。
3-1. マネジメントスキルを身につける
薬剤師が不足している地域で活躍するためには、マネジメントスキルを身につけることが重要です。まず、管理薬剤師や薬局長として店舗を管理する人材になるポジションを目指しましょう。
管理薬剤師や薬局長になれば、薬局の運営全般を任され、組織にとって欠かせない存在となります。
勤務場所によって求められるマネジメントスキルはさまざまです。店舗管理者ならばお金の収支の責任を持つので、会計や税務の知識が必要になります。
スタッフの育成が必要な職場であればコーチング、販売促進と売上向上ならマーケティングの知識などが必要になるでしょう。
将来的に薬剤師の数が増えて競争が激化した場合でも、職場で求められているマネジメントスキルがあれば、他の薬剤師との差別化が図れます。
本記事では、管理薬剤師の年収、一般薬剤師との違いや業務内容、メリット・デメリットを解説します。
3-2. 在宅薬剤師のスキルを身につける
薬剤師が不足している地域で活躍するためには、在宅薬剤師のスキルを身につけることが重要です。国は地域医療の推進を進めており、その一環として在宅医療がますます重要視されています。そのため、在宅薬剤師のニーズは今後さらに高まると予想されます。
在宅薬剤師は地域医療に貢献できるだけでなく、患者さまやその家族からの信頼を獲得できるやりがいのある仕事といえます。また在宅薬剤師は高齢化社会においてますます必要とされる職種で、将来的にも安定した需要が見込めるでしょう。
在宅薬剤師としてのスキルを磨くことは、薬剤師としてのキャリアを確立し、地域医療に貢献するために有効です。
在宅薬剤師の役割や仕事内容、求められるスキルや経験について詳しく解説します。在宅薬剤師としての転職を検討している方は、ぜひご一読ください。
3-3. ITスキル・知識を身につける
薬剤師が不足している地域で活躍するためには、ITスキル・知識を身につけることも重要です。将来的には、薬や在庫の管理、散薬計量、錠剤の取り揃えなどの対物業務はAIなどの技術によって自動化されると予想されています。
薬剤師は、薬局のDX化が進むにつれて、これまで以上に業務効率化を求められるようになります。ITスキルがあれば、電子薬歴の操作や薬局システムの管理、データ分析など、さまざまな業務を効率的にこなせるようになるでしょう。
また、業務を効率化できる人材は、どの医療機関や薬局においても需要の高い人材です。ITスキルがあることで、変化する医療環境に柔軟に対応できるため、将来のキャリアパスも広がることが見込めます
たとえば、電子薬歴を使っている職場に応募するなら、操作できることが採用の前提になります。これから電子化することを検討する職場であれば、IT機器の導入に立ち会ったなど、使用経験があることがアドバンテージになるでしょう。
本記事では、薬局DX(デジタルトランスフォーメーション)が薬剤師の仕事に与える影響を解説していきます。具体的な導入事例も紹介していくため、ぜひご一読ください。
3-4. 外国語のスキルを身につける
薬剤師が不足している地域で活躍するためには、外国語のスキルを身につけることも有効です。今後、日本で暮らす外国人や外国人観光客が薬局を利用する機会が増える可能性があります。このような状況に対応するためには、外国語のスキルが求められるのです。
英語やその他の主要言語を習得することで、外国人の患者さまとのコミュニケーションが円滑におこなえ、適切な医薬品の提供や服薬指導ができます。
また、多言語対応ができる薬剤師は、医療機関や薬局にとって貴重な人材です。将来的にも外国語のスキルを持つ薬剤師のニーズは高まることが予想されるため、薬剤師としてのキャリアをより強固なものにできるでしょう。
4. 薬剤師の不足状況を踏まえて転職を成功させよう

薬剤師不足は地域や施設によって異なりますが、とくに、地方の病院や薬局では深刻化しています。少子高齢化が進む中で、医療サービスの需要は増加する一方、都市部に薬剤師が集中し、地方では不足するという二極化が進んでいます。
国は地域医療の推進を進めているものの、地方での薬剤師確保は課題といえます。さらに、在宅医療の拡充や新しい薬剤師業務の必要性が増しており、今後も薬剤師の需要は高まり続けると予想されます。
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