在宅薬剤師とは?在宅医療における薬剤師の役割や今後の課題
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在宅医療の需要が増加する中、薬剤師の役割も変化しています。
薬剤師の求人情報を見ていて、「在宅薬剤師」という働き方に興味を持った方もいるかもしれません。在宅薬剤師は、従来の薬局勤務とは異なり、患者さまの自宅に訪問して薬の管理や服薬指導をおこなう専門職です。
高齢化社会の進展に伴い、自宅での療養を選ぶ患者さまが増えており、在宅薬剤師の需要はますます高まっています。
そこで本記事では、在宅薬剤師の役割や仕事内容、求められるスキルや経験について詳しく解説します。在宅薬剤師としての転職を検討している方は、ぜひご一読ください。
目次
在宅薬剤師とは?在宅医療における薬剤師の役割や今後の課題
1. 「在宅薬剤師」の役割とは?

まずは、在宅薬剤師について、以下の3点を解説します。
- 在宅薬剤師とは
- 在宅薬剤師が近年求められている理由
- 在宅薬剤師を利用する患者さまの例
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
1-1. 在宅薬剤師とは
在宅薬剤師とは、在宅医療や在宅介護を受けている患者さまの自宅に訪問し、薬剤管理や健康相談をおこなう薬剤師のことです。在宅医療薬剤師とも呼ばれます。
調剤薬局や病院では、患者さまが処方箋を持参し、薬剤の受け取りや服用指導を受けますが、在宅薬剤師は患者さまの家に直接訪問して薬剤師業務をおこないます。
患者さまが自宅で安全かつ適切に薬を服用できるようサポートし、健康管理を支えるのが、在宅薬剤師の役割です。
1-2. 在宅薬剤師が近年求められている理由
在宅薬剤師が求められている背景には、国民のニーズが増えていることがあります。
厚生労働省のデータによると、病床の削減、高齢化による要介護者の増加なども影響し、在宅医療を必要とする方は2025年には29万人にのぼると推測されています。
また、要介護状態になっても自宅や親族の家での介護を希望する人は4割を超え、自宅で療養したいというニーズがあることがわかります。このように、在宅医療の推進が求められているため、在宅薬剤師の需要も高い状態にあります。
※参考:在宅医療の最近の動向|厚生労働省
在宅医療での薬剤師の役割、業務内容、必要なスキルや資格について解説します。
1-3. 在宅薬剤師を利用する患者さまの例
在宅医療を利用する患者さまは、基本的に薬局に薬を取りに行くのが困難な方です。高齢で歩けない、移動が難しいため在宅薬剤師を利用するというケースは珍しくありません。
また、認知機能の低下により、自宅での薬の使用や管理に不安がある方も利用することがあります。
とくに、多くの薬を服用している患者さまや、服薬のタイミングを守るのが難しい方には、薬剤師の指導が必要です。
他にも、医師が薬剤師の訪問が必要であると判断して指示するケースもあります。
多くの場合、在宅医療を受ける患者さまの多くは、外出が難しく、自分で必要なものを買いに行くことができません。医薬品や衛生用品を届けることで、患者さまの生活をサポートしていくのも在宅薬剤師の役割の1つです。
- かかりつけ薬剤師との違い
- かかりつけ薬剤師と在宅薬剤師は、どちらも在宅医療にかかわる点で共通していますが、業務形態に違いがあります。かかりつけ薬剤師は患者さまから指名を受け、薬局で継続的な薬の管理や併用薬のチェックをおこないます。
- 基本的には薬局勤務が中心ですが、必要に応じて患者さまの自宅を訪問することも珍しくありません。地域活動に参加したり、処方医へ指導内容を伝えたりする業務を担うこともあります。
- 一方、在宅薬剤師は、主に患者さまの自宅を訪問し、直接対面で薬剤管理や健康相談をおこないます。
- かかりつけ薬剤師が薬局勤務を基盤とするのに対し、在宅薬剤師は訪問が基本となります。
かかりつけ薬局に求められる役割や、かかりつけ薬剤師として働く意義を解説します。
2. 在宅薬剤師の仕事内容とは?

在宅薬剤師の主な仕事内容には、以下の3つがあります。
- 最適な薬の提案
- 薬の副作用や飲み合わせの確認
- 服薬の管理
それぞれ、詳しく解説します。
2-1. 最適な薬の提案
在宅薬剤師の業務の1つに、最適な薬の提案があります。患者さまによっては、処方された薬が飲みにくいと感じることも少なくありません。その場合は、在宅薬剤師が飲みやすい薬に変更できるかを検討します。
例えば、嚥下機能が低下して錠剤を飲み込めない高齢の患者さまには、口の中で溶けるOD錠(崩壊錠)を提案する。粉薬が飲みにくい患者さまには、ゼリー状の食品と一緒に服用することをすすめる、などです。このように患者さまに合った薬の提案をおこなうのも在宅薬剤師の業務です。
2-2. 薬の副作用や飲み合わせの確認
在宅薬剤師は、患者さまの自宅を訪問することで体調を正確に把握し、薬の飲み合わせや副作用の影響がないかを確認します。
例えば、高齢の患者さまが複数の薬を服用している場合、その相互作用をチェックし、必要に応じて医師に相談して処方を調整します。
また、患者さまが新しい薬を服用し始めた際に副作用が出た場合、その症状を記録し、適切な対応をおこなっていくのも在宅薬剤師の仕事です。
患者さまの日々の食事・排泄・睡眠・運動などの状況から、薬の影響をチェックし、生活の質の向上をサポートしていきます。
2-3. 服薬の管理
在宅薬剤師は、患者さまの残薬状況などの服薬管理もおこないます。服薬状況が悪い場合は、患者さまやご家族と一緒に改善策を検討していくのも、在宅薬剤師の仕事です。
薬の飲み忘れや飲み残しがある場合には、一包化や服薬カレンダーの活用などで改善を図っていきます。在宅薬剤師がサポートを続けることで、服薬状況が向上するケースも珍しくありません。
また、医師と連携して薬が過剰に処方されないようにし、患者さまの服薬管理の負担を軽減することにも努めます。
3. 在宅医療を推進する際に薬局が抱えている大きな課題

少子高齢化や医師の不足などで、国や自治体は地域医療の充実を推進しています。その中の施策の1つが薬剤師の在宅医療です。
医療技術の進展とともに薬物療法には高い専門知識や技術が求められています。薬の専門家である薬剤師が参加することは医療安全の確保の観点からも有益です。
また、在宅医療を始めとする地域医療においても、薬剤師の役割はまだ十分に活用されているとはいえず、看護師が在宅を望む患者さまの薬剤管理を担っている場面も少なくありません。
しかし、在宅医療を推進しようとする薬局は、人材不足の壁に突き当たることも多いです。無菌室の設置などのコストや設備面の問題もありますが、人材の確保は深刻な問題となっています。
とくに地方の小規模薬局などでは、在宅薬剤師の不足は顕著で、複数の薬局が協力し合って在宅医療の体制を整える例もあるほどです。
これらの現状を踏まえると、在宅医療の知識や経験を持つ薬剤師の育成は急務といえます。薬局が在宅医療の対応力を強化するためには、人材育成とともに、業界全体での協力体制の構築が欠かせません。
在宅医療を支えるための薬剤師の人材不足の解消は、今後の重要な課題となっています。
4. 在宅薬剤師に求められるスキルや経験

これから在宅薬剤師を目指していきたいという人向けに、どのようなスキルを身に付ければよいかを説明します。在宅薬剤師に求められるスキルや経験には、主に以下の3つがあります。
- 薬剤管理や服薬指導の経験
- 高いコミュニケーション能力
- 在宅療養支援認定薬剤師などの資格
それぞれ、詳しく解説します。
4-1. 薬剤管理や服薬指導の経験
在宅医療における薬剤管理や服薬指導は、患者さまの個々の状況に合わせた薬物療法の提案が求められます。体調や嚥下状態の変化に気づき、生活や家庭環境にあわせてサポートをしていく必要があるのです。
調剤薬局や病院などで、薬剤管理や服薬指導の経験を積んだ薬剤師は、在宅薬剤師の職場でも活躍できるでしょう。
4-2. 高いコミュニケーション能力
在宅薬剤師には高いコミュニケーション能力が求められます。在宅医療では、医師や看護師、ケアマネージャーなどと連携し、チーム医療の一環として円滑に情報を共有する必要があるためです。
患者さまに対して一貫したケアを提供するためには、他の医療従事者との密な連携は欠かせません。
また、患者さま自身だけでなく、ご家族ともスムーズにやり取りする必要があります。患者さまや家族が安心して療養生活を送るためには、患者さまの状態や治療方針について、わかりやすく説明する能力も求められるでしょう。
高いコミュニケーション能力のある在宅薬剤師なら、医療チームと患者さま・家族の間での重要な橋渡し役となり、質の高い在宅医療を提供できます。
4-3. 在宅療養支援認定薬剤師などの資格
在宅薬剤師として活躍するためには、在宅療養支援認定薬剤師などの資格を持っていると有利です。
資格を取得していることは、患者さまの個別のニーズに対応した薬物療法の提供や、適切な服薬指導について専門的な知識があることの証明になります。
在宅療養支援認定薬剤師の取得には、薬剤師としての実務経験が3年以上あることが要件です。また、在宅医療に関する研修や講習を受講し、実務に即した知識とスキルを習得する必要があります。
資格取得を通じて在宅医療に関する専門知識がつけられ、患者さま一人ひとりに適した薬物療法が提供できるようになるでしょう。
本記事では、薬剤師におすすめの資格9選と、それぞれのメリット・取得方法について詳しく解説します。
5. 転職市場で需要の高い在宅医療薬剤師を目指そう

在宅薬剤師は、患者さまの自宅を訪問して薬剤管理や服薬指導をおこなう専門職です。高齢化や病床削減の影響で、自宅療養を希望する患者さまが増加しており、在宅薬剤師の重要性が高まっています。
一方で、人材不足やスキルを持つ薬剤師の確保が課題であることも事実です。在宅医療の経験者はもちろん、在宅医療に興味がある人の人材ニーズが高まっています。
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