20代薬剤師の年収事情を徹底解説!年収アップのコツも紹介
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薬剤師は専門的な医療系の仕事で、一般的な水準よりも年収は高いと言われます。しかし、具体的な平均や相場は知らないという薬剤師は多いかもしれません。
「20代の薬剤師の年収の相場は?」「30代になるといくらくらい給料がもらえるの?」と疑問に思う薬剤師もいるでしょう。着実にキャリアを積み、年収を上げていくためにも薬剤師の年収事情を知っておくと役に立ちます。
そこで本記事では、20代・30代の薬剤師の年齢別・男女別・職場別などの平均年収を詳しく解説していきます。また、年収アップのポイントも紹介しますので是非参考にしてください。
目次
20代薬剤師の年収事情を徹底解説!年収アップのコツも紹介
1. 20代薬剤師の平均年収は?男女差・地域差はある?

20代薬剤師の年収は、具体的にいくらが平均なのでしょうか。また、男女差・地域差も気になるところです。ここでは、20代薬剤師の年収事情の基礎知識として、以下の点をチェックしていきます。
- ・20代~30代の薬剤師の平均年収
- ・男女別平均年収
- ・地域別平均年収
では、具体的な額や付随する情報を整理していきましょう。
1-1. 20代・30代の薬剤師の平均年収
まずは、20代・30代の薬剤師の平均年収について解説していきます。
- 年齢
- 薬剤師
平均年収 - 全国
平均年収
- 20代
- 425万円
- 354万円
- 30代
- 575万円
- 469万円
- 40代
- 636万円
- 541万円
- 50代
- 664万円
- 581万円
- 60代
- 578万円
- 401万円
※年収は「きまって支給する現金給与額」の12か月分に「年間賞与その他特別給与額」を足して算出
※千の位以下切り捨て
※出典:令和3年 賃金構造基本統計調査|厚生労働省
厚生労働省が実施している「賃金構造基本統計調査」によれば、20代薬剤師の平均年収は425万円です。これに対してすべての業種を含む20代の全国平均年収は354万円であるため、薬剤師は一般水準よりも高い収入が望める職業であることがわかります。
あくまでも平均年収であるため、企業や地域によって年収に差は出ますが、平均年収が高い職業だと分かればよりやりがいも出てくるのではないでしょうか。また、あわせてチェックしておきたいのは、30代の薬剤師の平均年収です。今後のキャリアを考えるうえで、1つ上の年代の平均年収を知っておきたいものです。
30代薬剤師の平均年収は、同調査によれば575万円です。これに対して30代の全国平均年収は469万円のため、30代になっても一般的な年収よりも薬剤師は高収入だと言えます。
1-2. 男女別平均年収
続いて、薬剤師の男女別平均年収を見ていきましょう。
- 平均年収
- 男
- 女
- 20代
- 455万円
- 415万円
- 30代
- 620万円
- 526万円
- 40代
- 702万円
- 587万円
※年収は「きまって支給する現金給与額」の12か月分に「年間賞与その他特別給与額」を足して算出
※千の位以下切り捨て
※出典:令和3年 賃金構造基本統計調査|厚生労働省
前提として、薬剤師は約6割が女性です。そのため全体の平均年収を見るときは、やや女性薬剤師のほうが多いことを理解しておきましょう。男性の場合は全体平均よりも高くなり、20代の男性薬剤師の年収は約455万円が平均です。一方で女性は全体平均よりもやや年収が下がる傾向にあり、20代の女性薬剤師の年収は約415万円が平均となっています。
なお、この年収の差は30代以降になるとより広がっていく傾向が見られます。女性は結婚や出産などのライフイベントを機に、正規雇用から時給制のパート勤務や派遣社員に変わるなど、働き方の変化が見られるのが理由です。
年齢を重ねるごとに男女で年収により開きが出てくるのは、働き方の変化が関係しているのでしょう。
1-3. 地域別平均年収
続いて、都道府県別の薬剤師の平均年収を見ていきます。こちらは、20代・30代のみの年収ではありませんが、薬剤師の年収の地域差を知るために役立ちます。薬剤師の年収が最も高い都道府県を上から順に5つピックアップすると、以下が挙げられます。
- 順位
- 都道府県
- 平均年収
- 1
- 山口県
- 780万円
- 2
- 福島県
- 737万円
- 3
- 宮城県
- 677万円
- 4
- 長野県
- 676万円
- 5
- 青森県
- 661万円
※年収は「きまって支給する現金給与額」の12か月分に「年間賞与その他特別給与額」を足して算出
※千の位以下切り捨て
※出典:賃金構造基本統計調査 2020年|厚生労働省
上位の都道府県では、薬剤師の平均年収は660万〜780万円であることが分かります。働く地域が選べる状況で、高い年収を目指すなら、都市部よりも薬剤師が不足している地域を見つけて転職するのも方法の1つだと言えます。
一方で、薬剤師の年収が低い地域を低い順に5つ挙げると、下表の通りです。
- 43
- 鹿児島県
- 519万円
- 44
- 東京都
- 508万円
- 45
- 岡山県
- 505万円
- 46
- 大分県
- 479万円
- 47
- 沖縄県
- 461万円
※年収は「きまって支給する現金給与額」の12か月分に「年間賞与その他特別給与額」を足して算出
※千の位以下切り捨て
※出典:賃金構造基本統計調査 2020年|厚生労働省
最も薬剤師の年収が低いとされる地域の平均収入は、460万円〜520万円に留まります。しかし、これらのデータはあくまでも参考とお考えください。平均の低い地域でも、事業所や企業によっては給料が高いことも往々にしてあります。
47都道府県で薬剤師の年収をランキング!その他職種別での年収もご紹介。
2. 20代薬剤師の職場別年収

薬剤師の年収は、勤務する職場にも左右されます。主な薬剤師の就職先には、以下が挙げられます。
- ・製薬会社
- ・ドラッグストア
- ・調剤薬局
- ・民間病院
- ・公務員薬剤師
2-1. 製薬会社のMRなど
薬剤師の就職先としては、製薬会社があります。例として、武田薬品工業株式会社の初任給から20代の正社員の年収を見ていきましょう。
- 企業名
- 初任給
- 備考
- 武田薬品工業株式会社
- 301,000円
- 修士・学士(6年制)
昇給:年1回、賞与:年2回
※出典:新卒採用|武田薬品工業株式会社
上記を参考に、月給に賞与2回分を足すと、製薬会社の薬剤師は20代で420万円程度と予測できます。しかし営業職であるMRなどは業務報酬がつくことが多いため、年収800万円を目指すことも可能でしょう。また、企業の業績に応じて、ボーナスが増えることもあります。
製薬企業では、MRの他にも、研究・開発職、事務職など、職種や企業により多様な部署があるため、部署ごとに年収も身に付けられるスキルも異なります。MRであればコミュニケーション力がつき、研究・開発職であれば学会に参加する機会もあるため、薬剤師として専門性を高めてスキルアップしていきたい人にも、製薬会社への転職はおすすめです。
この記事ではMRと薬剤師の違いと、仕事内容、年収、転職事情についてご紹介。
2-2. ドラッグストアの薬剤師
薬剤師の就職先として人気がある職場には、ドラッグストアがあります。薬剤師の職種の中でもドラッグストアは、比較的高い年収が見込める傾向にあります。例えば、株式会社ツルハでは、募集要項の初任給は以下の通りです。
- 企業名
- 初任給
- 備考
- 株式会社ツルハ
- 300,000円~460,000円
- 調剤部門、OTC部門あり
昇給:年1回、賞与:年2回
※出典:募集要項|株式会社ツルハ
上記を参考に、月給に賞与2回分を足して計算すると、ドラッグストア勤務の20代の薬剤師は、420万円程度だと言えます。
ドラッグストアは、調剤薬局を併設している店舗と、OTC医薬品販売のみを行う店舗があるため、どちらで働くかにより身に付けられるスキルが異なります。また、ドラッグストアは年中無休で営業していることが多いため、夜勤や休日出勤があると手当がつくのが一般的です。
また、病院や調剤薬局に比べて、1店舗あたりの薬剤師は少ない傾向にあるため、早い段階で店長などの管理職につくことも見込めます。部下のいるマネジメント職に興味がある、管理薬剤師を目指したい、経営の経験も積みたいという人にもおすすめの転職先です。
この記事ではドラッグストアで働く薬剤師の年収や、仕事内容のメリット・デメリットについて解説します。
2-3. 調剤薬局の薬剤師
薬剤師の就職先としては、調剤薬局もあります。例えばクオール薬局の場合は、薬剤師の採用は以下で新卒の募集を行っています。
- 企業名
- 初任給
- 備考
- クオール薬局
- 261,000円~321,000円
- 地域限定コース
昇給:年1回、賞与:年2回
※出典:募集要項・採用フロー|クオール薬局
上記を参考に、月給に加えて賞与2回分で、調剤薬局勤務の20代の薬剤師は、365万円程度だと予測できます。
調剤薬局で薬剤師が行うのは、調剤・服薬指導・薬歴管理などが主な業務内容です。一般的に、勤務時間帯は9時〜18時前後ですが、周辺の医療機関の診療時間にあわせている店舗が多く見られます。日曜日は休日で、その他にも平日1日休みの体制を取っていることが多いでしょう。
かかりつけ薬剤師の業務など、地域に根ざした医療に携わることができるのも魅力です。病院勤務のように当直があったり、ドラッグストアのように深夜勤務があったりというのは起こりにくいため、プライベートとの両立を重視する人にもおすすめの職場です。
この記事では調剤薬局で働く薬剤師の仕事内容や年収について解説します。
2-4. 民間病院の薬剤師
病院も、薬剤師の働く職場の1つです。民間病院の初任給から、20代の薬剤師の年収を見てみましょう。例えば、民間病院の総合東京病院では、以下で新卒採用を行っています。
- 企業名
- 初任給
- 備考
- 総合東京病院
- 245,600円
- 夜勤手当、住宅手当、扶養手当、通勤手当等
昇給:年1回、賞与:年2回
※出典:薬剤師【募集要項】|総合東京病院
上記を参考に、月給に加えて賞与2回分で、民間病院の20代の薬剤師は、343万円程度だと予測できます。ここに、夜勤手当が付くケースもあるでしょう。
他の職種よりも低い傾向にはありますが、病院勤務の場合は、勤続年数に応じて昇給していくことも期待できます。また、病院によっては、調剤業務・服薬指導に加えて、薬物療法や治験業務に携われる職場もあります。
取り扱う薬剤の幅が広く、医師や看護師と連携しながら薬剤師の視野を広げていけるのは、病院勤務ならではのメリットだと言えるでしょう。
この記事では病院・クリニックで働く薬剤師の仕事内容や年収について解説します。
2-5. 公務員薬剤師
20代であれば、行政の薬剤師に転職する方法もあります。例として、公立昭和病院の募集要項を見てみましょう。
- 組織名
- 初任給
- 備考
- 公立昭和病院
- 約245,600円
- 期末・勤勉手当・扶養手当、住居手当、通勤手当等
昇給:年1回、賞与:年2回
※出典:採用情報|公立昭和病院
上記を参考に、月給に2回分の賞与を足して算出すると、病院勤務の公務員薬剤師の20代の年収は343万円程度だと言えます。夜勤がある病院に勤務すると、ここに夜勤手当がつくことも考えられます。
公務員薬剤師の主な勤務先は、県庁や保健所、その他行政機関などです。県庁の薬務課や国の研究機関などで開発や衛生管理の仕事を行います。薬剤師の中でも公務員薬剤師は、給与が安定している傾向にあります。
また、国や自治体が倒産することはないため、世の中が不景気になったとしても職を失う心配はほとんどありません。勤続年数に応じて昇給する見込みもあります。
公務員薬剤師は、他の職種とは異なり求人数も少なく、薬剤師資格に加えて、年1回の公務員試験にパスすることが前提条件です。国家公務員試験は30歳まで受験可能で、地方公務員の年齢制限は20代後半~30代前半と地域によってばらつきがあります。転職で目指す場合は、仕事をしながら試験勉強をしなければならないことが注意点だと言えるでしょう。
3. 20代の薬剤師が年収アップするための5つのコツ

20代の薬剤師が年収アップするためには、何に注意すればよいでしょうか。年収アップを目指すためには、主に以下の5つを押さえましょう。
- キャリアアップを目指す
- 人手不足の地方へ転職する
- 資格を取得する
- 製薬会社のMRへと転職する
- 大手ドラッグストアへと転職する
3-1. キャリアアップを目指す
20代の薬剤師が年収をアップさせる方法には、現在の職場でのキャリアアップを目指しましょう。誠実な態度で業務にあたっていれば、勤続年数や評価次第で給与は上がっていく可能性があります。
多くの民間の製薬企業や医療機関は、キャリアを積むごとに、段階的に昇給するシステムを設けています。病院では薬局長、調剤薬局やドラッグストアで管理薬剤師となれば、役職手当がつくことも考えられます。そのため、現在の職場の昇給制度を理解しておくことも大切です。
評価にはどのようなものが加算されるのか、昇給のタイミングはいつなのか、担当業務によってどのような手当がプラスされるのかなど、具体的な方法を探ることをおすすめします。あらかじめキャリアアップと昇給の仕組みを理解していれば、目標を立てることができ、それに向かった行動にも移れるはずです。
3-2. 人手不足の地方へ転職する
20代の薬剤師であれば、人手不足の地方へ転職し、転職とともに年収アップを目指す方法も1つです。首都圏とは違い地方は若い人材の流出が著しく高齢化が進んでいるため、薬剤師も人手不足の傾向にあります。
そのため中心部よりも地方のほうが、薬剤師の年収は高いということも少なくありません。一般的には年収の高い地域といえば東京都などをイメージしがちですが、薬剤師の場合は、地域により異なります。
薬剤師不足に悩む地域で転職すれば、人手不足ゆえに自分自身の市場価値が高まり、待遇が良くなることも考えられます。働く場所にこだわりのない方は、20代という転職しやすい時期をチャンスとして、地方転職も考えてみましょう。
3-3. 資格を取得する
20代薬剤師が年収アップを目指すなら、資格を取得することもおすすめです。認定薬剤師・専門薬剤師・漢方アドバイザーなどの資格を取得すれば、薬剤師としての市場価値を高められます。
資格を持っていればその知識を活かして担当できる業務が増えるため、評価も上がり昇給へとつながります。資格手当がついたり、高待遇のポジションを任せてもらえたりする可能性も出てくるでしょう。
はじめは認定薬剤師の資格取得を目指すとよいかもしれません。さまざまな医療現場で活かせる資格で、ゆくゆくは転職を考えたときに有利になることも見込めます。積極的に資格取得をして、年収アップを目指しましょう。
3-4. 製薬会社のMRへと転職する
20代の薬剤師が年収アップを目指す際には、製薬会社のMRへの転職も検討してみてはいかがでしょうか。製薬会社のMRは、企業の営業職であるため、業績次第では高収入が期待できます。
MRの仕事は、薬剤師としての経験や知識だけでなく、営業職としてのコミュニケーション能力や精神力が求められます。忙しさや数字に追われるなどの難しさもある一方、やりがいを感じる人も少なくありません。
薬剤師としての職務経験を活かして高収入を目指したいと思う方は、MRに応募してみるのも方法の1つです。20代・30代で転職活動して大手製薬会社のMRとなれば、頑張り次第では将来的に高収入が望める可能性があるでしょう。
3-5. 大手ドラッグストアへと転職する
年収アップを目指すなら、全国展開している大手のドラッグストアを選ぶと良いでしょう。企業規模の大きなドラッグストアは社員数が多く、昇給や評価制度など福利厚生が整っているのが特徴です。
店長やエリアマネージャーなどの管理職に就けば昇給も見込め、手当がつく可能性もあります。なお、薬剤師としてのスキル向上やキャリアアップを目指す際は、OTC販売のみを行う店舗よりも、調剤併設型のドラッグストアを選ぶのがおすすめです。
4. 20代の薬剤師が年収アップを目指すなら転職しよう

20代の薬剤師が年収アップを目指すなら、転職を考えることをおすすめします。現在の職場で昇給を目指す方法もありますが、年収アップを目指して転職する薬剤師は珍しくありません。
薬剤師は、一般的な平均年収と比べると、高い年収が望める職業といえます。しかし、より高収入を望むのであれば、実現可能な職場を見つけるのも方法の1つです。今後のキャリア形成や転職について不安がある場合は、薬剤師専門の転職エージェントに登録してみるのもおすすめです。
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アポプラス薬剤師編集部
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