救急認定薬剤師とは?仕事内容と資格の取得方法を解説
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救急認定薬剤師が働く職場では、刻一刻と変わる状況での迅速な判断能力や専門的なスキルが求められます。そんな職場への転職を検討している薬剤師の中には、『「救急認定薬剤師」の資格を取得するにはどうすればいい?』「救急認定薬剤師の業務内容は?」などの疑問を持つ方もいるでしょう。
そこでこの記事では、救急認定薬剤師の具体的な業務内容と、資格を取得する方法について解説します。
目次
救急認定薬剤師とは?仕事内容と資格の取得方法を解説
1. 「救急認定薬剤師」とは
「救急認定薬剤師」は、救急医療における薬剤の専門家としての知識とスキルを持つことの証明となる資格です。救急医療に特化し、緊急治療室や集中治療室といった現場で活躍する薬剤師を育成するために、日本臨床救急医学会によって創設されました。
医師や看護師だけでは人員不足になりがちな救急医療の領域では、薬学の専門知識を持つ薬剤師のサポートが求められています。
そのため、救急医療の現場で、薬物治療に関する高度な知識と技術を持ち、倫理観を備えた薬剤師の活躍が期待されているのです。
2. 救急認定薬剤師の役割
救急認定薬剤師の役割は、患者の状態を素早く理解し、その状態に適した薬物治療を提供することです。また、災害が発生した際にも、彼らはその専門知識と技能を活かし、災害医療の現場で活躍することが期待されています。
例えば、震災発生時には、多くの救急認定薬剤師が被災地に派遣され、避難所や被災した地域の病院で医療支援に従事することがあります。医療施設の設備が整っていない環境下でも、薬の管理や薬物療法をおこなうための知識と技術を持つことが必要です。
このように、救急認定薬剤師には、病院内だけでなく災害現場などさまざまな環境で救急医療に関する専門知識と経験を活かすことが求められています。医療チームの一員として、多様な状況で命を救うための重要な役割を担います。
3. 救急認定薬剤師の仕事内容
救急認定薬剤師の仕事内容は、「救急現場での活動」「災害時の対応」「救急医療における教育活動」の3つにわけられます。
「救急現場の活動」では、薬物療法の専門家として、医師への処方提案、注射薬や麻薬などの管理、および治療薬物のモニタリング(TDM)を含む投与設計をおこないます。
具体例を挙げると、急性中毒の解毒処置、臓器不全に対する薬物療法、循環器系疾患における薬剤管理などがあります。このように、緊急性が高く患者の安全と治療成果に直結する重要な業務を担います。
「災害時の対応」では、災害派遣医療チーム(DMAT)のメンバーとして活動します。避難所での巡回診療に同行し、被災した傷病者に対する一次トリアージ(緊急度に応じた患者の分類)をおこなうなど、薬局や病棟では経験しない業務に当たることもあります。
「救急医療における教育活動」では、救急医療に関連する知識や技術の普及と教育にも従事します。どれも救急の現場には不可欠な、重要な業務です。
4. 救急認定薬剤師になるには
救急認定薬剤師になるには、一定の要件を満たしたうえで、試験を受ける必要があります。ここでは、以下の4つの項目にわけて、緊急認定薬剤師の資格を取得する方法を解説します。
- 試験を受けるための要件
- 試験の概要
- 更新手続き
- 認定申請手数料・認定料・更新料
それぞれについて、詳しく解説していきます。
4-1. 試験を受けるための要件
日本臨床救急医学会の発行する「救急専門・認定薬剤師制度規則」において、「救急認定薬剤師」の試験を受けるための要件が下記の通り定められています。
- (1)日本の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格及び救急医療における薬物療法に関する見識を備えている
- (2) 申請時において、薬剤師としての病院・診療所勤務歴を5年以上有し、そのうち2年以上救急医療に従事している
- (3)申請時において、本学会の正会員としての会員歴が2年以上あり、かつ会費を完納している
- (4)日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師、日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬師(2022年度申請時まで有効)、日本医療薬学会が認定する専門または指導薬剤師、日本臨床薬理学会が認定する認定あるいは指導薬剤師、日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師、日本薬剤師会生涯学習支援システム( JPALS ) の JPALS 認定薬剤師(CL レベル5以上)のいずれかの資格を有している
- (5) 医療機関において、救急医療に関する業務を通じて患者の治療に自ら参加した25例以上の症例を提出している
- (6)認定委員会が指定し理事会の承認を得た学術集会への参加、同学術集会での研究発表などにおいて、細則に定める単位数を履修している
- (7)認定委員会が開催する講習会を受講している
- (8)日本臨床救急医学会評議員または所属施設長の推薦がある
このように、救急認定薬剤師の試験を受けるためには、勤務歴や部署、推薦の有無など8つの要件を満たす必要があります。
4-2. 試験の概要
「救急認定薬剤師」の試験は、前項の要件を満たし、書類審査を通過した方だけが受けられます。
試験問題は、救急医療における薬物療法に関する広範囲な領域から出題されます。試験は年に1回実施され、不合格となった場合は、再受験が可能です。試験問題は、日本臨床救急医学会および日本病院薬剤師会監修のテキストを中心に出題され、書類と試験の成績を総合的に審査し、合格が決まります。
対象者 | 救急認定薬剤師認定の書類審査を通過した者 |
---|---|
出題範囲 | 「薬剤師のための救急・集中治療領域標準テキスト」に基づき、救急医療における薬物治療全般にわたる内容 |
試験時間 | 90分 |
問題数 | 50問 |
合格基準 | 正答率に基づき、救急認定薬剤師認定委員会が判断 |
試験の詳細な内容や出題範囲については、日本臨床救急医学会の公式情報や細則を確認してください。
4-3. 更新手続き
「救急認定薬剤師」の資格更新は、5年ごとにおこなわれます。更新するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 認定された後も日本臨床救急医学会の正会員である
- 認定を受けてから5年間、救急医療に貢献する
- 認定薬剤師認定委員会が指定した80単位(必修45単位以上を含む)を取得する
- 日本臨床救急医学会が主催する学術集会に少なくとも1回は参加する
- 認定薬剤師認定委員会が開催した講習会に2回以上受講する
上記の要件を満たし、認定委員会による審査に通過したのち、更新手続きをして認定証の交付が受けられます。資格を取得した後も、講習会や学術集会への参加が求められるため、継続して知識を研鑽していく必要があるとわかります。
4-4. 認定申請手数料・認定料・更新料
救急認定薬剤師の認定にかかる料金は、新規取得時と更新時で異なります。それぞれの申請手数料と認定料の合計は下表の通りです。
項目 | 申請手数料 | 認定料 | 合計 |
---|---|---|---|
新規取得時 | 10,000円 | 20,000円 | 30,000円 |
更新時 | 10,000円 | 10,000円 | 20,000円 |
新規取得時には、認定申請手数料の10,000円の他に、認定証の交付のための認定料20,000円を納付する必要があります。5年ごとの更新時には、手数料と認定料で合計20,000円がかかります。
5. 救助の最前線である救急認定薬剤師を目指す!
救急認定薬剤師は、緊急医療の現場で重要な役割を果たします。具体的には、緊急救命センターや災害現場などで、薬の管理、薬剤処方設計、トリアージといった高度な業務をおこなうことになるでしょう。
「救急認定薬剤師」の資格は、取得難易度が高く、取得後も継続して研鑽を積むことが求められます。目指す場合、まずは救急認定薬剤師の受験者要件を満たすことが欠かせません。そのためには、救急医療現場での経験が必要です。今の職場で救急医療現場の経験が積めない場合は、転職も検討してみるとよいでしょう。
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