サポートを受ける

お電話でのご登録・ご相談も承っております。

フリーコール 0120-332-290

月~金曜(祝・祭日を除く) 9:00~20:00

  1. 薬剤師の求人・転職情報ならアポプラス薬剤師
  2. 薬剤師の転職お役立ち情報
  3. 薬剤師の働き方(スキル・資格)
  4. 認定薬局の始め方〜はじめの一歩〜

認定薬局の始め方〜はじめの一歩〜

登録日:

薬局において令和3年8月から認定薬局が開始されます。認定薬局は改正薬機法により、これからの薬局の新しい形として "地域連携薬局"と"専門医療機関連携薬局"という2タイプの機能別薬局が誕生します。ご存知の方も多いと思いますが、2015年に厚労省から発表された"患者のための薬局ビジョン"には、これからの薬局を立地から機能への転換を図ると明言されてきました。それらの機能を備えた薬局を公に認めるシステムが8月に誕生すると言っても良いでしょう。

 "地域連携薬局"はその名の通り、主に地域の医療機関や医療従事者との連携をしっかり取れる体制を有しており、患者さんの薬物治療をより一元的・継続的に管理していくことができる薬局を指します。一方で"専門医療機関連携薬局"は地域連携薬局と同様に他医療機関との連携が求められ、さらに今回に関しては「がん」治療に対して専門的な取り組みがある薬局を指します。また、その他の傷病に関しては今後追加されていく予定となっています。そのため、がん医療の想定区域である2次医療圏は現在約350のみであり、専門医療機関連携薬局の認定を達成できる薬局は多くないと予想され、まず地域連携薬局を目指す薬局が多いでしょう。そして、すでに先駆けとなっている健康サポート薬局は未病の段階で地域住民の健康をサポートしていく機能を果たすことができる薬局のことを指します。

 このように国は薬局の本来あるべき姿を目指して改革を進めています。そのため、これまでの対物業務から対人業務へのシフトが非薬剤師による一部の調剤業務が認められた0402通知により一層加速しているように感じている方も多いのではないでしょうか。患者さんや地域住民に選ばれる薬局になれるよう、今から積極的に認定薬局や健康サポート薬局等、地域により貢献できる薬局作りを目指して行動していかなければなりません。

 もちろん、大前提として薬局のベース機能をしっかり整えていき、それを拡充していったところ、認定薬局や健康サポート薬局になれることが理想であり、本来あるべき姿だと思います。しかし、それを理解していても手の付け方が分からず、現状から一歩を踏み出せない薬局もあるでしょう。そこで今回の認定薬局の要件が、今後薬局の目指すところを示しており、認定要件を1つずつ達成していくことが重要です。以下に"地域連携薬局"と"専門医療機関連携薬局"、それぞれの認定要件を表にまとめました。

地域連携薬局 専門医療機関連携薬局
①構造・設備
  • プライバシーへの配慮
  • 高齢者・障害者への配慮
  • 基本的に地域連携薬局と同様
  • よりプライバシーへの配慮必要
②他医療機関との連携体制
  • 地域ケアシステムの構築に資する会議への継続的参加
  • 他医療機関との報告・連絡体制の構築
  • 地域医療機関へ報告・連絡した実績
  • 他薬局との報告・連絡体制の構築
  • がん治療医療機関の会議への継続的参加
  • 基本的に地域連携薬局と同様
③安定的な販売業務体制
  • 開店時間外の対応
  • 休日・夜間の調剤応需体制
  • 他薬局への医薬品提供体制
  • 麻薬調剤体制
  • 無菌製剤処理体制
  • 医療安全対策
  • 人員体制
  • 研修体制
  • 医薬品の適正使用に関する情報提供の実績
  • 基本的に地域連携薬局と同様
  • 専門薬剤師の配置
  • 他薬局薬剤師に対する継続的な研修会の開催
④居宅等の実績と体制
  • 居宅等の実績
  • 高度管理医療機器等の提供体制

なし

※参考:厚生労働省「 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(認定薬局関係)」

 認定要件には認定項目が多数あり、まだ達成できていない要件はどれかを見直していく際に活用できます。この認定要件から現場の薬剤師に求められることが見えてくると思います。その中でも比較的取りかかりやすい項目として

  • 【他医療機関との報告・連絡体制の構築】【他薬局との報告・連絡体制の構築】【他薬局への医薬品提供体制】
  • 【医療安全対策】
  • 【研修体制】

が挙げられます。

【他医療機関や他薬局との報告・連絡体制の構築】、【他薬局への医薬品提供体制】に関しては日頃の業務においてもすでに取り組んでいる薬局が多くあると思いますが、認定要件達成のためにはこれらに関係する業務の手順やシステムをしっかりと業務手順書等に書き加えて、文面での確認ができるような状態にしておくことが大切です。たとえば、トレーシングレポートを使用しているのであれば、そのフォーマットや医療機関との連絡手段を手順書にまとめておくと良いでしょう。

次に【医療安全対策】に関しては

  • 厚生労働省から公表している各種資材の活用
  • 医薬品に係る副作用等の報告
  • 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業への参加
  • 製造販売業者による市販直後調査への協力
  • 医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)に基づく患者向け資料の活用
  • 「医薬品医療機器情報配信サービス」(PMDA メディナビ)等を活用した服薬指導

などが求められており、こちらは地域支援体制加算を算定している薬局では既にPMDAやヒヤリ・ハット事例収集などへの参加はされていると思いますが、認定薬局ではより幅広い取り組みが必要となりました。ただし、これに関しても今すぐ取りかかれる項目ですので、ぜひそれぞれのインターネットサイトから登録をはじめて日常業務に取り入れていくと良いでしょう。

厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/index.html
PMDA(登録ページ) https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/medi-navi/0007.html
公益財団法人日本医療機能評価機構 http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/

 そして【研修体制】に関しては地域包括ケアシステムに関する研修を修了し常勤として勤務している薬剤師が一定数以上必要となっています。その研修は健康サポート薬局研修の中に組み込まれているため、健康サポート薬局研修を修了することが必要です。健康サポート薬局研修は既に予約が増えており、空きも少なくなっている状況ではありますが、実施している団体はいくつかあり、それぞれ枠を追加しているところもあるようです。以下に主な団体を紹介したいと思います。ただし、通知においては地域包括ケアシステムに係る内容が学習できる研修を毎年継続的に受講することが求められており、健康サポート薬局研修を一回修了していれば良いというものではありません。そのため、各団体が基準を満たすよう研修の新設を進めています。

実施団体 概要 費用
日本保険薬局協会 Webでの研修 6,600円(会員)
10,000円(非会員)
薬局共創未来人財育成機構 Webでの研修 15,000円
日本薬剤師会 各県薬剤師会が開催
年1回程度(実績)
知識:8,000円
技能:各県によって異なる
研修修了証の発行5,000円
日本薬業研修センター 関東
年3回程度(実績)
一般:14,000円
協力団体:10,000円

(2021年3月現在)

 先日行われた日本薬剤師会第97回臨時総会でも日本薬剤師会からは当面の目標として地域連携薬局1万5000軒、専門医療機関連携薬局800軒を目標とするとのことでした。もちろん健康サポート薬局もこのまま継続して未病の段階から、地域住民に健康情報を発信する役割を担っていきます。私はこれからの薬局はこの「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」「健康サポート薬局」の3つに集約されていくと考えています。なぜならすでに「立地」から「かかりつけ」に、そしてこれからは「地域」へという大きな改革に我々は立たされているからです。よく比較されるコンビニよりも多い薬局は既に爛熟期に入ったと言っても過言ではありません。「立地」にのみ頼った薬局は淘汰され、国の求める薬局として変化に対応できる薬局が生き残ると考えられています。そして、何よりもこの取り組みは地域住民や利用者がいつでも健康相談ができ、自分の健康や病気の治療を身近な医療従事者が連携して面倒をみてくれるという安心感を与えることができます。まずは自分ができることから1つずつ取り組んでいくことが大切です。

 たとえば、私の場合、最初に行ったのは時間捻出のため、非薬剤師へのタスクシフトの見直しやアプリを使用した服薬期間中のフォローアップ等のICT化を進めました。その際に必要となったのが、スタッフへの教育や目標の明確化をして、薬局スタッフ全員が同じ方向に向かって日々の業務に取り組んでいけるようにしていく事でした。さらには今回の記事で参考にしている厚生労働省「 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(認定薬局関係)」の内容をしっかり把握し、自局の状況と照らし合わせて、要件に満たしている部分、満たしていない部分をまとめ、それらをスタッフにわかりやすく解説した動画の作成も行いました。動画にする事で繰り返し見る事ができ、スタッフの理解度もアップしやすくなるのではないかと思います。また、【他医療機関や他薬局との報告・連絡体制の構築】、【他薬局への医薬品提供体制】の項目で記載されているように普段当たり前のように行っている業務をもう一度見直し、それらを明文化して業務手順書を随時アップデートしていくようにしています。他にも退院カンファレンスへ積極的に参加する事によって、今まで繋がりが少なかった他医療機関の方と面識を持つ事ができるようになり、在宅業務や有事の際にはそれまでよりも連携を取りやすくなる事ができ、より患者さんに充実でスピーディーな医療を提供できるようになったと実感しています。

まとめ

  • 認定薬局が2021年8月から開始される。
  • 認定薬局には地域連携薬局と専門医療機関連携薬局がある。
  • まずはすぐに取りかかれる要件から始め、最初の一歩を踏み出していくことが大切

著:廖志陽(薬剤師)

薬剤師専門の転職サポート!30年の実績!

転職サポートに登録(無料)
過去の記事 どうする⁉服薬フォローアップ
新しい記事 薬剤師が押さえたい「コロナ(COVID-19)対策」の基本

アポプラスキャリアの登録メリット

  1. 1
    「登録者限定求人」をすぐにご紹介します! 全体の80%以上がWEB公開していない求人。登録後、人気求人を優先的にご紹介します。
  2. 2
    あなたの希望条件により近づける調整をします! 求人条件はあなたの「最終条件」ではありません。より希望に近づける調整が可能です。
  3. 3
    応募から面接、就業条件の交渉まで全てお任せ! 就業中・育児中でもラクラク。企業とのやりとりは全てコンサルタントにお任せください。