1. 薬剤師の転職は厳しいといわれる２つの理由

薬剤師の転職が厳しいといわれる理由には、以下の２つがあると考えられています。

• 薬剤師の資格保有者の増加
• セルフメディケーションの推進による受診控え

それぞれの理由を、詳しく見ていきましょう。

1-1. 薬剤師の資格保有者の増加

薬剤師の資格保有者の増加も、薬剤師の転職が厳しいといわれる理由の１つです。薬剤師の免許を持つ人数が増えてきた結果、薬剤師間の競争が激化しています。2006年度に薬学部が６年制となったときに、国内の薬学部の新設が続いたためです。

厚生労働省の推計によれば、2030年頃には薬剤師の供給が需要を上回ると予測されています。薬剤師の免許を持つ人数が今後も増えていけば、需要の変動によっては、転職市場が厳しさを増してくることも考えられるでしょう。

参考：薬剤師の需給推計｜厚生労働省

1-2. セルフメディケーションの推進による受診控え

セルフメディケーションの推進による受診控えも、薬剤師の転職市場に影響を与えているといわれています 。現代では、高齢化や医療技術の進化が、国の医療費を押しあげる要因とされているため、セルフメディケーションが推進されています。

セルフメディケーションとは、世界保健機関（WHO）の定義によると「個人が自らの健康を管理し、軽い不調は自分で手当てする」という考え方のことです。国民一人一人が自分の健康を意識し、問題が大きくなければ自宅で対応することで、医療費の増大や医療機関の負担を軽減できるためです。セルフメディケーション税制の導入や、国民の意識が変わってきたことで、病院の受診数が減少し、医療業界に影響を与えているといわれています。

2. 転職が厳しい薬剤師の特徴

これまで解説した通り、薬剤師の転職事情は厳しいといわれており、実際にそう感じることも少なくありません。転職に厳しさを覚える薬剤師には、以下の３つの特徴があります。

• 転職先に条件を付けすぎている
• 転職回数が多い
• アピールできる強みがない

それぞれについて、詳しく解説していきます。

2-1. 転職先に条件を付けすぎている

転職先に条件を付けすぎていると、転職がしづらくなる可能性があります。とくに、薬剤師としてのスキルや経験が足りないのに、高い年収や、残業がなく土日休みの職場がいいなどの労働条件を求めていると、希望に合う求人は少なくなります。

転職を成功させるためには、希望条件と自身のスキルのバランスを考慮する必要があります。薬剤師としての自分の価値を見極めて、現実的な条件を設定していくことが大切です。

2-2. 転職回数が多い

何度も転職している薬剤師は、転職しづらくなりやすいため注意が必要です。薬剤師が不足していた時期とは異なり、近年の転職市場は徐々に企業側に有利に変わってきています。

仮に、転職回数が多い場合は、それぞれの転職の理由を、納得のいく形で面接官に説明できるようにしておきましょう。多くの場合、これまでの転職理由を問われます。キャリアアップや専門性を深めるためのスキルアップなど、自身の転職の背景や理由を、具体的に説明できるようにしておくことをおすすめします。

2-3. アピールできる強みがない

アピールできる強みがない薬剤師も、転職が厳しいと感じることがあります。単に募集要件をクリアするだけでは、転職を成功させるのは難しい可能性があります。自分の薬剤師としての特色や価値を、明確に伝えることが重要です。

他の応募者との差別化を図るには、過去の経験や取り組みから得たスキルなどを、効果的にアピールする必要があります。例えば、特定の医療分野の調剤経験がある、新しい医薬品や治療法に関する研修を受け、研究をおこなった経験などがあれば、積極的に伝えていきましょう。

3. 転職市場が厳しくても成功できる薬剤師の特徴

薬剤師の転職市場が厳しい状況でも、転職を成功させる薬剤師には、以下の４つの特徴があります。

• コミュニケーション能力がある
• 調剤経験がある
• 管理薬剤師の経験がある
• 在宅医療やかかりつけ薬剤師の経験がある

それぞれについて、詳しく解説していきます。

3-1. コミュニケーション能力がある

転職を成功させる薬剤師に共通する特徴としては、コミュニケーション能力があることが挙げられます。とくに、地域住民と接する機会の多い調剤薬局などでは、患者さまとスムーズに対話できる薬剤師は不可欠です。

適切なコミュニケーションをとる能力がなければ、患者さまからの信頼は得られません。患者さまの話をしっかり聞ける傾聴力や共感力のある薬剤師は、調剤薬局、ドラッグストア、病院などの職種に転職したときに、とくに重宝されるでしょう。

3-2. 調剤経験がある

薬剤師の資格だけでなく、調剤経験があることも転職市場では有利に働きます。調剤経験のある薬剤師は、実践的な知識やスキル、患者さまとのコミュニケーション能力、医師や他の医療スタッフとの連携能力などが身についていると評価されやすいためです。

また、緊急時の対応経験も、実務経験を持つ薬剤師の強みとしてアピールできます。調剤業務を経験していることは、薬剤師としての専門性や信頼性を示す証となるため、履歴書を書くときや採用面接時に、積極的にアピールしましょう。

3-3. 管理薬剤師の経験がある

管理薬剤師の経験がある薬剤師も、転職が成功しやすいといえます。管理薬剤師は薬局やドラッグストアの運営、スタッフのマネジメント、業績管理などの多岐にわたる業務を経験するポジションです。薬剤師の実務経験とマネジメント能力を持った人材がとくに求められています。

管理薬剤師の経験があれば、リーダーシップ力があると評価されるため、転職市場では高く評価されるでしょう。

3-4. 在宅医療やかかりつけ薬剤師の経験がある

在宅医療やかかりつけ薬剤師の経験があることも、薬剤師の転職市場では有利に働きます。日本では高齢化問題が深刻化しているため、在宅での医療やケアのニーズが増大しています。かかりつけ薬剤師は、患者さまの持病や薬歴を理解し、適切なアドバイスをおこなう役割を担うため、多様な医薬品の知識、高いコミュニケーション能力があるとみなされるためです。

また、高齢者の多い地域などでは、とくに在宅医療を強化している医療機関が多く、経験のある薬剤師は重宝されます。今後ますます、在宅医療やかかりつけ薬剤師の経験がある薬剤師は、高く評価されるでしょう。

4. 厳しい中でも薬剤師が転職を成功させるコツ

転職市場が厳しい状況でも、希望の職場への転職を成功させるためには、以下４つのコツがあります。

• 転職理由を明確にする
• 条件の優先順位を決める
• これまでの経験を振り返り自分の強みを知る
• 転職エージェントを利用する

それぞれのコツを、詳しく見ていきましょう。

4-1. 転職理由を明確にする

薬剤師が転職を成功させるためには、転職する理由を明確にすることが大切です。人間関係、労働環境、仕事のプレッシャーなど、今の状況で感じている不満や問題点は人によって異なります。

転職理由を明確にすることで、新しい職場に求める条件が把握できるようになります。例えば、今の会社にスキルアップできる研修体制がないことに不満やストレスを感じる場合は、しっかりとした研修制度のある職場を選ぶことが大切です。

4-2. 条件の優先順位を決める

転職時には、条件の優先順位を決めることも重要です。勤務時間、勤務地、給与など、新しい職場に求める項目をリストアップし、譲れない項目から順に並べていきます。

全ての希望条件を完全に満たす求人を見つけるのは難しいため、譲れる条件も挙げておきましょう。例えば、家庭の都合で勤務地・勤務時間・給与を最優先とする場合は、キャリアアップや福利厚生は後回しにするなどです。どの条件が自分にとってもっとも重要で、どの条件は譲れるかを明確に区別しておくことをおすすめします。

4-3. これまでの経験を振り返り自分の強みを知る

薬剤師が転職に成功するためには、これまでの経験を振り返り自分の強みを知ることが大切です。あなたの薬剤師としての経験や能力をしっかり整理し、自分のアピールポイントや特長を理解しましょう。これまでの薬剤師としての経歴を振り返ることで、自分がどのような役割で企業に貢献できるのかが明確になります。

また、応募した企業の情報収集をして、経営方針や業務内容の詳細を理解することも重要です。求められる薬剤師の資質やスキルをイメージしておくと、自分の強みをアピールしやすくなります。求人から読み取れる、企業側が抱える課題に対して、自分のどのような強みを活かせて、どのように貢献できるか説明できるようになるためです。これにより自分の強みが相手の求めるものだ、とアピールできます。

志望理由を決め、中長期的なキャリアビジョンを組み込むことで、採用担当者に対してポジティブな印象を持たせられるでしょう。

4-4. 転職エージェントを利用する

転職エージェントを利用することも、薬剤師の転職を成功させるためのコツです。転職エージェントは、転職のアドバイスを求める人に向けて、無料でサポートをおこなっています。

転職エージェントに登録すると、キャリアコンサルタントやアドバイザーから、あなたの経験や希望に基づいた、薬剤師の求人情報が得られます。また、面接対策や履歴書の書き方といった転職活動に必要なアドバイスも受けられます。転職エージェントを活用すると、自分一人で活動するよりも、スムーズかつ迅速に理想の職場を見つけられるでしょう。

5. 薬剤師専門転職サイトに登録して厳しい転職市場を乗り切ろう

薬剤師の転職市場は、セルフメディケーションの推進や薬剤師の増加などにより、転職が厳しいともいわれています。しかし、これまでの薬剤師としての経験や自分の強み・価値をしっかりとアピールすることで、理想の転職を実現しやすくなります。

また、薬剤師専門の転職エージェントを利用することで、自分一人では知り得ない職場の情報や求人情報を得ることができ、転職活動に役立ちます。転職を検討しているなら、薬剤師専門の転職エージェント「アポプラス薬剤師」に登録してみませんか。最良の選択をして転職を成功させるために、キャリアコンサルタントにぜひ相談してみてください。

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